第7話 創作仲間と出会う

 毎月1、2回も学級新聞を発行することで私がイラストを描くことが好きだと言うことがクラスメイトに知れ渡った。


 別に恥ずかしいことではない

 私の夢は、漫画家か声優になることだからだ。


 みんなに、絵が上手いと褒められることが多くなり、ちょっと得意になっていた時にクラスメイトのチカコちゃんに『蘭ちゃんより、ミユキちゃんの方がうまいよ!』と言われた。

 別に自分より絵がうまい子がいても構わないが、比べられて優劣をつけられたことはあまりいい気分はしなかった。


 チカコちゃんは、ミユキちゃんとは幼馴染で親友だから、急に絵のことでちやほやされ始めた私のことが気に食わなかったようだ。

 絵のことなら、自分の親友の方が私よりもずっとうまいとライバル心を燃やしたのかも知れない。


(自分のことでもないのに、どうしてドヤ顔ができるのか……。まあ、売られたケンカは買うけど)


 私は、本当にミユキちゃんが絵がうまいのか確かめることにした。


「ミユキちゃんの絵、見たいな」


 私は、回りくどいのは嫌いだ。

 だから、ストレートにそう言った。

 すぐに、ミユキちゃんは承諾してくれた。

 彼女は、ぽっちゃりしていて運動はまったく得意ではなかったが、絵には自信があったのだろう。すぐさま目の前で描いてくれた。


 確かにとてもうまかった。

 私よりもずっとだ。完敗だった。


 そして、その絵は私の好きなアニメのキャラクターに似ていた。


「もしかして、美少女戦士ポラリス好き?」


「好き好き。あと勇者少年ナイトとか毎週見てる」


「おおーっ! 仲間だ!」


 かくして、私は創作仲間を得ることとなる。


 そして数か月後、彼女と一緒に初めての同人誌コピー本を作ることを、このときの私はまだ知らない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る