第8話
任務失敗した次の日。カインズの3人は超能隊本部の隣にある治療場のベッドで横になっていた。
「皆さん、治療していただきありがとうございました!」
カインズの3人が眠っているベッドの前に立っているそれぞれの人物に向かってアブがお礼をする。
「まさかお前らが任務に失敗して帰ってくるとはな。何はともあれ無事で良かった」
アブの前に立つ人物が話す。その人物の名前はカード・レッドミル。金髪のソフトモヒカンが特徴で左頬に赤いハートマーク、右頬に7の数字が描かれている。
「そうだな、さっき聞いたメシアという組織のコピという人物は気になるが、、」
「奴は俺ら超能隊の能力を次々に使って俺らに攻撃してきました。かなり厄介な奴でしたよ。」
オーラの前に立つ人物は、ストロング・アイマー。ガタイががっしりしており、黒髪のオールバックにサングラスと厳つい見た目をしている。
オーラの隣のベッドで寝ている人物は銀髪の坊主頭で黙って会話を聞いている。
「ブレイクさんも心配していたから、さっさと行っておあげなさい」
銀髪の人物の前に立つ人物は、バン・ブラタノール。身長が高く、豊満な胸で谷間が目立つ服を着ており、長い赤髪には艶があり魅惑的な大人の女性という印象である。
「はい!ありがとうございます!」
カインズの3人は治療場の隣に立っている超能隊本部に向かい、ブレイクのいる2階の部屋に入る。
「失礼します!カインズの3人治療が済んだので先日の件で報告いたします」
アブ達と机を挟んで座っているブレイクに向かってアブが話す。
「ひとまず無事で良かった。では何が起こったのか報告を頼む」
3人は先日何が起こったのかブレイクに話し始める。
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「なるほどな。恐らく先日ムサシやゴクウと戦っていたピエロと名乗った奴と関係があるのかもしれん」
ブレイクはこれまでの情報を机にある紙に書き出している。
「この情報は後でパシーに超能隊に共有しておくよう言っておく。3人は今日はゆっくり休んどいてくれ」
ブレイクが話終えると3人は部屋から出て超能隊本部から外に出る。
「今日はもう解散にしようか!オーラ、フライまたね!」
アブは二人に別れを告げると歩き出す。
「フライすまねぇが、この後ハッカイさんのところに行って欲しいんだ。一昨日の仕事の時に鉄が足らなくてな」
フライと呼ばれた人物は黙って頷く。
「悪いな。じゃぁよろしく頼むわ!」
オーラもフライに話終えると歩き出す。
フライもハッカイがいつも仕事をしている場所に向かい歩き出す。
「緊急連絡!!東北のロベリア海岸に向かってくるミサイルを確認。超能隊の皆さん対応して下さい!!」
フライの頭の中にパシーの言葉が響いてくる。
フライは僅かに顔をしかめながら走り出す。
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ロベリア海岸の砂浜に続々と超能隊のメンバーが集まってくる。
ゴクウとゴジョウは雲に乗って二人で現れ、フレイとアクアは空を飛んで来た。
さらに金髪の少女のような人物も走りながらロベリア海岸に現れる。
「おし、このメンツがいれば大丈夫だろ!俺が指揮を取るぞ」
ゴクウは地上にいるフレイ、アクア、少女の事を雲の上から見て大声で話す。
「まずフレイは飛んでくるミサイルに特大の炎をかませ!俺は煙を抑える。アクアとゴジョウで海岸を守れ。イスはゴジョウのサポートを頼む!」
ゴクウは全員に指示を出すと雲の上に座っているゴジョウの背中を蹴り地上に落とす。
「おい!乱暴に落とすな!!」
ゴジョウは不意に背中を蹴られたことで頭から地上に落下する。だが地面に衝突する前に体に青い糸が絡みつき空中で止まると優しく地面に着地する。
「ゴジョウさん大丈夫ですか〜?」
少女の指から伸びていた青い糸はゴジョウを地上に降ろすと消え去っていく。少女はニコニコとした笑顔をゴジョウに向けている。
「あぁ、イスちゃん助かったよ」
ゴジョウは頭に手を当てながらイスに礼をいう。
「おい、ミサイルが見えてきたぞ!準備しろ」
フレイは忠告すると、足から炎を噴射して空中に飛ぶ。
「赤い糸」
イスの左手の小指から赤い糸が伸びていきゴジョウの左手の小指に繋がる。するとゴジョウの体から赤い光が発せられる。
「準備ができたな?ではやるぞ!」
「わかりました」
アクアからの呼びかけにゴジョウは答え、ゴジョウは手に持つ杖を地面に叩きつける。ゴジョウの動きに合わせ、アクアも両手を前に突き出す。
「「水防大結界(アクア・ウル・バリア)」」
海岸沿いにデカい結界が張られた後に、結界を覆うように水の壁が現れる。
「火輪(かりん)」
空中にいるフレイは片手を挙げた状態で火の玉を出す。その火の玉は徐々に大きくなり、最終的に直径10メートル程の大きさになる。
ミサイルは既に数秒で到着する速さで迫ってきており、フレイは生み出した火の玉をミサイルめがけて投げる。
ドカーーン!!!
