第2話 苦しみの再来

 慧人は街についてすぐにその街で1番大きな建物へと向かった。恐らくそこに行けば何かわかるだろうと思ったからだ。そして、慧人の思惑は的中した。なんとそこは冒険者ギルドだった。


「ようこそ冒険者ギルドへ!」


 慧人が建物に入ると、そんな大きな掛け声と共に女の人が慧人に近づいてきた。そして声をかける。


「今日は何の用ですか?」


「すみません。自分この街に来たの初めてで、どういうところか説明していただけませんか?」


 慧人はそう言う。すると、どうやら日本語が通じたらしい。その女性はこの場所について説明してくれた。


 そして、冒険者にならないかと誘われる。当然ここがギルドなのだから、登録もできるらしい。慧人は言われるがままに受付カウンターと向かった。


 そして、その女性は従業員だけ入れる部屋に入っていくと、何やら仰々しい機械を持ってくる。そして、慧人に手をかざすように言った。


 慧人がそれに手をかざすと、神々しい光と共に彼の目の前にコンピューターの画面のようなものが現れた。そこには数字や文字などが書いてある。


「これは……?」


「それがステータス表示です。オープン、クローズ、この言葉で出したり消したり出来ますよ。ではでは、見ますね」


 女性はそう言って慧人の側まで来てステータスを見ていく。


「ふむふむ、素晴らしいステータスですね。全ステータス値がとても高い。このステータスだと世界でもかなりの実力者になれますね。えっと……スキルと職業は……っ!?」


 女性は慧人のスキルと職業を見た途端目を大きく開き驚いた表情を見せた。そして、慧人の目を見てくる。その目を見た瞬間、表情を一転させ、慧人に対して畏怖の目を向けてきた。そして、こんなことを言ってくる。


「……なんでこんなところに来るのよ……!あなたみたいな存在は世界にとって害悪なのよ!消えて!今すぐこの世界から消えて!気持ち悪い!死ね!すぐに死ね!」


 慧人はその罵声を浴びせられ目を丸くした。そして、心を抉られるような気分になった。


「おいおい、どうしたんだよ?」


 他の冒険者がそんなことを言いながら気さくに話しかけてくる。しかし、女性の言った一言でその人も、いや、その場の全員の態度が変わった。


「この人、時間魔法の使い手なのよ!職業も時の魔術師だし、目だって水色と紺青色のオッドアイなのよ!」


「「「っ!?」」」


 その一言でその場の全員の視線が畏怖や軽蔑、全ての負の感情を抱いた視線になった。そして慧人に対して罵声を浴びせる。


「消えろ!この場から消えてしまえ!」


「死ね!あんたなんか死ね!」


 慧人は罵声の嵐を受けながら絶望した。そして、その時に察する。どうやら自分はこの世界で、再び苦しみを味わなくては行けないのだと。そして、慧人は絶望したままその街から追い出された。一体彼がこの先どこへ行くのか、それは誰にも分からない。

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