第78話 戦国アイドル時代
――そして引き続きライダーさんと初顔合わせの日。
ライダーさんの協力は得たものの、敵の正体はまるっきりわからないままの私達なのに――
「良し。ではとりあえずライダーの情報待ちという事で今日のところは解散するか」
と。突然の解散を切り出したのはレッドだった。
「いやちょ、ちょっと待ってよ! 確かにライダーさんの話から敵の正体に繋がりそうな情報は少なかったけど、今はアイリアちゃんも居るんだからパンストセイントちゃん達の敵の話とかも訊いておいた方がいいんじゃないの?」
と私が慌てて待ったをかけるもレッドは訝し気な表情を浮かべ。
「ピンク……お前それ本気で言っているのか?」
「え? 私なんか変な事言った?」
レッドの言葉に私が困惑していると。
「あ、レッドさん。どうやらピンクさんは知らないみたいなんで私から説明しますね?」
「むっ? そうか。頼む」
と会話に割り込んできたのは当の本人であるアイリアちゃんだった。私はレッドからアイリアちゃんへと体を向け。
「えっと……どういう事?」
「あの……ピンクさん。今世間でアイドル業界がなんて言われているか知っていますか?」
え? 知らないな……
「な、なんて言われてるの?」
「ホットでセクシーな女神の足の裏です」
うっそでしょっ!! どういう意味よ?
「まあ今のは嘘で本当は戦国アイドル時代です」
嘘なんかい!
でもまぁ良くあるよね~。なんとか戦国時代、〇〇戦国時代って言い方。っと思い私は口を開く。
「つまり
「いえ違います。アイドル戦国時代じゃなくて戦国アイドル時代です!」
「え? そ、それってなんか違うの?」
私の言葉にアイリアちゃんは冷たく首を左右に振り。
「全然違います。いいですか? アイドル戦国時代はピンクさんの言った通りアイドル同士ライバルが多くて戦国時代のように群雄割拠し鎬を削りあっている状態です。ですが戦国アイドル時代は戦国武将がアイドルをやってる時代って意味です」
あ〜戦国武将がアイドルやって……
「戦国武将がアイドルっ!?」
私の2度見のような驚愕にも、アイリアちゃんは冷静に応えてくれる。
「そうです。もともと戦国武将とアイドルって相性が良いというか同じような職業じゃないですか?」
ど、どの辺が……?
「ホットでセクシーなところとか、
最近のアイドルってそんな世知辛いのっ!? ってか最後の方アイドル要素ないし、戦国武将が戦国時代にライブとか握手会してたらそれはそれで行ってみたくもなるけれど、行ったら行ったで「頭が高い」とか言って斬られそうっ!
とか考えているとアイリアちゃんは更に続ける。
「でも、そんな中で彗星の如く現れたのが戦国アイドル時代を象徴する――戦国アイドルの代表格。それが『戦国坂四十六』です」
せ、戦国坂しじゅぅうろくぅ?
「現代に転生した織田信長こと織田信長子ちゃんを
「うん、ごめん。ちょっと待って。ツッコミどころは満載なんだけど全員転生戦国武将ならレオナルド・ダ・ヴィンチは違くない?」
「いえレオナルド・ダ・ヴィンチ子ちゃんは転生した上杉謙信です」
上杉謙信が転生してレオナルド・ダ・ヴィンチ子ちゃんになったのっ!! その子がどんなビジュアルしてるのか俄然興味湧いてきたんですけど! ってのは置いといて。
「あ、うん。とりあえず凄いグループってのはなんとなくわかったんだけど、その戦国アイドル時代がアイリアちゃん達の敵とどんな関係があるの?」
私が乾いた笑みを浮かべながらアイリアちゃんに質問するも、返事をしたのはレッドだった。
「鈍い奴だな……ここまでの話の流れでもうわかるだろう?」
「え? じゃ、じゃあもしかして……?」
「そうだ。今パンストセイント達が戦っているのはその戦国坂四十六。アイドル業界だけではなく芸能界やモツ鍋業界は連日その話題で持ち切りだぞ? 本当に知らないのか?」
というレッドに。
「さっき言いましたが、戦国坂は最強武闘派アイドルグループ。なので武を以てしてアイドル天下統一を図ろうと、他のアイドル達を次々と制圧……つまり力尽くで排除するか隷属させています。しかしその武に屈せず……その武で唯一まともに対抗出来るのが私達パンストセイントという訳です」
とアイリアちゃんが続いた。
「えっと、じゃあアイリアちゃん達は邪悪な存在と戦ってるワケじゃなく
「そういう事だ」
というレッドの台詞にアイリアちゃんも頷いていた。
――なので。私もようやく納得し、さすがにアイドルである戦国坂が今回の事件に絡んでいるとは考えにくいので、今日のところはライダーさんの情報待ちって事で私達はこのまま解散した。
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