#017 作戦概要 その2
「残念なことにダンジョンへの立ち入りを禁止するわけにはいかない」
心底残念そうに先生が否定する。
「国からの圧力が働いていてね」
マジかよ日本政府サイテーだな。
「今やダンジョン配信は世界で最も大きなビジネスだ。その活動を妨害されないために、世界中が必死で
「全ては”利権”のためか……実にくだらん発想だな」
呆れ顔で魔王が続けた。
「しかしグリエラが現れたのは都合が良い。この話、俺も一つ手を貸してやろう」
「ありがたい。と、言いたいところだが……何を企んでいる?」
先生が魔王に疑いの目を向ける。
「グリエラの出現も全ては君の指示通り、では無いだろうね?」
「……いいや、それはない」
面倒臭そうに言葉を返す魔王。
「アイツの考えていることは俺にもよく分からん。しかし奴に対し、俺は人質として十分に機能すると伝えておこう」
「……なるほど」
納得した様子の先生。
「白凪君と魔王の間で一度契約が交わされてしまった以上、それが遂行される以外で魔王が自由になる方法はない。グリエラの目的が魔王との再会なら、白凪君を傷つけることができないはずだ」
それなら僕の安全は保証されている、のか?
「もしかしたら魔王がグリエラと接触し、事情を説明しただけで解決するかもしれない」
「……うーん、どうでしょう」
苦笑いしながら疑問を口にする柚葉さん。
「魔王様はグリエラさんに会ったら何て言うつもりですか?」
「……さぁな」
返答を濁す魔王様。
「貴様らの不利益にはならんであろう受け答えは約束する」
聞いて、渋々引き下がる柚葉さん。
「ともかく貴様たちがグリエラを退治できれば、また配信が盛り上がるのではないか? その協力であれば、いくらでも請け負うぞ?」
確かに僕たちにとって損のない提案だ。
鶴見先生からの依頼も解決することができる。
「作戦の方針はこれで決まったね」
先生がこれまでのやりとりをまとめる。
「作戦の第一目標は魔王とグリエラの接触だ。そのためにクラス全員で実習を行い、グリエラを引きつける餌となってもらう」
「でも先生……私たちじゃ多分、普通のモンスターにも勝てませんよ?
「そこは先ほども言った通り、護衛をつけるから問題ない」
どれほどの使い手かは先生に任せるしかない。
色々と疑問は残るが、作戦の概要はこれで定まった。
後は作戦が問題なく進んでくれれば良いわけだ。
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