第4話 君の二つ名は。
とまあ結局。私の名前も食べ物だったせいで私達のモチーフは食べ物で確定してしまった感が否めないなかで――
「では――晴れてピンク殿の本名も食べ物だったので我々の戦隊名は『炊き立て戦隊炊飯ジャー』で宜しいですかな?」
私とレッドに伺い立てるブルーだけど、そのダジャレを避けたい私はなんとか食い下がってみる。
「ね、ねぇ。せめて『美食戦隊グルメンジャー』じゃダメなの?」
するとやはりと言うべきかあの男……右手の人差し指を突き立てたレッドが動き出す。
「良しわかった。なら間を取って『おかず戦隊ごはんですよ』というのはどうだ?」
聞いた途端に私はテーブルに両手を着いて立ち上がり。
「おかずなのにごはんって矛盾してるでしょーがっ!」
「お前! そんな事を言ったらそもそも『ごはんですよ』はごはんじゃないんですよっ!」
これはレッド。
「その通り。あれは海苔の佃煮ですよっ!」
これはブルー。
「そんな事は知っているんですよっ!」
これは私。
てかごはんですよの話はどうでもいいんですよ。私は私達の戦隊名をまともな物にしたいだけ……
……だったんだけど。最終的には2対1。レッドとブルーに押し切られる形で私達の戦隊名は『おかず戦隊ごはんですよ』になってしまった。
「ハアアァァァ……」
溜息が止まらない。そのまま魂まで抜けそう……
私はテーブルに伏したまま呟く。
「ねー。私って明日から変身する時『おかず
テーブルに伏せたままなのでリアクションは見えないけどレッドの声が聞こえてくる。
「ん~そこは普通に……例えば俺の場合『ごはん
変身のルビを『チェンジ』じゃなくて『じゃなくて』にするとかふざけてんのか。そして『ですよ』の汎用性の高さ……。つーか変身の時に盛大に自己紹介する戦隊ヒーローってどーなのよ?
ってかメンバー募集してて、次に来た新人の名前が「ごはん」だったらどーするの? 変身する時「ごはん
とアホな驚倒してないで。
「わかった。じゃあ『ごはん
「おう」
とレッドの声が返ってくる。ここは聞き分けいいのね? まあ結局変身して戦うのって私だけだからここに文句はないだけなんだろうけど。
んじゃま、そろそろ顔を上げようかな? ……と考えた時だった。再びレッドの声が聞こえてくる。
「ところでブルー。戦隊名も決まった事だし、どうせなら各個人の二つ名も欲しくないか?」
「ほほぅ。それは妙案ですな?」
妙案か?
「例えば俺の場合『赤い彗星のレッド』とかどうだろうか?」
「ほぉ〜素晴らしい。レッド殿は中々にセンスがありますな」
はぁ〜〜。男子って二つ名とか異名って好きよね〜。ま、私も嫌いじゃないからここは会話に参加しておこう。
と考えた私はスッと顔を上げ。
「あのさ私達の場合、名前に色が入ってるワケだから二つ名に色は入れない方がいいんじゃない?」
するとレッドは一つ頷き。
「なるほど確かに。なら俺の場合は『赤い梅干し』の方がいいか」
彗星どっか飛んでった〜。てか人の話を聞いてんのかコイツ。彗星じゃなくて赤を外せよ赤を!
「いやあの……二つ名なんだから本名入れちゃダメでしょ? 今のだと二つ名『赤い』だけじゃん」
と私がレッドに指摘していると、横からブルーが割り込んでくる。
「どうやら我々よりピンク殿の方がお詳しい様ですな? なのでお伺いしたいのですが、色を使わない場合はどの様に名付けるべきですかな?」
ブルーの質問に私は小首を傾げ。
「そうね〜例えば地域や地名とか使うのはどう? よくあるじゃない『アジアの虎』とか『東洋の魔人』とかみたいな感じでさ」
「ほほぅ。では地域に我々のモチーフである食べ物を加え……私の場合『畑の肉』というのは如何か?」
「それは大豆の二つ名でしょ」
てゆーか畑って地域って言っていいのか? と私が後ろ頭に汗を垂らしていると、ブルーがさも残念そうに。
「あ〜先客が居ましたか。因みにその大豆殿はどの様な魔王で?」
「魔王じゃねーよ。豆だよ」
コイツ絶対わかっててボケてんだろ。……と私が遠くを眺めてツッコミを入れてると今度はレッド。
「地域プラス食べ物か……ならこういうのはどうだ? 『
「ボッチかよっ! いやあんたが『便所飯のレッド』でいいなら私は止めないけどさっ!」
ったくコイツ等は本当にっ! 畑も便所も場所だけど地域や地名とは普通言わんでしょ! 真面目に考えてる私がバカみたいじゃない!
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