第2話:それが私の名前?、安直じゃなくて?

なんのきっかけで、どんなタイミングでこうなったのか?

俺の夢の中の理想の女が俺の目の前にいる。


「嬉しいんだけど、まだ夢見てるみたいだ・・・」


「夢じゃないから・・・」


「でもさ・・・なんでこういうことになるんだ?」

「どう考えても、夢の中から人がでてくるなんておかしいだろ?


「科学で証明されたことだけが真実じゃないって証拠だよ」

「私だって夢の中で平和に暮らしていたかったよ」


「え?出てくるの嫌だったの?」


「まあ、嫌じゃないけど・・・私だって好奇心はあるから・・・」

「現実の世界に、カンちゃんの世界に興味はあるからね」


「ミステリーだよな、まじで・・・」

「それでさ・・・俺の夢の中では君に名前ってあったっけ?」

「俺、君のことなんて呼んでた?・・・それも覚えてないんだよね」


「名前でなんて呼ばれたことないよ」

「そもそも私はカンちゃんが作り出したキャラだからね・・・ボケッとしてて

名前つけ忘れたんじゃないの?」

「それはあなたの責任でしょ?」


「ボケッとしててって・・・責任って・・・なかなかのツンデレだよね、君」

「じゃ〜、これから君のことなんて呼べばいんだよ」


「あなたの夢の中の女なんだから、あたながつければいいでしょ」

「適当につけてよ」


「そんなことある・・・普通は名前聞いて・・・よろしくね、ってなるだろ?」


「だから、つけて、私に・・・名前」


「なんかさ・・もう何年も一緒にいるみたいな錯覚覚えるんだけど・・・」


「夢の中ではずっと一緒だからね・・・飽きるくらい・・・」


「飽きるってなんなんだよ・・・俺に直接会いたくて夢の中から来たんだろ?」


「それはカンちゃんが望んだからだよ」


「俺は一度も君に夢の中から出てきてくれなんて頼んだ覚えないけど・・・」

「頼んでなくても、現実でも会いたいって想いが強ければそれは夢の中にまで

影響するの」


「そんなことより・・・な・ま・え・・・私の・・・」


「俺が君の名前つけるのか?・・・へんなの」


「そんなの当たり前でしょ」


「でもさ・・・そんなに急に言われても、すぐには思いつかないよ」


「彼女の名前なんだから夢の中でもちゃんと考えとくもんだよ」

「ワンちゃんでもネコちゃんでもみんな、ちゃんと名前あるよ?」


「そんなこと言ったって夢の中のことだし・・・」

「まてよ・・・夢の中から出て来たんだから・・・だったらそのまま(夢)で

いいじゃん」


「ゆめ?・・・それが私の名前?」

「安直じゃない?」


「いいの・・・夢で・・・可愛い名前じゃん、夢って」

「ゆ〜めちゃん・・・いいじゃん」


「じゃ〜そういうことで・・・はじめまして、じゃなくて改めまして


私、夢です・・・カンちゃん」


だいたいが、こういった人間じゃないキャラは日本の風習や文化を

知らないことのほうが多いんだ。

異世界とかから来たキャラは、なにも知らない子が多いのが普通。

だから質問攻めにあう。


だけど夢は寛太の夢の中のキャラだから、寛太の思考を受け継いでるから

寛太が知ってることなら夢も知っている・・・寛太はなにも教えなくていい。

そういうこと・・・楽勝じゃん。


もし家族と同居してたら、夢のことをなんて説明したらいいんだって

俺は思った。

起きたらベッドの中で一緒に寝てた女を俺の彼女だって紹介するのか?


外から連れて帰って来たのなら、なんとでもごまかし聞くけど

いきなり俺の部屋に夢がいたら、なんて言われるか・・・。


「女を部屋に連れ込んでなにしてんだって言われるのがオチだよ」

「家族と一緒に生活してなくてよかったわ」


「私はかまわないけど・・・」


「君はいざとなったら夢の中に戻ればいいじゃないかよ」

「もし君のことが家族にバレたら俺は誤解されて軽蔑されて最低の人間って

一生思われるの・・・分かる?」


「私と生活してたら、いつかはバレるよ」


「そうだ・・・バレる前に家族に紹介しといたほうがよさそうだな」


「彼女ですって紹介するの?」


「そりゃそうだろ、俺が作り出した俺の彼女には違いないんだから・・・」

「だろ?・・・夢ちゃん」


「君は俺の彼女・・・明日の朝になったらいなくなってたりしないように」


「さ〜・・・どうだか・・・それはカンちゃんの愛情の深さ次第だね」


「俺の愛情は深海より深いから・・・」


つづく。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る