囁き・33

 この世界の人間のに対する執着しゅうちゃくは、いったいなんなのかしら?

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 人はを趣味と言うのよね。いろんなを集めているわよね。


 具体的に言おうとしたけれど、多岐たきにわたるから、やめるわ。それにしても、いつかは死んでを、過酷な労働で得たおかねを使って収集する行為って、事なのかしら?


 私には、さっぱり理解ができないわ。それって、たいがいは、家族や恋人や他人からはうとまれるものなのでしょう? 


 しかも、生きているうちに整理・整頓・売却・破棄すればいいのだけれど、この世界の人間達は、それをしないのよね。


 たいていは、自らが死を迎えてから、その残された家族や親族が、という行為をいられるのでしょう? そこでも、のこす、のこさない……などと言い争い、整理がおぼつかなくなって、残された家族や親族の仲が悪くなるというはなしも聞くわよ。


 が小規模なものならいいけれど、人によっては、自動車などの大きなものを趣味として収集する人や、フィギュアやキャラクターグッズなどを、倉庫を借りたり、専用の建物を建てて保管している人も、いると聞くわ。


 そんな人が、先にってしまったら、残された人達は戸惑うばかりね。それで、最近ではなんていう、残される人達に負担をかけないように、自らが生きているあいだに趣味で収集したものや、不要なものを売却や破棄したりしてになるという行為が流行はやっているのよね。


 もちろん、私達の世界に、こんな収集へきは、存在しないわね……というか、収集という概念がないのかもしれないわね。


 なんだか、を得るのに朝早くから店舗に並んだり、転売を目論もくろやからや、ネットショッピングにきょうじるなんて光景は、私にはちょっと理解ができないわ。


 確かに私達にもはあるけれど、は、もう詳しくは説明しないけど、いわゆるで得て、楽しみ、保管するものなのよ。


 死を迎えてからので説明したとおり、しのびたければ、あそこへおもむき、映像や音声で故人を懐かしむ……いわゆるなんてことは、しないものなのよ。


 だいたい、った人が、残された人をしてなんて、やるせない風景だわ。


 ……というのが、理想なのかしら……この世界は、まだその過程なのかもしれないわね。


 自分はまだ大丈夫……と安心して趣味にのめり込んでいるあなた……。


 は突然におとずれるかもしれないわよ。


 そしてこの世界は、ってからも、いろいろとおかねを消費するのね。逝った人の為にね。


 不思議ね……。




 甲斐かいあって、たい焼きが買えてよかったわ。は、たくさん食べるから、間に合ってなによりね。


 さぁこの次も、この世界のダメなところ

 あなたのそばで……


 囁いて……ア・ゲ・ル♡




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「そう……ついさっき、完売してしまったのね……ですって、リリア」


「ちっ……」

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