第22話 冒険者ギルド
パーティー名を「どすこいカルロス」に決めた私達は翌日。新宿にある冒険者ギルドに来ていた。
リキやシコナの話によると冒険者ギルドとは全国至る所にあるという。例えば東京ディズニーランドの中や、東京ディズニーシーの中や、東京ディズニーランドの駐車場の中にもあるらしいが、登録だけならどこのギルドでしても同じとの事で、どうせ足を運ぶなら――どうせ見学をするならと我々は日本最大利用者数を誇る新宿のギルドで登録をする事にした。
そしてリキやシコナが居るので特に説明を受ける必要はないと判断した私達は、午前中にさっさと登録だけを済ませ、ついでなので冒険者ギルドの中に必ずあるという酒場で昼食を摂って帰ろうという事になった。
なので早速席を確保し、手際良くオーダーを済ませればズラリと料理が並ぶ。骨付き肉や骨付き骨、肉の付いていない骨や肉の付いていない肉等々。我々は思い思いに料理に手を伸ばし始めた。
そんな中で私は思った事を素直に口にする。
「ところで――私はこれまで冒険者ギルドという物を活用してこない人生を送ってきたのだが。冒険者ギルドとは結局どういうところなのだ?」
リキやシコナは前から所属していたから勿論。ヨネも他の惑星のギルドに所属していたし、都もその惑星のギルドの存在を知っていたので恐らく利用した事があるのだろう。つまり全員が私より冒険者ギルドに詳しいと踏んでの質問だったのだが――答えたのはフォークとナイフで器用に豆腐を食べていたリキだった。
「そうですね。簡単に一言で言えばヤクザの事務所です」
ヤクザ? ……なるほど自警団という事か。ヤクザのケツ持ちとは堅気の店を「守ってやるから金を出せ」と言って毎月売り上げの何%かをみかじめ料として取る。その代わりに何か揉め事があったら守る、解決するのがヤクザだ。そして恐らくだがみかじめ料は取らないが、代わりに依頼料を取って堅気の事件や問題を解決するのが冒険者……なのでどちらも本質的には自警団。なので冒険者ギルドは
と推量しているとリキが続ける。
「ほら、ここもそうですけど。冒険者ギルドって必ず隣に『極道案内所 ヤローワーク』が併設されてるじゃないですか? つまり冒険者ギルドが事務所でヤローワークはお客様窓口って事です」
「なるほど。冒険者とはヤクザの事だったのか……」
と私は周囲の席を見渡す。
どうりで周りの連中――どいつもこいつも死んだ魚のような目をしたロマンティストばかりな訳だ。
「――で恐らくだが。堅気というか市民からの依頼をこなしていくと昇格してS級ヤクザというかS級冒険者になると……。因みに他に昇格する方法やS級になる方法などは存在するのか?」
と私が確認を取ろうとすると、今度答えたのはリキではなく、フォークとナイフで器用に糖質40%オフの豆腐を食べていたシコナだった。
「いや、基本的には地道に依頼をこなして上げていく以外に方法はないでござる。ただ、唯一の抜け道と言えるのが御存知の寄生ですな」
寄生か……リキやシコナがされていたやつか。まあ、リキやシコナのような特S級の冒険者が居ればパーティーは簡単にS級に到達するだろうからな……良し。なら私はリキやシコナから誘われた側だし遠慮なく寄生していこう。そしてさっさとS級になれば万事オーケーという訳か。うむ、これは確かにヤクザな稼業だ。
と考えているとシコナが続ける。
「但しそれも実力の乏しい者の話で、力のある者であれば初めから高ランクの依頼を多少こなしてすぐにS級に到達する事も可能でござる」
――ほう?
「ならば――このまま帰るのは勿体ないな。食事を終えた後、1つくらい高ランクの依頼に挑んでいかないか?」
「確かにそうだな? ならばさっさと食事を済ませて、簡単そうな依頼を探すとしよう」
と返事をしたのは、糖質40%オフの豆腐を糖質40%オフのフォークとナイフで不器用に食べていた都だった。
こうして食事を終えた私達は早速。高ランク且つ簡単に解決出来そうな依頼を探し始める――。
リキとシコナの話によると、依頼は全て冒険者登録した時のIDでアプリにログインすれば見れる――条件などを絞り込んで検索も可能だそうだ。因みにアプリにログインした時のログインボーナスはアマゾンギフト券15円分だった。
そして冒険者だけでなく依頼もS級からF級までランクがあるものの、どの依頼をこなすかは冒険者の勝手で早い者勝ち。無論、依頼を失敗して怪我をしたり死んだりスネ毛が伸びたりしても全て自己責任となる。まあ、要はギルドとしては誰が依頼をこなしても同じ――仲介料で儲かる仕組みだからのシステムなのだろう。なので我々は依頼を達成した場合、ギルドに電話をすればギルドの職員がすみやかに確認しに来る――依頼によっては写真や動画でも良く、納品依頼なら現物をギルドに持って行けば良い……というのが依頼達成への大まかな流れだそうだ。
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