囁き・44
拠点が落ち着く……なんて私もこの世界に馴染みはじめているのかしら……?
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世界的体育大会から帰ってきたわ。せっかくだから、エカテリアーナさんのモナコの邸宅に数泊して、彼女の所有する航空機で日本に戻ってきたわ……もちろん出入国審査はスムーズだったし、彼女の邸宅はエゲつないくらいの広大な敷地に建てられていて、みんな驚いていたわね。
久々にひとりの時間を過ごしているわ。みんなもそれぞれの日常を紡いでいる事でしょうね。
思えば、この辺境惑星、この世界に強制転移させられて、最初の頃はひどく落ち込んだわ。私がいた世界とは文明も生活様式もまるで異なるこの世界に、戸惑い、落胆し、自らの不運さを
けれど、この世界で生きていける
この世界のほぼすべての人間が崇拝する、神という存在の仕業かしら?
その概念を植えつけられただけで、こうも私達の世界と生き方と価値観が異なって、それぞれ独自の文化・文明を築き、時を
私でこう思うのだから、エルフさんお弟子さん、薬屋さん達は、この世界にもの凄く驚いたでしょうね。
この世界でさえ、彼女達の文明に比べたらはるかに進んだ風景に最初は戸惑ったはずよね。
確かにエルフさんの世界の魔法は、ラノベの中でしか存在しないし、薬屋さんの世界の階級制度や
この国でアイドルという偶像を
この世界は、平等を
でも、この世界の人々は、その中で必死に生きていかなければならない……そういう環境なのね。仮にアリスでも、誰でもいいのだけれど、私達の世界を観て体感したら、どんな思いを
そして……私は自分のいた世界に戻れるのかしら……エマージェンシー信号は発信し続けているけれど、気がついて、救助に来てくれるのか……もしかしたらもう行方不明・死亡扱いにされてしまっているかもしれないわね。
私のアカデミー時代からのライバルであり、友人のイリアやリリアがきっと助けに来てくれる事を期待しているわ。
彼女達の事だからもうこの世界、この国にいるのかもしれないわね。
この東京のどこかで、ばったりと出くわすなんて事も起きるかも……このリビングの窓から見えるエカテリアーナさんのタワマンに住んでいて、彼女の隣人だったりするかも……。
なんてね……。
はぁ……緑茶という飲み物は、心が癒されるわね。フランス・モナコから戻って、真っ先にした事がこの緑茶を飲む行為だったわ……私も日本人化しているのかしら?
でも、この世界では旅に出て帰って来て自宅でお茶や珈琲・紅茶を飲んで……
「やっぱり
っていう確認と台詞を言う為に、旅行へ行くのでしょう?
私も今、同じ気持ちになっているわ。
なんだか今回は総集編みたいな感じになってしまったかしら……アニメではよくある光景ね。
言っておくけど、予定通りよ。
晩ご飯は……カレーでも作ろうかしら。
夏アニメもハードディスクに溜まっているから、イッキ観しないとね。
それにしても、会場で観たBMXフリースタイルといい、今テレビで観ているブレイキンといい、バイブスがハンパないわね。
生身の人間の体で、ここまでできるのね。私達の世界では想像もつかない現象に、この世界に少しだけど、未来への可能性を感じるわね。
さぁこの次も、この世界のダメなところ
あなたのそばで……
囁いて……ア・ゲ・ル♡
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「な〜にそんなに向こうに見えるタワマンを眺めてるの……ロス帰りでちょっと疲れたよ、イリア」
「あのタワマンにエリムがいるような気がするのよ。今度、訪ねてみようかしら……どう思う? リリア」
「そんな都合よくいかないってイリア……とりあえず、麦茶でも飲んで落ち着け!」
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