第1話 死を超えたその先に
彼の名前は
しかし、彼には唯一他とは違うものがあった。それは、右目が紺青色で左が水色だということだ。その見た目はアニメや漫画で見ればかっこいいのだろう。しかし、現実は違う。
その人と違った目を誰も認めることは無かった。先生ですら
「カラコン付けるな!」
と怒鳴る始末だ。
慧人はそんな日々を毎日過ごしていた。
最初の頃は良くても、幼稚園、小学校、中学校、高校となるにつれその誹謗中傷は酷くなっていき慧人はいつしか心を閉ざすようになった。
そして、そのいじめと呼んでいいのか分からない犯罪行為は、皆飽きてしまったのか、慧人という存在をこの世から消してしまった。そのせいで慧人は誰からも相手をして貰えなくなった。そして、母親に助けを求めると、母親は……いや、家族全員が何者かによって殺された。
その時慧人は絶望した。そして、自殺しようと思った。しかし、慧人はそんな勇気は無い。助けを求めて街へと繰り出す。しかし、存在を消された慧人は誰からも助けの声をかけてもらえることは無い。彼の心は2つの選択を迫られた。そして、迷うことなく決断した。
そんな時、慧人に転機が訪れた。なんと、慧人が道を歩いていると、慧人の目の前に包丁が落ちてきたのだ。慧人はその包丁を目にして思った。『自分なんかいる必要は無い』、『この世界にいても面白くない』『ここで死ねば誰かが俺を見てくれる』と。そして、無意識に、自然と手がその包丁へと伸び、慧人は何百、何千という人が見ている道路の真ん中で自殺した。
心臓を一突きし、その場を真っ赤に染めあげる。そして、何百、何千という視線を浴びながら苦しみから解放された。
かに思えた。しかし、天は……神は……世界は慧人を許さなかった。なんと慧人は目を覚ましたのだ。苦しみから解放されたと思っていたのに、目を覚ましてしまったのだ。
しかし、何故かそこは病院ではなかった。大きな木の下で、目の前には草原が広がっていた。その時慧人は理解する。『自分は異世界に来たのだ』と。
そして、その時なにかに目覚めたような感覚がした。どうやらおなじみのチート能力が目覚めたようだ。
しかし、それ以上に慧人は絶望する。なんせ、その世界を見てすぐに理解したからだ。絶対に、これから自分に苦しみが待っていると。
慧人はそんな絶望を心に抱きながら、近くの街に向けて歩き出した。
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