第11話
森の中で50人ほどの盗賊達が集まっている。
「ガキがこの森で迷ってるなんて運が良かったな」
盗賊達の中で一際体がでかい人物が盗賊の一人に話しかける。
「レーツの頭、こんな泣きべそかいてるガキが本当に高く売れるんすかね」
「とんだもの好きがいたもんだよな〜、このガキを打った金があれば幹部に昇格も夢じゃないぜ!」
レーツと呼ばれた男はスキンヘッドで右目が潰れており右手にでかい斧を携えている。
「ただ収穫はこのガキだけで他にはいなかったようですぜ」
「まぁ良いだろう。目立った動きをするとすぐに超能隊にかぎつけられるからな」
レーツの目の前には目隠しをして口に布を入れられている子供が地べたに座っていた。
「全員揃ったか?そろそろ出発するぞ」
「いえ、まだトンとカツが帰ってきておりやせん」
「はぁ、あいつら手柄欲しさに粘ってやがるのか。長いは禁物だ、先に帰るぞ!」
レーツは帰ってこない二人に呆れながらも撤退命令をだす。
「遅れてすいません、カツ帰りました!」
森からカツが謝りながら帰ってきたようだ。
「おせーぞ!あ?トンはどうしたんだ?」
レーツはトンがいない事に疑問をもつ。
「あいつは野糞してから来るみたいなのですぐに来ると思います」
カツはレーツの前にいる子供の前まで歩き子供を抱える。
「おい、カツどうしたんだ?」
レーツは不自然な行動をするカツを訝しむ。
「アルーシカは返してもらうぞ」
カツは手を顔に当てると仮面を外すようにカツの顔を剥がす。するとカツの顔の下からゴエモンの顔が現れ、服装もゴエモンが着ていたものに戻る。
「な、捕えろ!!」
レーツは右手に持つ斧を振り上げながらゴエモンに向かう。
「煙玉」
ゴエモンは地面に玉をぶつけると煙が急激に広がってゆく。
「衝撃波(インパクト)」
レーツが斧を振り回すとするが斧から衝撃波が発生して煙を散開させるが既にその場にはゴエモンと子供の姿はなかった。
「逃げられたか!探せお前ら!!」
ゴエモンはすぐさま盗賊達に支持を出す。
次の瞬間足場が脆くなり全員地面に吸い込まれていく。
「蟻地獄」
「ここでお前らは捉えさせてもらうっす」
木の後ろで隠れながらサタが能力を使ったようだ。
地面に吸い込まれている盗賊達はジタバタして脱出しようとしているが、ポートが急に現れ一人ずつ気絶させてゆく。
「ちっ、超能隊か!」
「大衝撃(ビッグインパクト)」
レーツは斧を地面に振り下ろし衝撃を与える事で蟻地獄を止める事が出来たようだ。
だが、盗賊達は既に半分程が気絶している状況である。
「野郎ども逃げるぞ!」
レーツは生き残っている者だけを連れて逃げるようだ。
「砂塵包囲壁(サジンホウイヘキ)」
だが盗賊たちを囲むように砂の壁が現れて逃げ道を塞がれてしまう。
「大衝撃」
レーツは斧を砂の壁に叩きつけ衝撃を与える事で壁を壊す事に成功する。
「こっちだ!」
レーツが自身で開けた穴を通ると目の前にはゴエモンが立っていた。
「邪魔だ!衝撃波!」
レーツはすぐさま斧を振り下げてゴエモンに衝撃波を放つ。ゴエモンは素早い動きで衝撃波をかわすとレーツとの距離を縮め、手に持つハンマーを振り抜く。
ゴエモンのハンマーがレーツの胴体に当たると、レーツの体は勢いよく吹き飛び砂の壁の中に戻されてしまう。
「砂圧流波(サーツリューハ)」
サタが再び能力を発動すると砂の壁が中心に向かって倒れ、中にいる盗賊達に襲いかかる。
砂の勢いが収まった後にサタが砂を散開させるとそこには気絶しているレーツ達の姿があった。
「いっちょ上がりっすね!」
「よし、よくやったな。じゃぁ俺はアルーシカを家に送り届ける。サタはここにいる奴らを本部に運んでくれ。ポートはさっき気絶させた二人のやつらを頼む」
