第23話 探索:森のテラリウム
「えーと、この【森のテラリウム】は祈りの森に似た性質を持つ場所で、ここにいる間は現実世界での時間が止まる。そしてこの箱庭のものは製作者の俺の管理下に置かれる、ってことでいいのか」
先ほどこのテラリウムの中の物を外に持ちだせなかったけれど、手に持っていたから、なのかな。
これがもし、素材用試験管で採取した物とか、マジックバックにしまったものだったらどうなるだろう。
……試してみる価値はあるかもしれない。
「まずは朝に鑑定終わっているけど採取していないものとか。試験管に詰めていくか」
色んな草木や茸類もあるし、木も赤い果実が成る実だけでなく木の上まで見て見れば、木の実なども成っていた。
一つ一つ丁寧に採取していく。
「なるほどな。この赤い果実の成る木は鑑定では木と果実とそれぞれ鑑定できるけど、採取する時には一つの素材として数えられるのか」
こちらは以前この木を採取した時に素材としては登録されていたみたいだ。
薬草も三種類この森には生えていた。白い花と目立たない草と日陰にしか咲かない草。毒草は2種。そのうちの一つが薬草に似ていて紛れやすいやつ。
毒草も採取する必要があるかと一瞬悩んだけれど、この森を形成する種だから何かに使えるかもしれない。
朝は動転していて気が付かなかったが、茂みの方にも何かがある。
「わ、盲点だった。結構鑑定していない素材もあったんだな」
【???】が7カ所ぐらいあったので、豊作豊作と鑑定して採取していく。
【蜘蛛の巣:レア度1:追加情報>スキル:神秘の胃袋の所有者なら食べられる】
いや、食べないけど。
蜘蛛の巣なんかも素材として扱われるのか……。
ん? 何か意識に引っかかるものがあったけど、まぁいいか。
その時、冒険の書が光った。
『おめでとうございます! 【鑑定】がレベル3になりました!』
よっしゃーー!
やっと鑑定の熟練度が上がった! 一番上がって欲しかったスキルだ!
スキルが上がった事により、どんな効果が追加されているだろうか。
わくわくして、近くの木の下に落ちていた赤い果実を鑑定する。
【ボルボルの木の果実:レア度1:追加情報>祈りの森に生えているボルボルの木から取れる。そのまま食べると酸味と甘みが強く、煮込むとまろやかな味になる。スキル:神秘の胃袋の所有者でなくても食べられる】
やっと名前がわかるようになった!
って、この名前……。
「名物料理ボルボルってこの果実から名付けられてんのか!」
滅茶苦茶意外だった……。
「ちなみに、冒険の書。これ鑑定のレベルが4に上がると何が分かるようになるの?」
『【鑑定】レベル4ですと、食事効果や素材を使った場合の付加効果がわかるようになります』
やっぱり鑑定の使いやすさダントツだな……。
【鑑定】の熟練度が上がると、自動的に【鑑定領域】も広くなるみたいで、1度発動するだけで大分遠くまで見渡す事が出来るようになった。
さっそく薬草類の鑑定を再度行う。
【癒しの薬草:レア度1:追加情報>すり潰して傷口に付けると回復速度が上がる薬草。加工した方がより効果が高い。白い花が咲く。スキル:神秘の胃袋の所有者でなくても食べられる】
【回復の薬草:レア度1:追加情報>すり潰して搾り汁を傷口に付けると止血効果がある薬草。加工した方がより効果が高い。スキル:神秘の胃袋の所有者でなくても食べられる】
【寒冷草:レア度2:追加情報>寒い地域でも耐えられる草。スキル:神秘の胃袋の所有者でなくても食べられる】
すごいすごい。この二種類、祈りの森の詳細情報に載っていたけれど、本当にこの森で採取できるのか。
「わ、結構見ていくと群生している場所があるじゃないか。毒草を避けていっぱい採取してしまおうかな……いや、少し残しておいた方が次に採取しやすいかな……うーん、マジックバックに入れたけど外に出たら消えていました、って可能性もあるし1ダースずつでいいかな、とりあえず」
採取、楽しい……わくわくする。
ついでにボルボルの実はわりとこのテラリウムの中には良く落ちているのでぽいぽいと鞄の中に詰め込んでいく。
ボルボルの実×12
癒しの薬草×12
回復の薬草×12
寒冷草×12
今回はお試しなのでこのぐらい。
薬草を中心に採取していたけど、ずっとしゃがんで作業し続けていたので、腰が辛くなってきた。
「これはテラリウムに籠るの楽しすぎて現実に戻れなくなる案件……ひとまず切り上げるけど……これは罠……」
【固有魔法:テラリウム】と唱えると画面が表示される。
【森のテラリウム:普通】
成熟度☆
採取できる素材の確認
採取できるレア素材の確認
テラリウムから退出
あ、そういえば、さっきは退出に気を取られていたけれど、採取できる素材の確認もできるのか。
えいっと押してみるとそれぞれ数字が浮かび上がった。
【森のテラリウム:普通】
成熟度☆
採取できる素材の確認(12/35)
採取できるレア素材の確認(0/10)
テラリウムから退出
……。
「いや、こういうのコンプリートしたくなる仕様にしたの誰よ……」
女神かな……。
絶妙にコンプ欲をくすぐってくるなおい……。
とりあえずぐっと抑えて、いったんテラリウムから出る事にした。
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