第6話

 始めてキスをした影響は私の中で絡みつくように残っており、気が付くと自然と彼女のことを目で追っていた。

 デートし続けてからというもの、私の中である思いが日に日に大きくなっていった。

 罪悪感がすごい。


 いつもと変わらない放課後の茶会。

 キスをしてから少し日が経つけど、その間も雪那はどんどんかわいくなっていくし……騙している私の心がそれとは反比例するようにズキズキと痛い。

 今も少しチラチラとこちらを見る雪那がめちゃくちゃかわいい。

「もうすぐ夏休みに入ってしまうわね。会う日を今のうちに決めておこうかしら」

「そうですね」

「元気ないみたいだけど、どうかした?」

「いえ……そういう雪那は何か落ち着かない感じですね」

「そっそう? そうね」

 すっかりデレるようになってしまった雪那が辛い。

 自分の唇を触って赤面する顔が妙に色っぽいし、落ち着かないのかもじもじと体を動かす態度は超かわいい。

 それに赤面した顔は私の琴線を激しく刺激する……やばい、優勝だ。


「やはりキスというのはすごいものね。もしあなたさえよければ、もう一度してみたいのだけど……」

 少し恥ずかしそうに言う雪那。可愛すぎる。

 私の本能が愛でたいと訴えているけど、罪悪感が静止させる。

 前に出してしまった手を戻しながらカップに視線を戻す。

「どうかした?」

「雪那さん」

「何かしら」

「……私……っ」

 出かけた言葉を咄嗟に飲み込む。

 彼女を攻略するだけだったのに、いつの間にか私が惚れてしまったようだ。

 そんな彼女を騙してお金を出させるのはやっぱり間違っている。

「莉音?」

 キョトンとかわいく首をかしげながら私を真っ直ぐに見つめてくれる……やっぱりこういうのは良くないよね。

「……私はもう、ここには来ない。今までのお金はなんとか返すから……さよなら」

 背を向けて走り出す。

 後ろでは雪那に「待って」という言葉はかけられてなかった。

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