第24話 女子会
最近わかった事だけど、どうもレッドとブルーは平日の昼間たまに密会をしているッポイ。
だもんで男子2人だけで遊んでいる――。それが妙に悔しいというかズルいと思った私は、おかず戦隊ごはんですよ(仮)女子会を開く事にした。まあ、ちょっとした対抗心だよね。
そんなワケでただ今は金曜日の夜。私と小豆ちゃんは仕事が終わって一旦帰宅し、再びいつものファミレスに集合する事に。もちろんそこにはグレーちゃんも来る事になっているので、私はキリンちゃんを連れてファミレスまでやって来たところである。
――んで。
私とキリンちゃんがお店に入ると既にグレーちゃんと小豆ちゃんはいつもの席に座っていたんだけど――なんか様子がおかしい? いや、まあ様子がおかしいと言っても変な意味じゃなくて、何故か2人は隣同士で座り自分のスマホ、或いは相手のスマホを覗き込んでは「キャッキャ、ウフフ」している。
私とキリンちゃんは1度だけ顔を見合わせるとすぐに2人の席へと向かった。
「お待たせ!」
言いながら私は2人の向かいに腰を下ろすと。
「お、来たか」
「お仕事お疲れ様ですピンクさん。それとこんばんはキリンちゃん」
「おこんばん〜」
2人は自分達のスマホの画面から軽く視線を外して私とキリンちゃんに返事をするも、すぐに視線を戻してしまう。
「何やってるの?」
言いながら私とキリンちゃんが覗き込むような仕草をすれば、ようやく一段落したのか小豆ちゃんが顔を上げ。
「ゲームだ。つみれも当然『転生したら悪役令嬢の座布団だった件』は知っているだろう?」
「え? うん。もちろん知ってる。グレーちゃんが主人公だったゲームだよね?」
「その通りです」
と返事をしてくれたのはこちらも一段落ついたのかグレーちゃんだった。
「実は『悪役令嬢のブタ』ってコンシューマーゲームだったんですけど、この度スマホ用に完全移植されたので小豆さんに宣伝も兼ねてお勧めしてみたんです」
悪役令嬢のブタ……? ああ、転生したら『悪役令嬢の』座『布』団だっ『た』件……で悪役令嬢のブタね。
と私が納得していると小豆ちゃん。
「なのでお前達が来るまでの時間で試しにダウンロードしてプレイしてみたのだが、これが中々に面白くてすっかりハマってしまったという訳だ」
「へ~そんなに面白いんだ? グレーちゃんが出てるゲームだし私も興味はあったんだけど――。ただホラーゲームっていうのが……私ホラーゲームちょっと苦手なんだよね」
「なら安心しろ。コイツはパズルゲームだ」
「なんでっ!? なんでホラーゲームがパズルゲームになっちゃったのっ? 完全移植じゃないじゃん!?」
と私が当然のツッコミを炸裂させているとグレーちゃん。
「完全に移植したのはタイトルだけですね。他のキャラや内容は全部一新されています」
「それもう別ゲーじゃん! てゆーかタイトル詐欺だよっ!」
いや、それ言ったら『転生したら悪役令嬢の座布団だった件』でホラゲなのもタイトル詐欺か……。
としていると。
「まーまー落ち着けつみれよ。なんにせよこのゲームが面白い事にかわりなければ、実はマルチプレイも可能でな? 今グレーと2人でずっとやっていたのだ。なのでつみれも一緒にどうだ? ゲームは無料でダウンロード出来るぞ?」
あ、なるほど。だから小豆ちゃんとグレーちゃんは「キャッキャ、ウフフ」してたのね。
「よしつみれ。早速ダウンロードしてみよう! 僕もやってるところ見てみたい!」
と何故かノリ気なキリンちゃんの後押しもあり、私はゲームをダウンロードしてみた。
……してみたのはいいものの。最初にスマホの画面に現れたタイトルは――
『転生したら悪役令嬢のブタだった件』
「タイトルも違うじゃん! タイトルだけは完全移植じゃなかったのっ?」
私がスマホにがなっていると傍からグレーちゃん。
「あ、それは全然別の会社のシューティングゲームですね……」
「べ、別の会社っ!? いやこれ大丈夫なの? どっちが先か知らないけど後に作った方のゲーム、訴えられたら敗けるレベルでタイトルそっくりじゃんっ!」
するとグレーちゃんは頬に人差し指を当て小首を傾げ。
「たぶん大丈夫だと思いますよ? タイトルはともかく内容が全然違うので……。因みにそのゲームは悪役令嬢に金髪ブタ野郎呼ばわりされているエルフがゾンビを撃って撃って撃ちまくるシューティングゲームです」
「いやそれ殆どゲームの内容一緒じゃん。主人公がエルフなのも同じだし……」
「う~ん……でも私のゲームは悪役令嬢のお尻を守ってゾンビの群れから脱出するのが目的でしたけど、このゲームは主人公の金髪ブタ野郎が歌姫になるのが目的ですからね?」
歌姫っ!?
「いや歌姫を目指してるのにゾンビ撃ちまくるってストーリーの詳細どうなってんの? てか転生も金髪ブタ野郎の要素もいらなくない?」
と非常に気になるところではあるけれど、とりあえず関係ないゲームなのでこれは無視して、私は今度こそ転生したら悪役令嬢の座布団だった件をダウンロードしました。
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