第4話:これってまじで誤解だから。

夢ちゃんは夢の中へ帰らず、俺のそばにいてくれるようになった。


夢とはその後も順調よく愛を育んでいた。


俺が大学とバイトで忙しくしていた。

バイトで疲れて帰って来た俺はソファにもたれて一息ついた。


「お疲れ・・・カンちゃん」


夢が冷たい飲み物を出してくれた。

その飲み物を一気に飲み干すと、俺は夢にチュってした。

ちょうどその時だった。


俺の部屋のチャオムがピンポーンって鳴った。


最近ネットでなにも買ってないから宅配だとは思わんかったし

田舎からおふくろだ出て来たのなら、前もって連絡が入るはず・・・。


もしかして大学のダチかと思って、俺は軽い気持ちでドアを開けた。


「こんにちは・・・」


ちょっと派手めな女がそこに立っていた。


「え?絵里?、ちゃん・・・」


「夢野又君・・・今時間ある?」


それは俺と同じ大学に通ってる女子「大楠 絵里おおくす えり」だった。


「とくに用事はないけど・・・でも・・・」


「入っていい?」


「あ・・・今日はマズいってか・・・ずっとマズいし・・・」


「カンちゃん・・・だれ?」


玄関で俺が絵里とやりとりしてたから、夢が気がついて様子を見に来た。

夢を見て絵里はいぶかしそうな顔をした。


「夢野又君、この子誰?」


「ああ・・・俺の彼女」


「カンちゃんこの人は?」


このとき夢の心に不安がよぎった。


「そうなんだ・・・へ〜夢野又君も隅に置けないね」

「こんな可愛い子、どこで拾ってきたの?」

「私と寝たときは彼女なんていなかったよね」


「ちょちょちょ・・・待て待て・・・」


「なに、慌ててんの・・・寝たよね、何度も・・・私と」


「いいから、外で話そう」


俺はそう言って絵里を外に連れ出した。


「夢、なんでもないから・・・ちょっと出てくる、ごめん」


「カンちゃん・・・」


あの女性はなに?誰?カンちゃんとどんな関係?

あの人、カンちゃんと寝たって言わなかった?

しかも何度も寝たって?・・・。


これは貫太に確かめるしかないと夢は思う前になぜか悲しみがこみ上げてきた。

私以外に女がいたんだ・・・夢はそう思った。


絵里を連れて外に出た俺は彼女を連れて近所のカフェに入った。

ウエイトレスが注文を取りに来たけど、俺は上の空だった。

たぶん適当にコーヒーかなんか注文した。


「あのさ、マズいよ・・・今更なに?」

「俺たち、ただ魔が指した者どうしだろ?」

「君とは行きずりみたいなもんじゃないか?・・・恋人でもないし」

「まあ、勢いで一度だけ、したけど・・・」


「あの時は、ふたりとも寂しい者同士だったからね」


「 夢が誤解したら、どうしてくれるんだよ」


「夢っていうのあの子。。。。かわいい名前・・・」


「いいから、なんで訪ねてきた」


「ごめん・・・私、付き合ってた彼がいたんだけどね、

そいつと別れちゃって、って言うか向こうが出てっちゃったんだけどね 」

「要は、私がフラれたってわけ・・・」

「で、寂しくて、辛くて、悲しくて・・・どうしようもなくて夢野又君に

慰めてもらおうかな〜って思って・・・ 」


「慰めてって・・・」

「そんな誰とでも寝るから、だから彼氏にフラれたんじゃないのか?」


「ひどい・・・別れたのはそれが理由じゃないよ」


「悪かったよ・・・」


「そうなんだ・・・彼氏と別れたのか・・・気の毒だね・・・とは思うけど

俺を元彼の代わりにするないよな」


「自分の辛い気持ちを俺で誤魔化そうと思ったのか? 」


「だから、ごめんって謝ってるじゃん」


「夢野又君に彼女がいるなんて知らなかったし・・・ 」

「もしいるの知ってたら来なかったよ」


「きっと誤解されてるな、夢に」

「な、もう一度俺の部屋に来て、ちゃんと夢に説明してやってくれないか?」

「もう終わってるし過去のことだし、今はなんの関係もないって・・・」


「え?寝たって言えばいいの?」

「そんなこと言ってないし・・・なにも関係ないって言ってくれって言ってんの」


「悪いけど・・・夢野又君に彼女がいるって分かって、もういいやって気に

なったから、 私帰るわ・・・彼女に夢ちゃんによろしくね。


「おい、火種だけ撒いて帰るのか?」


「もし彼女が誤解してるなら自分で解きなさい」


そう言って絵里は無責任にプイッと帰って行った。


俺がマンションの部屋に帰ると、玄関の上がり端で夢が泣いていた。


「た、ただいま・・・」

「なあ、あのさ、なんでもないからね彼女とは・・・」

「夢が泣くような理由、なにもないから」


「カンちゃんを信じてたのに・・・私だけって思ってたのに・・・」


そう言って夢はそこにしゃがみこんで号泣した。


つづく。

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