第3話

キーンコーンカーンコーン


チャイムの音が学校中に鳴り響く。


「時間になったぞ。みんな席につくのじゃ」


一人の老人が教壇の前で子供達に向かって呼びかける。

老人は背が高く、髪の毛は全て白色で長いがボサボサで艶は消えている。長い白髭が特徴的で片手で握れるほどの長さはありそうだ。

老人の声を聞き子供たちは遊ぶのをやめて自分の席に座り始めた。


「じゃぁ授業を始める。この時間は四ヵ国の現状について勉強してもらうぞい」


老人は黒板に四つの丸を書く。

北の位置に超国

西の位置に王国

東の位置に機国

南の位置に帝国

それぞれの国名を丸の中に記載する。


「まずは超国と王国のそれぞれの特徴ついて説明できるものはいるか?」


老人は子供たちに質問する。


すると一人の生徒が手を挙げる。


「マイルズか、ではみんなに説明してあげてくれるか?」


老人は手を挙げた生徒を指名して説明を促す。


「はい、チェス先生!」


マイルズは教壇に立っている老人、チェスに向かって元気よく返事をした。


「まずは僕たちが住んでいる超国ですが、超国では超能力をほとんどの人が使えます。その力は人それぞれで全く同じ能力を持つケースはありません。そして超国では犯罪や他国からの攻撃を超能力の扱いに長けている超能隊が守っており、政治の面は国民から選出された3人が元老院という立場で担っております」


マイルズは椅子から立ち上がった後にハキハキと説明を始める。


「うむ、大体その通りじゃ。ただ昔の人物と今生きている人物の能力が同じケースは確認されておるみたいじゃがの。続けてくれ」


チェスはマイルズの説明に補足を付け加える。


「はい!次に王国の説明をします。王国の特徴は大きく分けて二つあり、一つ目は王族の血筋を大切にしている点で貴族は全て王族の血を持つもので構成されています。二つ目は神教という宗教の信者が国民の過半数を占めたいる点が挙げられます」


チェスはマイルズの説明に対し頷き、マイルズに礼を言った後に座らせる。


「うむ、王国のアース王は超国に対し友好的なのだが神教では魔法は神様の力を借り受けてるもの、超能力は悪魔の力を利用していると教えられているせいで大手を振って同盟関係を結ぶことができないのじゃ」


チェスは黒板に要点を書き出しながら説明する。


「では、引き続き帝国と機国についての説明をお願いしたいのじゃが誰かおるかの?」


チェスは黒板から生徒の方に体を向き直して生徒に問いかける。


誰も手を挙げなかった状況で気を使ったのか一人の少女が手を挙げた。


「ありがとうカーナ、では説明を頼む」


チェスは手を挙げた少女に感謝を言葉をかける。


「は、はい!帝国の特徴は生まれの身分に関係なく実力次第で王になる事ができることがあげられます。年に一度、王を決める大会が開かれ大体の王は一年ごとに変わります。しかし、現在の帝国の王ヒエンは20年間にわたり王の座を守り続けております」


カーナは辿々しくではあるがきちんと説明をする。


「帝国の特徴はカーナが今説明してくれた通りじゃ。帝国の王ヒエンの特徴としては最新の技術に対して興味があるようで近年、機国との交流が盛んになってきたの。最後に機国についての説明も頼む」


チェスはヒエンの容姿を黒板で描いて見せるが、その画力は絶望的で絵が人であるかどうかも判断が怪しいものであった。だが子供たちはそのことについて誰も触れることはなく黙々とノートに説明された内容を記載していった。


「機国の特徴はほとんどの国民が機械を作ることを仕事にしており、その他の必要な仕事は全部機械が行なっていることが特徴です」


カーナは機国についての説明を終え、マイルズと同様に礼を言われた後に席につく。


「機国は超国のことをよく思っておらず、よく爆弾のような物を飛ばして攻撃をしてきておる。その理由としては昔に超国のとある人物が魔王をこの世界に連れてきてしまったことが原因で、その時に機国がかなりの被害が出てしまった。その時から機国は超国に対して報復をするようになったのじゃ」


チェスが一通り黒板に書き終わると、黒板には文字や図でいっぱいになっていた。


「この魔王が現れた原因などについては次の機会に話すとしよう。

今日はここで授業は終わりじゃ!皆んな気をつけて帰るように!」


キーンコーンカーンコーン


チェスが話終わると同時にチャイムが鳴り響く。


「業###です。超能##部で道##りが現##した!ブレイク#んが####と修##で試#をす#み#いなの#時間が###る方##非###だ##い!」


チェスの頭の中でパシーの声が響く。


「ほっほっほ、何やら楽しげなことが起こっているの〜」


連絡を受けたチェスは自身の長い髭を触りながら微笑んで教室から退出していく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る