第79話 臭影者
「待たせたな。パイセンから情報をもらってきたぞ」
と言ったのは勿論ライダーさんだった。
――あれから1週間。特に何もする事のなかった私達は今日ライダーさんが来なかったら今週はどうやって
因みに先週は当然戦う敵がいなかったので、レッドの世界を嘘侵略した時に余ってた雑魚怪人「清純派のかりんとう」と「清楚系のかりんとう」を小豆ちゃんが持ってきて、私達が自分達で倒すというマッチポンプで1週間分の尺を稼いだ。なので今日ライダーさんが来てくれなかったら「正統派のかりんとうっポイ犬のウンコ」と戦って尺を稼がなきゃいけないのか……と悩んでいたところだった。まあ、ライダーさんが来てくれたのでそんな事にはならなかったワケだけど。
「で? どうだった?」
とレッドが訊ねるとライダーさんは。
「ああ、大方予想通りだが。残念な結果になった……と初めに言っておこう」
……? イマイチ意味が良くわからないけど、とりあえずそのままライダーさんの話に耳を傾ける私達。――で。
「まずパイセンが宇宙ですれ違ったと言っていた厄介な奴。奴の名前は『都こんぶ』という」
「都こんぶ? まるで高級スイーツみたいな名前だな?」
どこがっ!! どう考えても駄菓子の酢昆布と同じ名前じゃん!!
っとレッドに内心でツッコミを入れているとライダーさんは続ける。
「で、その都こんぶだが――恐らくここに居る全員が予想した通り地球に降りたってはいた。しかし奴が地球に降り立ってやった事……それは『臭影者』という名の会社を立ち上げた事だった」
『しゅ、しゅうえいしゃっ!!』
私達の声が見事に揃う。
「集英社ってあの週間少年ジャンプとかを発行してる出版社の事だよね?」
と私が添えるも。
「違う。それは集英社だ。オレが言っているのは臭影者……臭い影の者と書いて臭影者だ」
臭い影の者って書いて臭影者!!
「ってどんな会社よっ!?」
「ああ、ピンクは知らんのか……」
と言ったのはレッドだった。
「え? レッド知ってるの?」
「知ってるも何も……臭影者は会社は会社だが芸能事務所と言った方が正しい。確か『プロダクション臭影者』というのが正式名だったか?」
「芸能事務所? な、なんか嫌な予感がするんだけどもしかして……?」
私の呟きに続くはライダーさん。
「察しの通りだ。戦国坂四十六はプロダクション臭影者所属のアイドル……つまり都こんぶはただの戦国坂の仕掛け人。そして戦国坂は今回のおかずファイブ襲撃事件と無関係と先週オレ達は結論付けた。……となれば昆布の色は黒いが都こんぶはこの件に関しては白と見て間違いないだろう」
う~ん。確かに酢昆布の都こんぶは魔法の粉がついてるから白っぽいし、この都こんぶも限りなく白ではありそうだけど……。
「あの、都こんぶが限りなく白っていうのは私も同意見です。でも、白と断定するには早いし危険だと思います。そもそもパンストセイントちゃん達の敵のプロデューサーなら情報収集くらいは継続的にしておいた方がいいんじゃないですか?」
とライダーさんに意見をするとライダーさんも一つ頷き。
「確かにそうだな。なので一応全員でここまでの情報を共有、確認しておこう」
「だな。では続きを頼むライダー」
「うむ」
レッドの促しにライダーさんが返事をした。
「では臭影者を立ち上げ、戦国坂をデビューさせた都こんぶだがこの戦国坂がアイドル界を席巻する事となる。この成功に気を良くしたか都こんぶは次に戦国武将の愛刀を美少女に擬人化した、刀剣女子と呼ばれる46人を集めて戦国坂四十六の姉妹グループ『刀剣演舞坂四十六』を世に送り出す」
どっかで聞いた事あるってか設定だけなら刀剣乱舞の丸パクリと言っても過言じゃなくないソレ?
「そしてそれも成功に収めた都こんぶは次に武将達の居城を美少女に擬人化し46人集め『御城プロテクト坂四十六』を結成しデビューさせる」
お、御城プロジェクト……
「そして更にそれも成功に収めた都こんぶは次に武将達の愛馬を美少女化した『
実装ってアプリゲームの新キャラとかじゃないんだから……あ、いやウマ娘はガチャもあるから新キャラ実装も有り得るのか。てゆーか戦国武将の愛馬ってそんなに歴史に名前残ってなくない?
「とまあ、そんな感じで現在のアイドル業界を牛耳っているのが都こんぶだが、次は人気声優達を擬人化してキャラ弁界を牛耳ろうと画策しているらしい」
「いや、声優さんを擬人化っておかしくないですか? 声優さんてもともと人じゃないですか? 寧ろ擬人化されたキャラに声を宛てるのが声優さんじゃないですか?」
と思わず声に出すけど。
「だからキャラ弁に声を宛てさせるのが奴の目論見なのだろう? 最近のキャラ弁は進化してアニメのようにヌルヌル動くからな」
キモっ!
「だとしても声優さんを擬人化する必要ないじゃないですか! 普通にお金出して頼めばいいハズ!」
ってライダーさんに突っ込んでも意味ないんだよね……。
としているとレッドが呟く。
「ほぅ? となると次世代キャラ弁はいよいよしゃべり出すという訳か。これは臭影者が弁当業界を牛耳るのもそう遠くはないかもな?」
「えっ? まさか臭影者ってそうやって色んな業界を牛耳っていって世界征服を狙ってたりしないよね?」
「わからん。しかしその可能性もなくはないだろう。そしてそうならんように監視、歯止めとなるのが俺達の仕事であり、現状はパンストセイント達が担っている……という話な訳だろう?」
あ、そっか。
えっと、じゃあ今回の話し合いっておかずファイブを襲撃した犯人への手掛かりは見つからなかったけど、世界平和的には結構有意義な話し合いになったって事か……。まあそれだけでも良しとするか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます