フランス旅行

@tnk17854

フランス旅行

初めての海外旅行であるフランス


私はシャルル・ドゴール空港からパリ市内に降り立って、駅へと向かうバスに揺られていたのだが……

あんたは日本人ざんすね

いきなり日本語で話しかけられ、振り向くとそこにいたのはフランス人っぽい女性

「私は日本人ざんす! よろしくお願えーます?」

(何この人!?)


突然目の前に現れた女性はそんな事を言いつつ私に握手を求めてきた。しかもやたら馴れ馴れしい。

「あの~」

「なあにざんすか?私の日本語、分かりづらいですかざんす?」


「い、いや~ 意味は分かるんですけど、語尾がね、語尾が」         

「ゴビってなんですかざんす?」

「ん~ああええっと話の最後の単語っていうかですね~

んん~

たとえば、あなたが今言った「分かりづらいですかざんす?」なんですけどね

最後のざんすってのがなんか、その、あまり聞かないなあって…へへっ」


私が話し終わるとフランス人女性が急に私を睨みつけ始めた


「あれ?まずかったかなあ……」


「……………………ざぁ~けんじゃねぇ~ざんす!!!!!」

「これは学校で習った由緒正しき日本語でざんすが、あなたは私を侮辱しているのかでざんすか?」

「(もう我慢できないい!)侮辱とか由緒とかいう単語使える人間がざんすなんて使うか普通!」

「てめぇのその言い方だと私が悪いみてえじゃねーざんすか!いい加減にしろですう!」

…他の乗客もさすがに鬱陶しく思ったのだろうか、こちらの様子をじっと眺めている


こうなったらもう面倒だな。

適当に謝っとこ すいません調子に乗りましたごめんなさい許して下さい。

ほら~謝ってるじゃないですか~これでいいんざんしょ~う??

(まずい、いつもの煽り癖が…!!)

するとフランス人女性の顔色が変わった。さっきまでの激昂とは真逆に顔を青くさせ冷や汗をかきながら震え始める

え?どうしたんですか大丈夫ですk――


「そいつを捕まえてくれーざんす!! それは泥棒ざんす!!!」

女が指差したのは私の鞄の中に入っているルーブル美術館の特別展チケット

ええっ!?いやちょっと待ってくださいよ、これあなたのものじゃないんでs――

「捕まえろでざんす!!絶対に逃がすんじゃねえぞ!絶対に捕まえるざんす!」

女は異様に足が速くみるみる距離を縮められていく私

やばい!!捕まる!!


その時

一人の青年が目の前に現れた

私はとっさに青年の後ろに隠れた

「なんだあんたh~☆〇§Δ〇★~!!!!」

言葉にならない言葉を発しながらこちらへ突進する女


青年は殴りかかろうとする女のパンチをかわすと同時に身体をかがめ女の腹に正拳突きを喰らわせた


女は失神し、そのまま警察に引き渡された


…ああ、なんてかっこいいんだろう

異国の地でこんな心優しい方に出会えるなんて…

最悪の旅行が一転最高の旅行になりそうだわ…


あの!!もしよろしければ何かお礼をしたいのですが…


青年は言った


そうだなあ…

じゃあそのルーブル美術館の特別展チケットを譲ってくれないでゴワすか?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

フランス旅行 @tnk17854

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る