第16話

---北門


北門の前にはチーム-カインズのアブ、オーラ、ウェンの3人が並んで立っている。


「本当にくるのかな〜。むしろ来ないで欲しいよね〜」


ウェンは地面に座り込みながらだらけている。


「何言ってるんだ。この間の借りを返さねーと気が済まねーよ」


オーラは拳を突き合わせながら気合いを入れている。


「コピがここに来るかは分からないけどね。だけど予告が本当ならもうすぐ正午だから来るはずよ!ウェンも準備しときなさい!」


アブは座り込むウェンの肩を持ち上げて無理やり立たせる。


「何でこういう時に僕の番になっちゃうかな〜。こういう戦闘はチューズやマンが担当でしょ〜」


「しょうがないでしょ。そんな都合のいい日にあっちは攻めて来ないんだから」


まだ弱音を吐くウェンに対してアブは呆れた口調で話す。


「お前も毎日人格が変わるなんて不便な身体だよな」


オーラは待ちきれないのか腕立て伏せを始めていた。


「ん、敵さんが来たようだ」


何かを感じ取ったオーラが立ち上がると森から人の集団が続々と現れてくる。


「何で門が閉まっているんだい?それにあいつらはもしかして超能隊か?」


集団の先頭に立つ紫髪の女性、ポインが隣に立つ部下に問いかける。


「どうやら私達の襲撃が漏れていたようですね」


隣に立つふくよかな体型の女性がポインの質問に答える。


「まぁ関係ないね。既に報酬は貰っているし超国を潰すいい機会なんだこのまま攻め込むよ!」


ポインの号令をかけると配下の盗賊達は門にむかって駆け出していく。


「いきなりかよ!俺らも行くぞ!」


盗賊達が森から顔を出してすぐに3人に向かって走り出すのを見てオーラがアブとウェンに対して声をかける。


「あ〜本当に来ちゃったよ〜」


ウェンは向かってくる盗賊達を尻目に落胆する。


---南門


南門の守護をしているのはチーム-ブルームのバン、ビース、イスの3人である。


北門で盗賊達の襲来があった同時刻に突如空から大きな岩が飛んでくる。


岩は地面に当たると砕け散り砂埃が発生する。


「ロックの兄貴毎回思うんでヤンスけどこの移動方法やめた方が良くないでヤンスか?」


砂埃がはれて現れたのはセージ三兄弟である。開口一番に末弟のヘアがうつ伏せの状態でロックに話しかける。


「そう言うなよヘア。俺はこの移動方法は楽だしスリリングで好きザンスよ」


弱音を吐くヘアとは違い次男のスードは笑いながら膝立ちの状態から立ち上がる。


「門に直撃させるつもりで操作していたが少々外したか」


長男のロックはかなりの衝撃があったにも関わらず仁王立ちの状態で話す。


「やっと来やがったな。待ちくたびれたぞ」


地面に胡座をかいていたビースは立ち上がると三兄弟に向けて睨みを効かせる。


「あっ、兄貴達!あれは超能隊でヤンスよね?なぜここに?計画が漏れてたってことヤンスか?」


ヘアは門の前に立つ超能隊を見て捲し立てて話す。


「何だ。あいつらこっちに宣戦布告してきたのを知らないのか?」


大声で話すヘアの声が聞こえてきたバンは、昨日コピが超能隊本部にやってきたことを三兄弟が知らない様子なのに疑問を感じたようだ。


「待て待てヘア。あっちには確か千里眼の能力者がいたはずザンス。俺らが攻めに来たのを見られたのかもしれないザンス」


慌てふためくヘアをスードは肩を叩きながら落ち着かせる。


「私あの人達の顔知ってますよ!確か殺し屋のセージ三兄弟です!」


ニコニコとした笑顔をバンとビースに向けてイスは話す。


「なるほどな。少しは楽しめそうじゃねーか」


イスの話を聞いたビースは少し口角をあげる。


「俺らは依頼された仕事をこなすだけだ。行くぞ」


ロックは淡々と話すと門に向かって歩き出す。ロックの後を追うようにヘアとスードも歩き出す。


「こちらも行くぞ」


バンもビースとイスに対して短い言葉で合図を送ると3人も歩き出す。


---西門


