囁き・48

 あら……お米がもうないわね……。

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 なんだか世間では、お米不足という事態になっているのかしら? この国ではお米はなのでしょう……主食を潤沢に人々に供給できないなんて、呆れた食糧供給システムね。


 スーパーを何軒もお米を求めておとずれても、商品棚にお米がないという事が、この国のいたるところで起こっているのでしょう?


 お米が入荷しても、ひと家族ひと袋という制限をもうけて、なんとか多くの人に主食を行き渡らせたいという光景が、スーパーやお米店で見られるわね。


 こんな現象が、過去にもあったようね……なんて言ったかしら……とか言われていたわね。その時もお米が不足して、買いだめや、代替まいとしてタイという国から、タイまいのお世話になったとも聞いているわ。


 私も初めてお米を見た時は驚いたわ。このつぶのようなものが食糧で、この国の主食だなんて、まさかって疑ったわ。


 そして恐る恐る食べてみて、考えが変わったわね。単体でも美味しく、過度に主張せず、どんなにも調和する万能な食糧だったのね。


 甘いものと同時に、お米にもハマってしまったわ。でも、このお米も最近は消費量が減少していると聞くわ。しかしこの国の人間は、お米から完全に離れる事はできないのでしょう?


 ゆえに、今回のようなが起きているのよね。もう遺伝子レベルで主食という概念が内包されているのね。


 どんぶりものや、チャーハンにチキンライスに炊き込みご飯やカレー……そしてお寿司におにぎりに、もち米でつくるお餅など……素晴らしいに恵まれているのよね。


 私はが好きよ……あの簡素でありながら、奥深い味わいに感嘆したわ。あれでもうしているのだから。


 そういえば、この国にはっていう食べものもあるのね……わかっているわよ、エロワードだという事は……でもある意味のよね……関連性からみれば、もそうなのかしら?


 この国のに対する探究心と想像力には、驚くばかりだわ。


 はなしがそれてしまったわね……という事で私もなく、お米を求めているわ……。


 このスーパーにもなかったわ……もう3軒目なのにどこも売り切れで入荷が未定だったわ。


 さて、どうしようかしら? 残っているお米も、今日明日きょうあすでなくなってしまうわ……そこでパック入りのごはんを……と思ったのだけれど、やはりみんな考える事は一緒ね。


 もなかったわ……まいったわね。もうすぐ新米しんまいが流通するらしいけれど……やはりこんな古びて非効率的な食糧生産システムを廃止して、私達の世界の天候管理と食糧生産と食料供給システムを導入すべきだわ。




 4軒目もだったわ……次のお店に向かうわ……あらっ、さんからメッセージが。日本に戻って来ていたのね。


 えっと……「たぶんお困りようですから、わたくしからの贈り物をあなたのの玄関にしておきましたわ。みなさんで存分にお召し上がりくださいまし」……甘いもの? それとも求めているお米かしら?


 5軒目も空振りだろうから、急いでに帰って確認するわ。




 こ、これは……10キロのお米の袋がこんなに積まれて……しかもまだ流通していない今年の有名産地の新米しんまいで、ご丁寧に無洗米ね。ぱっと見ただけではあるわね。


 宅配業者さんはさぞ、大変だったでしょう。


 あらさん(お隣)どうしたの。騒がしいから様子を……ちょうどよかったわ……みんなが求めていたものがさんから届いたわ。


 毒草どくそうの袋……なに言ってるの、違うわよ、お米よ。さんとさんに連絡して……彼女達にもおすそ分けするわ。


 は……まぁ芸能界の闇の権力で、なんとかなっているわね。でもいちおう連絡しておくわ。


 それにしても、まだ流通してない新米しんまいをこれだけ確保できるなんて……いえ、彼女からしてみれば、の事は造作ぞうさもないのかもしれないわね……。


 さて、どうやって中に運ぼうかしら……こういう時こそ、ふたりのが役に立つわね。


 今夜はお米女子会でもしようかしら……。


 安定した食糧供給こそがの基礎だというのに……この世界は……


 小さなほころびからは始まるのよ……。


 さぁこの次も、この世界のダメなところ

 あなたのそばで……


 囁いて……ア・ゲ・ル♡




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「やっと……やっとこののスーパーで5キロひと袋だけ、お米が買えたよ……イリア」


「北は北海道から、南はこの地まで……長い、長い旅路たびじだったわね、リリア……あらっ、メッセージが……」


「知り合いになったさんからだわ……「お米をもらったから、あなたにも分けてあげようかな」ですって、リリア」


「とんだ徒労だよ……イリア」


「そう怒らないで、リリア……せっかくだから観光でもしていきましょう」

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