第14話妹と買い出し
適当に着替えて二人と連れだって近所のディスカウントストアに向かった。歩いて五分ほどの場所にあるので、案内は不要ではと思わなくもない。
ここで日用品を買うらしい。
荷物次第では一度家に帰ってから荷物を置いて、今度はスーパーに向かいたいとのこと。
スーパーはディスカウントストアとは反対方向に10分ほど歩いた場所になるので、わりと面倒だ。
思いの外、長い時間を付き合わなければならないらしい。
ナツメがさっさと歩くと、リンが遥か後方で文句を言う。
「お兄ちゃん、歩くの速すぎ!」
「いや、普通だろ?」
リンが歩くのが遅いのは、どう考えても高いヒールのある靴を履いているからだ。
ナツメはスニーカーなので、普通の速度である。
リンに付き合っているユウナも、可愛いデザインであるがスニーカーだ。
「近所の買い物くらい、普通の靴でいいだろうに」
「だって、この服に合わないし!」
お洒落なリンのこだわりらしい。
大変だなとテキトウに服を選んで着ているナツメは呆れるしかない。
「服に合わせて靴変えるとか、一体何足あるんだよ」
「え、数えたことない……」
「リンの家の玄関、靴で溢れてるくらいあるよ」
「それは凄いな……」
ユウナの補足に想像して、思わず呻く。
「お前、それ全部持ってきたの?」
「とりあえずはシーズンのものだけよ」
「それでも段ボール二箱になってたから」
「うちの玄関にはおけないぞ?」
ユウナがリンの靴の量を伝えてくる。ワンシーズンでそんなに靴の種類がいるのか?
物置部屋も潰してしまったので、ますます置き場所がない。
「靴はなんとかなるけど、あの服はどこにも置けないと思うの……」
ユウナがこめかみを抑えて呻くように呟いた。
思わず、ナツメは頓狂な声をあげた。
「え、服まで?」
「だから、トータルコーデは基本でしょ」
「いや、知らんけど……」
だからとか言われても、私服が三着しかないナツメに言われても困る。
ちなみに何箱あるのか聞くのが怖い。
「ユウナだって、勉強用の本が凄いじゃない」
「学生の本分は勉強だよ?」
さすが優等生、学年主席。
言うことに説得力がある。
「学校の教科書と教材だけじゃなくて、塾の分もあるから。それと参考書とか問題集とか」
やはりそちらも凄い量になりそうだ。
だから、あの量の段ボール箱だったのかと納得した。
しかし聞けば聞くほど、片付く気がしない。
「お前たちの荷物、スペース的に片付けるのは無理なんじゃあ……」
思わず溢せば、二人が物の見事に視線を外した。
心当たりはあるわけだ。
素直で宜しいと褒めるべきか?
「キイさんが部屋広いからって言ってたのに……」
「いや、一般的な4LDKSに比べて、広いんだよ。一部屋ずつの面積が。お前らの荷物が一般的な量じゃないだけで」
ナツメの言葉に、二人は完全に沈黙した。
そうまでして、同居したいものか?
「お前ら、まさかとは思うが荷物多すぎて家を出たとかいう事情じゃないよな……?」
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