第8話 グレーが正式加入しました
先週。元戦闘員Aが怪人を含む敵をたった1人で全滅させた事により、正式にグレーとしてウチの戦隊に入隊しました。――という日のミーティング。
「よし。じゃあ今日から戦闘員Aはおかず戦隊ごはんですよのグレーとして正式採用だ」
「ありがとうございます」
と深々とレッドに頭を下げるグレーちゃんだけど……。
あの~なんでウチに入ったのにまだ雑魚戦闘員のコスチュームのままなの? まあだからといって他の服に変えろと無理強いはしないけどさ……。
「ところで――面接がうやむやになってしまい、まだ本名を訊いていなかったな? グレーよ。お前の本名はなんていうんだ?」
「
「良い名だ」
良い名かっ!? エルフだぞ? エルフなのに豚足なんだぞ? 本当にそう思ってるのレッド? 単純に食べ物だったから良し! くらいにしか思ってないんじゃない?
「しかし驚いたな? 俺やブルーが元居た世界には普通にエルフが存在したが、この世界にもエルフが居るとはな?」
するとグレーちゃんはばつが悪そうに。
「あ、それなんですけど……実は私この世界の出身じゃないんです」
あ、ですよねー。
「ほう? すると俺かブルーの同郷か?」
というレッドの言葉にグレーちゃんは静かに首を左右に振り。
「いえ……それはないです。何せ私、本当はゲームのキャラクターなので……」
は? どういう事?
「実は私『転生したら悪役令嬢の座布団だった件』というゲームのキャラクターだったのですが、神様の手違いで現実世界……つまりこの世界に具現化というか召喚されてしまったのです」
いや、いい加減にしろよ神様。無責任過ぎるだろ。
――というところでアゴを撫でながらブルー。
「転生したらゲームの中だった……という話はありがちですがグレー殿はその逆パターンですか。して? その『転生したら悪役令嬢の座布団だった件』というのはどの様なゲームで?」
まあタイトルからして転生した主人公が悪役令嬢の
「あ、ホラーゲームです」
ホラゲなのっ! そのタイトルでっ!
「ブラック企業の社畜だった主人公が横断歩道を渡ろうとしたらうっかり飛び出してきたボディビルダーに撥ねられて死んでしまい、主人公が次に気が付いた時には悪役令嬢の座布団になってて、ゾンビの群れから悪役令嬢のお尻を守りつつ安全なところまでの脱出……みたいなゲームです」
屈強過ぎるだろボディビルダー。てか社畜の設定とか要らなくない?
「なるほど。その中の1キャラクターがグレー殿だったと?」
「まあ1キャラクターというか主人公が私ですね」
座布団だったんかい! どこにエルフの要素があった!?
「そして急に現実世界に召喚され、食うに困って給金の良い敵組織に身を投じ――懐が潤ったので組織を抜け正義のために戦う決意をした……という事ですか」
「はいっ!」
真っ直ぐな返事だな~。そういう仕方ない理由で敵側についてたのね。……てゆーかそれって神様のせいじゃね?
「話は大体わかった。それでお前はその組織でラスボスよりも強いかもしれない大幹部だったワケだよな?」
「はい。そうです」
レッドの言葉に頷くグレーちゃん。
「では幹部やラスボスの話を聞きたいんだが、まずはそうだな……幹部から訊きたい。敵の幹部はどれくらい居るんだ? それと要注意なヤツはいるのか?」
「そうですね。まず幹部は四天王だけでも10数人はいまして……」
……おい。
「待たれよグレー殿。四天王『だけ』でも10数人という事は四天王以外にも幹部がいると?」
急に待ったをかけて割り込んだのはブルー。……だけど私もそれ気になった。んでグレーちゃんの答えだけど。
「はい、四天王以外にも幹部というか幹部グループはあります。例えば
ソシャゲのガチャかよっ!
「あとは四天王温泉回とか四天王野球回とかもいます」
アニメかっ! もう四天王だけでっていうより四天王だらけじゃん!
と内心でツッコミを入れているとレッドが深刻な表情を浮かべる。こいつが深刻な顔をしているとロクな事がないけど――
「野球回か……それはつまり四天王野球回だけでも9人はいるという事だな?」
しかしグレーちゃんは静かに首を振り。
「いえ、全部で11人います」
これには珍しくレッドとブルーも肩透かしをくらい。
「何故だ? 野球なら9人だろう? 11人ならサッカーじゃないのか?」
「えっと、ピッチャーが先発、中継ぎ、抑えで3人いるので11人です」
「そ、そんな本格的なのか! ……しかしマズイな。俺達は今4人しか居ない。戦うとなると最低でもあと5人は必要だぞ?」
いやなんで野球で勝負する前提なの? いっつも通り普通にブッ飛ばせばいいじゃん? やっぱコイツが真剣な顔してる時ってロクな事考えてないわ。
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