第77話  通り過ぎちゃった果麺ライダー!!

 新たな強敵と戦うために私達はパンストセイントちゃん達と果麺ライダーさんに応援を要請したんだけど、今日はその果麺ライダーさんとの初顔合わせである。


 なので現在ファミレスに居るのは私達おかず戦隊ごはんですよの5人とキリンちゃん。そして果麺ライダーさんを呼んでくれたアイリアちゃんと――当の本人である果麵ライダーさんだった。

 まあ、まだ自己紹介も何もしてないんだけど、私達の席で知らない顔の人が1人いるのでこの人がライダーさんであるのは間違いないと思う。


 ――で。

「早速だが。話はアイリアから聞いていると思う……」

 と言って、両手両足を組んで圧倒的強者のオーラを出して座っているライダーさんに、立ち上がり右手を差し出したのはウチのリーダーレッドだった。

「俺はレッド。お前がシン・果麵ライダーで良いんだな?」

「ああ、よろしく頼む」

 とこちらも立ち上がってレッドの手を握るライダーさん。

「オレは果麺ライダー埼玉県。果麺ライダータロウセブンと同じ惑星『埼玉県』からやって来た」

 さ、埼玉県って名前の惑星があるのっ!?

「埼玉県か……住み易そうな名の星だな?」

「ああ、千葉県と神奈川県の間にあるいい惑星だ。夏は暑いし冬は臭い、秋には冷凍の冷やし中華が美味ウマくなれば、春にはソーセージにふれる事も出来る……地球に平和が戻ったら是非とも遊びに来るといい」

 と言ってレッドとの熱い握手を終える埼玉県だけど――


 観光大使ヘタクソかっ!! 後半は言うまでもないけど前半の千葉県と神奈川県の間ってどっちかって言ったら東京じゃないっ? まあ日本の地理基準だから惑星「千葉県」と「神奈川県」が何処いずこにあるのかはしらないけどさ……。


 としているとレッドとライダーさんは同時に腰を下ろし。それと同時にレッド。

「そうだ。一応訊いておくがライダーネームではなく本名……地球人の名前はなんというのだ?」

 あ~そっか。前のライダーさんは地球人に乗り移ってる宇宙人だったもんね……。同じ惑星から来た埼玉県さんも地球人に乗り移ってると踏んでの質問かな?

 っという勘は当たっていたらしく。

「そうか言い忘れていたな。地球人の名は『安室 零』だ」

 アムロ・レイじゃなくて安室ゼロ!? そういや前のライダーさんもウルトラマンと見せかけて若干ガンダム要素あったけど――まさかそうきたか。

「因みに必殺技は相手の経絡秘孔を的確に突き、肉体内部からの破壊を得意とした一子相伝の暗殺拳。そこから繰り出す数々の技だ」

 ほ、北斗神拳じゃんっ!! どーりでこの人アムロ・レイじゃなくて胸に7つの傷がありそうな顔してると思った。んでたぶんこの人も変身しなくても強いタイプな挙げ句、またキャラ渋滞してる人が増えた……ってゆーか果麵ライダーの要素が一番少ない……。


 というのはもう毎度お馴染みなので軽くスルーをして話は先に進む。

「ところでシン・ライダーよ。既に知っていると思うが今俺達は敵の正体が掴めていない。そして前回だが、お前の前任のライダーやパンストセイント、俺達ごはんですよの敵は全て同じ黒幕だった。なので念のために訊いておくがお前が戦っている敵はどんなヤツらだ? それと説明出来る範囲で良いがお前がこの星に来た理由を教えてくれ。何かのヒントになるかもしれない」

 まあ、確かに前回ってライダーさんが地球に来た理由から全て話が始まってたワケだしね。また同じ理由って事はそうそうないだろうけど、一応訊いておいた方が良さそう……ってレッドにしてはまともな質問ね?


 んでライダーさんの答えだけど。

「そういう話であれば、申し訳ないが貴様達の力にはなれそうにないな? 何故ならオレは特定の悪や悪の組織と戦っている訳ではない。オレが戦っているのは基本的にモヒカン頭で裸体に革ジャンを着て、バギーに乗っている悪漢のサラリーマンだけだからな。無論、そいつらが悪事を働いた時に制裁を加えている程度だが」

 そ、そんな世紀末ヒャッハーなサラリーマンが令和の時代にいるの? もう果麺ライダー埼玉県じゃなくて果麺ライダー北斗の拳でいいじゃん!!

「そしてオレがこの星に来た理由だが。タロウセブンパイセンが『ある意味でメンズ・ブルマより厄介なブルマが地球方面に向かっているのを見た』と言っていた……」

 ある意味メンズ・ブルマよりブルマってそれもう人じゃなくてただのブルマが地球に飛んで来たって事じゃない? と私が疑問を抱いているもライダーさんは続ける。

「まあ厳密には地球からメンズ・ブルマを連行している時にそいつとすれ違ったらしいのだが、そいつが地球に行った確証もないし、地球に行ったところで悪事を働くと決まった訳でもない。だがなんとなく嫌な予感がするのでオレに地球を警備してくるように言ってきたのだ。そしてオレも本当に事が起きるか様子見をしつつ汚物共の消毒をしていて今に至る……っという訳だ」

 これにレッドは両腕を組み。

「なるほど。お前が特定の敵と戦っていなかった訳は良くわかった。しかしそうなると地球方面に向かった厄介な奴というのが今回の事件に一枚噛んでいる可能性があれば……場合によっては主犯という事もあるな?」

「だな。実を言うとパイセンから地球には貴様達ごはんですよやパンストセイントがいるから安心して、バカンスついでに警備してこいと言われたのでオレも本腰ではなかった……」

 うん。あのさ……バカンスついでで地球守るヤツ多くない?

「なのでそいつの情報も詳しくは知らないのだが、こうなった以上一度パイセンに連絡してそいつの詳しい情報を貰っておこう。わかり次第貴様達にも情報を提供する。それで良いか?」

「ああ、宜しく頼む」


 というワケでとりあえずシン・果麺ライダーさんの協力は確約出来たけど敵? ……の正体はまるっきりわからないままの私達だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る