ミサイルと火の玉がぶつかると大きな音と共に、爆発が周囲に勢いよく広がっていく。
「踏ん張れよ、ゴジョウ!」「わかってます!」
爆発は結界に当たると音を立てながら競り合っている。ゴジョウとアクアは苦しそうな顔をしながら結界を維持する。次第に爆発は収まっていく。
爆発が収まった後に煙だけが残り、悟空は発生している煙を圧縮していく。
煙も全て圧縮されて小さな玉にするとゴクウはベルトに玉をつける。
「全く、毎度毎度めんどくさいことやってくれるな。そろそろ無駄だと察して欲しいんだが」
一段落してアクアが愚痴をこぼす。
「今回の元老院会議はどうなりますかね〜。そろそろヒロさんの怒りが抑えきれ無さそうですが」
イスは苦笑いをしながら話す。
「さぁな、とりあえず終了連絡するか」
「花火」
フレイは空に向けて火の玉を打ち上げると空中で破裂する。
「これでミサイルが処理できたことは伝わっただろう。ゴジョウ帰るぞ!」
ゴクウは地上にいるゴジョウの側に移動して煙の上に乗せる。
「皆さんお疲れ様でした!」
イスが元気よく全員に別れの挨拶をするとロベリア海岸から全員離れていく。
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街で一際でかい建物が元老院が会議を行う場所となっている。会議所では3人の人物が円卓を囲んで座っている。
ヒロ・ベリー
年齢は70歳ほどで坊主頭に白髭が特徴的である。目尻は上がっており、怖めの容姿の男性。
スーザン・スミレ
年齢は60歳ほどで金髪で老眼鏡をつけている。目尻は下がっていて、優しい印象の女性。
ガイウス・ユリ
年齢は若く20代後半辺りで茶髪のパーマでおでこは出ている。ニコニコとした表情で何を考えているか読めない男。
「では、元老院会議を始めましょう」
スーザンはヒロとガイウスに対して話し始める。
「これで機国からのミサイルは何回目だ!今回こそ報復をするべきだ!」
開口一番にヒロは今回、発射されたミサイルについて機国への報復を求める。
「今回も何も被害はなかったのだからいいではありませんか。毎回ミサイルが一発のみで機国も嫌がらせ程度にしか仕掛けてこないのですから」
スーザンは怒りを露わにしてるヒロを宥める。
「このまま好き放題やらせておけばいずれ取り返しのつかない程の攻撃を仕掛けてくるぞ!」
ヒロはそれでも報復の意見を曲げないつもりだ。
「こちらが報復を仕掛けたら戦争に発展してしまいます。それこそ取り返しのつかない事態に陥ってしまいます」
ヒロとスーザンの口論をガイウスは黙ってニコニコしながら聞くだけで口を開こうとはしない。
「一方的にやられるんだったら、戦争になった方がマシではないのか?」
「戦争になれば多くの人が亡くなる事になります。今この程度の攻撃で済んでいるならばまだこちらから仕掛けるべきではないでしょう」
「ガイウス!お前はどう考える!?」
ヒロはいまだに口を開いていないガイウスに問いかける。
「そうですね。私はスーザンさんの言う通りまだこちらから仕掛けるべきでは無いと考えております。今機国を攻めるとすれば帝国が黙っていないでしょう」
「では、今回も指を咥えて黙っているということか!?」
ヒロはガイウスにも怒りの口調で問いかける。
「ただ、機国が本格的に戦争を仕掛けてきた場合、あちらの戦力は機械でこちらは人間。長期戦になればこちらが消耗していくだけです。ならば、こちらから機国に攻め入るしか勝機はありません」
「先ほどはまだ仕掛けるべきでは無いと言っていましたね。ならばいつ仕掛けるべきだと考えているのですか?」
「私の読みでは近いうちに大きな変化が起きると考えております。今はその時に備えて戦力を温存しておくべきだと思いますね」
ガイウスは相変わらずのニコニコとした顔を変えずに二人に話す。
「チッ、まぁそっちが多数派だ。今回も報復は無しということでいい」
「分かりました。パシーに今回の話を共有させておきましょう」
「では、会議はこれにてお開きということで」
ヒロ、スーザン、ガイウスのそれぞれが発言し、元老院会議はこれにて終了となった。
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