西門の前では既に戦いが始まっている。


団員数1000人を誇るダチュラ団は3人を取り囲んで次々に殴りかかったり能力を使って攻撃している。


しかし、多くの攻撃をチーム-ファビュラスの3人は涼しい顔でいなしている。


ポートは瞬間移動で攻撃を避けると同時に瞬時に懐に入り手に持つナイフで致命傷を与えていく。


左手にもつクラブマークと同じ形の盾で攻撃を跳ね返し、右手に持つ持ち手の左右に丸いオブジェの付いている棍棒で目の前の敵を切り裂いている人物はカード・レッドミル。金髪のモヒカン頭で左頬にクラブマーク、右頬に数字の9が描かれているのが特徴である。


3人目の人物は超能隊最強の人物、レイ・クアンタ。身長は低めで目の上まで真っ直ぐ黒髪が伸びており、終始自信が無さげな表情をしている。レイに来る攻撃は全てレイを通り抜けており逆にレイの手に持つ鎌による攻撃によって周囲の人物の首は刎ねられていく。


「超国最強チームのファビュラスが相手か。貧乏くじを引いちまったな」


ダチュラ団頭目のサム・コルダンは自身のちょび髭を触りながら面倒くさそうな目でファビュラスの3人を遠めで眺めている。


「こちらの兵の数がどんどん減っていっております。我々も出ますか?」


サムの横に立つ肌黒の大柄な男がサムに問いかける。


「いや、まだ待て。兵なんてすぐにまた集まる。それよりもあいつらを少しでも疲弊させることが大事だ。それにそろそろ号令を出す」


サムは男にそう言うと不適な笑みを浮かべる。


---東門


東門の前ではイゾウ・オカの目の前にチーム・サイユウの3人がいる。


「おうイゾウ、久しぶりじゃねーか」


ゴクウは雲の上に胡座をかきながらイゾウに話しかける。


「よっゴクウ、元気そうで何よりだ!」


イゾウは話しかけてきたゴクウに対して笑顔で返事をする。


「まさかお前が超国を潰しに来るとは思わなかったぞ」


長身のスキンヘッドで右手に杖をもつゴジョウが続いて話しかける。


「いやいや、俺は超国を潰す気は一切ねーよ。俺の役割はここに来たやつの足止めだけ。それさえやれば大金が手に入るんだ」


三人との距離は10メートル程離れた位置でイゾウは両手を上に挙げながら地面に座りこむ。


「じゃぁイゾウと戦わないでいいんだね。安心したよ」


ゴジョウの隣に立つ一際体がでかい人物、ハッカイは穏やかな表情でイゾウと話す。ハッカイの体のパーツは全て丸みを帯びておりマスコットキャラのような見た目をしている。


「あぁそうだ、昔話でもして時間でも潰してようぜ」


イゾウはリュックに手を入れて酒瓶を取り出すと一口飲む。


「つまらねーな。じゃぁ俺は別のところにでも行ってくるか」


ゴクウは戦意のないイゾウに興味を無くしたのか雲に乗って別の場所に移動しようとする。


キィーン


ゴクウがイゾウから目を離して飛ぼうとした直後イゾウは腰に刺した刀を抜き、離れた位置にいるゴクウに対して刀を振る。


するとイゾウの刀は急速に伸びていきゴクウの死角からゴクウに襲いかかる。だが、刀がゴクウに到着する前にゴジョウが杖を地面に叩きつけゴクウと刀の間に結界を張り刀を弾く。


「だから俺の役割はお前らの足止めだって言ったろ。大人しくここにいてくれよ」


イゾウは弾かれた刀を元の長さに戻していく。


「ハッ、やっぱりやる気あるじゃねーか!ゴジョウ、ハッカイやるぞ!」


ゴクウは戦意がないと思っていたイゾウが僅かに見せた闘志に心を躍らせたようでそのままイゾウに向かって飛んでいく。


「はぁ、やっぱりお前は黙ってるなんて無理だよな」


イゾウはため息を付くと鞘に戻した刀に手を触れると飛んでくるゴクウに向けて居合切りを放つ。


ゴクウは長い棒をくるくると回した後に遠心力を利用した一撃をイゾウ目掛けて放つ。


刀と棒がぶつかり合い、ゴクウとイゾウは競り合いながら笑みを浮かべると周囲に強い風が吹き荒れる。

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