商業都市に到着、そして冒険者へ
貴族の家で少女リネルを引き連れて私達は遂にオストポリへ到着した。
王都へは何度か言った事はあるが、街道に建ち並ぶ店の店頭で声を出している店員に街を行き交う人々を見ると王都よりも活気に溢れている。
初めて訪れた商業都市に四人は目を輝かせている。リネルは貴族の娘だと言うが、もしかするとリネルも初めて来たのだろうか。
「取り敢えず陽が落ちる前に冒険者ギルドに冒険者登録しに行きましょうか」
あちこちを見回しているマトイが今にも飛び出しそうな雰囲気を察してヒイロは切り替えるように言った。
冒険者ギルドに行くのは登録だけが目的ではない。アシュの手掛かりである盗賊について情報を集める事も目的の一つだ。
冒険者ギルドの場所はリネルが知っているらしく、私達は後を付いていく。
暫く歩いて行くと大通りに見上げれば首が痛くなる程の建物が現れた。これが冒険者ギルドである。
早速中に入るとそこは酒場と併設されているような場所だ。様々な冒険者達が酒を飲みながら談笑していたり、情報交換をしていたりと賑やかである。中には別の大陸出身の獣人なんかもいる。
そんな中私達はカウンターへと真っ直ぐ向かい受付嬢に話しかける。
「あの、冒険者登録をしたいのですが」
「はい、それではこちらの用紙へ記入をお願いします」
そしてカウンターの横に用紙を記入する為のスペースがあるのでそこで必要事項を記入していく。
名前と年齢、自分の得手とする武器、魔法が扱えるなら得意な魔法等だ。
冒険者は数多く、中には事情があって素性を明かしたくない者もいる為か出身の国等の記入は必要ないようだ。
あくまで依頼をこなす事が出来ればそれで良しとしているのだろう。
ヒイロ率いる三人は最も得意なのは肉弾戦ではあるが、村の皆から剣を用意してもらっている為得得意な武器は剣と書いておく。
用紙への記入を進めている時にふとヒイロは思った。
「リネル、貴方も冒険者登録するの?」
「家出したんですから、食い扶持くらいは稼げるようにしなきゃならないので」
そう言われればそうではあるが、本当に大丈夫なのだろうか。猪に逃げ回るような実力で依頼がこなせるのか心配である。
リネルへの心配をしながらも四人は用紙をカウンターの受付嬢に手渡す。
「それでは冒険者証を作成致しますので、暫くお待ちください」
そうして別の従業員に用紙を手渡す所を見てヒイロは盗賊の事に着いて受付嬢に問いかけてみる。
「1つお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「はい、何でしょう?」
受付嬢は淡々とした口調で答える。
冒険者からの質疑は日常茶飯事の事なのだろう。慣れを通り越してほぼ感情が伺えない。
「盗賊の事について聞きたいのですが、アシュという人物に心当たりはありませんか?」
すると受付嬢は少々お待ち下さいとカウンターの後ろにある棚から依頼書を魔法で手元へ運び目を通す。
冒険者ギルドには盗賊等の犯罪者達の討伐依頼等も舞い込んでくる。その書類の中にアシュの名が無いか確認していくれているのだ。
「うーん、アシュという名の盗賊は見当たりませんね。そもそも盗賊の討伐依頼の殆どは盗賊団単位となりますので、その個人の名前については知られる事はまず無いですね。」
「そう……ですか」
そこで受付嬢をただ、と続けて口を開く。
「盗賊団はそれぞれ縄張りを持っていて、なるべく盗賊団同士でのいざこざを避ける為に裏で繋がっている事が多いです。ですので何かしら盗賊との接触を図れば情報が手に入る可能性は御座います」
盗賊と接触を図る。そんな伝手はあるはずも無く、あるとすればギルドの依頼を受けるくらい。しかしそうなれば戦闘は避けられない。
それでもヒイロはやらなければならない。戦闘というリスクには目を瞑るしかないだろう。
「では盗賊団討伐の依頼を紹介して頂けませんか?」
「構いませんが、盗賊団討伐はランクゴールド以上の冒険者向けの依頼ですよ?ランクによる制限はありませんが危険かと思われます」
「構いません。お願いします」
受付嬢はヒイロの瞳をじっと見つめ、分かりましたと依頼書を並べる。
「こちらが盗賊団に関する依頼ですが、このダンジョン最深部の調査でも構いませんか?いきなり討伐は危険なので」
「ええ、構いません」
「畏まりました。こちらの依頼はこの都市から西に向かった所にあるダンジョンの最深部を調査し、レポートを提出して頂くものです。最近ダンジョンの魔物の発生が異常に多いとの報告と、同時に盗賊団の最深部への出入りが目撃されています。実際に盗賊団の関与があるかどうか、それと出来れば魔物の大量発生の原因を突き止めて頂ければ結構です」
ダンジョンとは元冒険者の両親から聞いた事がある。奥に入る程に敵が強くなるが、その分高価な素材なども手に入る場所だそうだ。
冒険者の殆どはダンジョンへ入り、手に入れた素材を換金して生活をしているのだとか。
「難易度はこの中でも低いですが、それでも危険な事に変わりはありません。十分な準備を整えて向かってください。それと、こちら冒険者証になります」
「ありがとうございます。これ程気を使って頂けるなんてお姉さんはお優しい方なのですね。それでは」
そう言って4人は次は宿を探すため街を歩くのだった。
受付嬢の女はヒイロの瞳を見つめた時から、彼女達に対して何処から湧いてくる物なのかわからない自信の様なものがあった。
この4人は他の冒険者とは違う。何か大きな事でも成し遂げるのでは無いかと言うことを。
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マイペース過ぎて本当に投稿頻度が低すぎるのが自分でも何となく良くはないなと思いつつも、結局マイペースを崩せない僕はダメダメだなといつも感じている今日この頃……
そんな話は置いておいて、皆さんは僕っ子は好きですか?私は大好きなんですねー!
リネルは今後ヒイロ達に無くてはならない存在にしていこうと考えていますので、皆さんも愛してください!
ちなみにリネルの姓のパナプルは、名前を考えている時にパイナップルが食べたかったという安直なネーミングをしました。
もしかすると私は取り返しのつかない事をしたのかもしれません……
まあ自分なりに頑張って書いていこうと思いますのでどうぞよろしくお願い致します。(自分なりって言葉便利ですね)
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