ゴエモンは二人に指示を出すと木の影に隠れていたアルーシカを抱き抱える。
「え〜、俺が送る役がいいですよ!俺の能力は他人を移動させられないから、男二人を抱えて帰るって事じゃ無いですか〜?」
「うるせー!普段楽に移動してんだからここいらで自分の足で歩くことを思い出しておけ!」
ゴエモンは不満を言ってくるポートに対して理不尽な言葉を返す。
「そういえばもう喋っても大丈夫だぞアルーシカ。よく耐えたな!」
ゴエモンは抱えているアルーシカの頭を撫でながら優しい口調で話す。
「ゴエモンさんもサタさんもポートさんも助けてくれてありがとう!本当に怖かったよ、、」
アルーシカは緊張が解けて、耐えていた涙を流し始める。
「じゃぁお前ら頼んだぞ!」
ゴエモンはアルーシカを抱えたまま森の中を走り去る、
---
「アルーシカ!無事で良かったよ!ゴエモンさんも連れてきてくれてありがとうございます」
「おばあちゃん、すごく怖かったよ、、」
ゴエモンがアルーシカを家に届けるとアルーシカはすぐさまおばあちゃんの元へと駆け出す。
「これに懲りたら、あんまり森の奥の方に行くんじゃねーぞ」
ゴエモンはアルーシカに一言声をかけるとその場を離れて超能隊本部に足を運ぶ。
超能隊本部に着くと本部の前にはサタと砂で拘束されている盗賊達の姿があった。
「ゴエモンさん、ちょうど俺も今着いたんすけどポートさんのこと待ちますか?」
「いや、あいつは時間かかるから先に報告するぞ」
「じゃぁ先にこいつらを地下に入れるんで、先にブレイクさんの所へ行っておいて下さい」
サタは盗賊達を連れて本部の中に入ると、その後ろに続いてゴエモンも中に入り2階の奥の扉まで歩く。
扉をノックした後、扉を開けると机を挟んだ奥に座っているブレイクの姿がある。
「ブレイクさん、森で盗賊達を捕まえたので地下に捕えました。盗賊達はダチュラ盗賊団の一員とのことでした」
「構成人数が1000人を誇るダチュラ盗賊団か」
「捕まえた盗賊は子供を誘拐しており、その子供を西の国で高く売るつもりだったそうです」
ゴエモンが盗賊達について説明するとブレイクは目を丸くし驚いた表情を見せる。
「西の国、、キクレンの生き残りかも知れんな。とりあえずはよくやってくれた」
ブレイクはゴエモンから聞いた話を紙に書き出している。
「この話はブレインにも伝えておくとして、森のパトロールも強化する方針にしておく」
「ありがとうございます、では失礼します」
ゴエモンは起きた出来事をブレイクに伝えると部屋から出る。
「ゴエモンさん、報告は終わりましたか?」
部屋から出ると地下へ続く階段を登ってきたサタから声をかけられる。
「あぁ。今日のところはもう上がっていいぞ。」
「よし、じゃぁお疲れ様っす!」
サタがゴエモンに頭を下げた後に扉を開けて外に出る。
「つ、疲れた、、」
扉の前には盗賊二人と共に地面に倒れているポートの姿があった。
「あっポートさんお疲れ様っす!この二人は俺の方で地下まで連れていきましょうか?」
サタは倒れているポートの姿を見て驚くが砂を操り二人の盗賊を抱える。
「いや、ポートに最後までやらせておけ。いつも生意気な口を聞いてくる罰だ」
「りょーかいっす!」
砂で持ち上げられていた二人の盗賊は砂が散開すると地面に叩きつけられる。
「そ、そんな、、」
ポートはゴエモンに絶望の顔を見せるがゴエモンはポートに見向きをせずそのまま帰って行った。
「あいつ、今度飲み物に下剤仕込んでやる、、」
ポートは復讐に燃えながら二人の盗賊を連れて本部の中に入っていく。
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