第6話


Time Leap.4


「冬美、俺と付き合え!」


「ええっ!?」


「お前に拒否権はない! 結婚して子供も作るから覚悟しろ!」


「ちょ、どうしてそんなに雑なの!? 私のこと舐めてるの!?」


 三度の滅亡を経験した俺はかなり雑に冬美に告白をして、そしてオッケーをもぎ取った。


「春香、ごめんな! だけど……悪いのは俺だから、俺だけだからな! 失恋なんかでへこんで、世界を滅ぼそうとかしないでくれよ!?」


「ちょ……するわけないでしょ!? どうして、私が世界を滅ぼさなくちゃいけないのよ!」


 春香が顔を真っ赤にして怒る。

 自分でもおかしなことを言っているとわかっているが、パターンからして次はそうなると予想できていた。


「絶対だぞ、絶対だ! 世界を滅ぼさないでくれお願いします!」


「な、泣いてるの……」


「し、信也さん?」


「シンヤ……どうして、そこまで」


 泣きながら謝罪をする俺に、少女達が唖然とした顔になっている。

 しかし、それを気にする余裕はない。

 なりふりなど構っていられなかった。



     〇     〇     〇



 そして、十年後へ。


「うがあああああああああああああっ!」


「キャアアアアアアアアアアアアアッ!?」


 もちろん、周りは瓦礫の山。

 俺は振り返りざま、そこにいた冬美のスカートを思いきり捲り上げた。

 スカートの下、黒いタイツに包まれた下着が露わになる。


「も、もう……またムラムラしてきちゃったの? こんな世界なのに……また妊娠しちゃう。もう五人目なのに……」


「あ、子供いるんだね!」


 その点だけは、これまでのパターンと異なっている。


「冬美、教えてくれ……何があった、春香は何をしやがった!?」


「何って……春香さんが儀式を行って、異次元から邪神ウィンターズタイムを呼び出したことで、邪神が生み出した怪物が世界中を……」


「もう、わからん!」


 これまでで一番、荒唐無稽なやり方だった。

 失恋なんかで邪神を呼び出すな。

 世界を滅ぼすな

 もう、本当に勘弁してもらいたい。


「だけど……」


 あきらめない。

 これでパターンは掴めた。


 春香と結ばれると、夏樹が世界を滅ぼす。


 夏樹と結ばれると、秋子が世界を滅ぼす。


 秋子と結ばれると、冬美が世界を滅ぼす。


 冬美と結ばれると、春香が世界を滅ぼす。


「次は、誰も選ばないパターンを試してみよう。誰も選ばない、だけど春香が自殺しなければいいんだ……」


「春香? 自殺? 何を言って……」


「プリーズ! レッツトライ!」


 冬美の手からやはり持っていた缶ビールを奪い取り、フタを開けた。

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