第7話同級生の妹
そうして訪れるだろう妹をまんじりともせずダイニングで待ち続けて、さすがに夜中の0時を回った時点で今日は来ないのだなと納得した。
お風呂にも入らずに待ち続けたし、母が用意した夕食も気もそぞろに食べた。
スマホを触っていても落ち着かないし、そわそわとしながら時計の針を気にする時間は本当に辛かった。
というか母よ。
なぜやってくる時間を教えてくれなかったんだ。
メモを何度も見つめて、どこかにそれらしき言葉が書かれていないか探したが、何度見返しても簡潔な文字が並ぶだけで、時間らしきものはなかった。
不安な気持ちが一転、腹立たしい気持ちになる。
短時間で風呂を済ませるとパジャマに着替えて、ナツメはさっさと寝ることにした。
時間はすでに深夜の1時を過ぎている。
夜更かしは珍しいことではないけれど、こんなに疲れた思いは初めてだ。
たいていはスマホをいじっていれば時間があっという間に過ぎていく。人を待つのって疲れるんだなと実感した。
そうして、もんもんとしながらベッドに横になって、なんとか明け方に眠った。
――だから、めちゃくちゃ眠たいはずなんだ!
だというのに、玄関のチャイムに起こされて寝ぼけた頭で宅配便だろうと何も考えずに扉を開けて愕然とする。
眠気なんて瞬時に吹っ飛ぶ。
ナツメはまだ夢の続きを見ているのかと思った。
土曜日に自分の高校の美少女二人が家にやってきただけでなく、彼女たちは腹違いの妹だとのたまったのだから。
ナツメの願望が見せた夢か。
いやそんな願望を抱いた覚えはない。
そりゃあ、ユウナともう少し話せればいいかなと思ったこともある。
だけれど、この展開は決して望んでいない。
何より、腹違いの妹だとしたら血がつながっているわけで。兄妹として、淡い恋心は封印しなければいけないのだ。
いや、今はそんなことを考えている場合ではない。
とにかく、妹と同居なんて結構ですとお引き取り願わなければならないのだから。
結局、玄関で押し問答する訳にもいかず、二人をリビングに案内する。
ソファに座ってもらい、ナツメはとにかく着替えるために自室に引っ込んだ。
そして、頭をフル回転させる。ほとんどカラ回っていたけれど、結論は同じだ。
同居は断固反対。
たとえ、学校一、二を争うほどの美少女だとしても。
というか、父よ。
同級生の女の子が腹違いの妹ってどういうことだ。
ナツメは彼女たちの年齢を思って、亡き父にさらなる嫌悪感を募らせた。
本当に、あの男はクズだ。
母を泣かせた時点で最低の男だし、行いも最低であるが、同じ年の妹はない。
てっきり中学生か小学生だと思っていた。
小学生を追い出すのはちょっとかわいそうだけど、小学生に世話される高校生も絵面的にヤバい。
だからこそ、心を鬼にしてでもお帰り願おうと思っていたのに。
高校生。そして同級生。さらに、なぜか二人。
さすがに予想と違いすぎる。
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