第5話


Time Leap.3


「秋子、俺を結婚を前提に付き合ってくれ!」


「ええっ……わ、私ですか!?」


 三度目のタイムリープ。

 春香へフォローを入れてから、俺は秋子に告白をした。

 秋子はいつものおっとりとした顔に困ったような表情をするが、頬は薔薇色に染まっている。


「私のことを好きなってくれてありがとうございます、私で良ければ幸せにしてください」


「もちろんだ!」


「うん……秋子さんじゃ仕方がないよね。お似合いだもん」


「うっわあ、やっぱり秋子さんかあ! そんなにおっぱいが良いのか!」


 夏樹と春香が揶揄いながらも、祝福の言葉をくれる。


「それじゃあ、いつもの店でお祝いをしましょう」


「冬美……」


「何、シンヤ?」


 声をかけると、冬美は無感情でクールな顔で首を傾げた。

 いつも通り。おかしいところなどない。


「いや……」


 何となく見えてきた法則から「次はもしや……」と思ったのだが。

 俺は四人の美少女と一緒に、桜の花びらが舞い散る校舎裏から去っていった。



     ◇     ◇     ◇



「やっぱりかよ!」


 薄々、そうなるんじゃないかと予想していたが……やはり、予想通りに世界が滅んでいた。

 目の前には建物の残骸。瓦礫の山が転がっている。


「信也君……」


「秋子、説明してくれ。記憶が飛んでいるんだ……この十年間で何があったんだ?」


「ええ、わかりました」


 予想通り、後ろに立っていた秋子に説明を求める。

 十年分の年月を重ねた秋子は、ダボダボの上着の裾を擦りながら口を開く。


 秋子の説明によると……予想していた通り、原因は四条冬美であるらしい。


 スレンダーで背が高かった冬美は卒業後、海外でモデルになったようだ。

 爆発的な人気を博した冬美はわずか数年で世界的なトップモデルになり、何を思ったのか、とある国の大統領選挙に出馬したらしい。

 日本人である彼女が外国の大統領だなんて……そう思っていたのは、日本人ばかり。

 冬美はその国で予想以上の支持を集めていたようで、彼女は見事に大統領選挙を制した。

 その国において女性初の大統領になったのである。


 しかし、それが終わりの始まりだった。


 大統領になった冬美はその国が保有していた核ミサイルを世界に向けて撃ち放ち、壊滅的な被害を与えたのである。

 もちろん、攻撃された国は反撃する。

 反撃が反撃。憎しみが憎しみを呼び、世界の都市が壊滅した。


 世界滅亡大作戦。作戦コード『Fall-S』。

 冬美という権力者の暴走により、この世は地獄と化したのである。


「なるほど……ところで、ビール持ってる?」


「はい、ありますけど……」


「ありがとう」


 受け取って、迷うことなく缶ビールのフタを開いた。

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