暴装愚連狂騒曲
@ninxnin
序章
第0話
0
「──《
《
男の掛け声と共に、UFOのように、頭上に浮かぶ円盤型の
すかさず
仕上げに余分なサポート材を除去後、円盤型の
上半身は比較的ほっそりとしている。肩や肘から先は分厚い装甲で覆われており、どこかマッシブな印象だ。両肩から両肘を覆う装甲と、二の腕や拳部を保護する
しかし下半身は逆にスリムで
フルフェイスヘルメットの頭部は逆立つ髪のように、刺々しい
剥き出しのネイキッド型とは違う。白の
これこそが
四大メーカーの一つ、サカキバラ製、紫電改の《
──鬼が出るか、蛇が出るか
──人なればこそ鬼にもなれば仏にも
──為せば成る、為さねば成らぬ、何事も
──
──《
と
──
そして。
その名を体現するように、男は暴力を開始した──
──それは正しく暴力の嵐だった。
「なんだアレは……?」
《
男が腕を振り、叩き付ければコンクリートは無残に陥没し破裂する。拳を突き出せばコンクリートの壁が一撃で崩壊した。脚を踏み抜けば壁が崩れ、大穴が空くのだ。その暴力を喰らった仲間が吹き飛ばされる光景は最早悪夢。男は人の形をした砲弾だ。
男は拳を、蹴りを、膝を、肘を、膝を撃ち込み続ける。ついに男が振るった拳が衝撃の渦を生み出しながら、金の
「まさかあいつが……あの伝説の」
そして最後の一人──総長である剛田へ向かって来る。その白い
暴装狂戦国時代の黎明期、《
それが最近一人の男により復活したという。その男の名は
そして今──噂話が眼前にいる。まさかここまでとは思ってもいなかった。まさかこんなことになるとは──。
(本物だ……)
一目で剛田は理解した。あれは違う。今まで剛田が相手にしてきた雑魚共とは違う。剛田は恐怖で歯がカチカチと鳴るのを抑えることができなかった。怖い──ただ単純に怖いのだ。抗いようのない暴力に剛田は絶望した。まるで死神のようだと思った瞬間──それは来た。
男──蓮二は無造作に腕を振り抜く。全身から高圧電流がほとばしり、蓮二を中心に青白いスパークが広がる。空間を引き裂く衝撃が空気中の電子を弾き、雷光が走り──
「──雷吼光撃!」
蓮二の咆哮と共に、電磁加速した拳が剛田の頭部を撃ち抜いた。フルカウル型のヘルメットがひしゃげながら、吹き飛び、地面を跳ねる。
剥き出しになった顔を晒しながら、剛田は宙を舞った。派手な音を立て、転がる。
何故、こんなことになったんだ? 確かに剛田は
獲物を狙う肉食獣のように、蓮二はこちらへ歩いて来る。悠揚迫らぬ足取りだ。
(殺される……)
剛田は死を覚悟した。いや、そうせざるを得なかった。恐怖で剛田の顔は涙と鼻水でぐちゃぐちゃになっており、足はガクガク震え、歯もガチガチと鳴っている。
そんな剛田に蓮二は近付き、問いかけた。
「──戦争がどうやったら終わるか知ってるか?」
剛田の返事も待たず、蓮二は右手を振りかぶった。
「完膚無きまでに叩き潰すんだよ」
こうやるんだとばかりに拳に纏わりつく、雷蛇が牙を剥き──
次の瞬間、剛田の脳裏で光が弾けた。
✳✳✳
一発の銃声が世界を変えることもあれば、小さな一歩が、歴史に刻まれることもある。
一夜にして《
これが後に日本中を震撼させる抗争の始まりであるとは、この時誰も気づいていなかった。
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