第15話

 今日の授業が終わり帰路につく。

 ほとんど寝ていたから覚えてないが、歴史のあとは、数学、物理学の授業だったろう。


 歴史はともかく、魔女様々なこの時代になんで数学や物理学までまだ学ばにゃならんのかはよくわかっていない。

 だから睡眠の時間にさせてもらっているのだが。


 駅の改札を通り過ぎて、ふと思い出す。

 そういえば昔は電車に乗るのにもお金がかかったらしい。だが魔女のおかげで電車も魔力で動く用に自動化された。決められたルートを運転手も不在で勝手に動くのだから誰がお金とる必要があるのか、といった感じだ。

 それでも運用当初は駅員の働き口が〜と騒がれて有料にしようという動きがあったらしい。

 しかし結局魔女がねじ伏せたと聞く。全ての仕事をこの世の中から無くせば皆働かなくていいだろう、と。

 時間はかかったそうだが、実際に魔女達はありとあらゆる魔道具を生み出し、人々から労働を奪った。そうして最低限の生活を営むにはお金がかからないようになった。贅沢をしたいならば話は別だが。


 どう考えても入り切らないだろう数の人波に流されるように車内に乗り込む。しかし、中に入るとガラガラなのである。何回乗ってもこの不思議には慣れない。

 これも魔女が魔法でちょちょいのちょいとしたのだろう。

 そこまで便利にしてくれるなら、電車だってわざわざ乗らなくても駅から駅までワープできるようにしてくれればいいのにと思う。

 そこは侘び寂びだとかなんとか。歴史の教科書には書いてあった。教科書にそんなこと載せるなよと呆れはしたが、事実だから記載せざるを得なかったのだろう。


 そんなことを考えているうちに最寄り駅まで着いた。

 魔女のおかげで便利になったことはありがたい。だが、便利になった代わりに人類は暇を持て余している。うちの親なんかも年中だらけている。学生には学校があるからまだよい。

 しかし、自分も大人になったら両親のように無為に過ごすのかと考えると少し怖くなった。

 その不安を少しでも払拭しようと思い、僕はまっすぐに帰らずに寄り道をすることにした。

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