第11話
雨が止んだ。
どうやら、ただの通り雨だったようだ。
また、それは不幸中の幸いだった。
何故なら、その雨は10分経つと、ピタリと止んだのだから。
空を見上げる。
晴天だ。
そよ風が気持ち良い。
こんな日には、ピクニックでもしたいけど…今はそれどころじゃない。
そんなことを考えていると、メアリーが私の瞳を見つめていることに気づいた。
いつもおどおどしている彼女にしては、かなり大胆な程の凝視だった。
『シャーナさん!あの…』
『メアリー?どうした?…そんなに私の瞳を見つめて…』
『もしよかったら…この事件が終わったら私の親友と一緒に3人でピクニックしませんか?』
私は微笑んで、頷いた。
(…………)
私達はその情報屋の元を後にして、目的地に向けて走り出した。
私達は体力の消費を考える暇はなく、ただただ走らなければならなかった。
というのも、その情報屋曰く、メアリーの親友が生贄にされるまでの時間が一週間ほどしかなく、またその希望のエデンシティーに行く前に関所のある村を通らなくてはならないのだから。
その村の名前はマルタ。
別の名前は楽園の守護者。
というのも、この村の関所の守備は固く、強行突破しようとしても、絶対に勝てないのだ。
だからといって、普通に関所を通ろうとしても、即座にバレて詰むだけだ。
一体どうすれば…
そんなことを考えていると、マルタ村と双璧を成す大きな双子山が見えた。
思えば、この道のりは長かった。
この双子山の頂上に希望のエデンシティーがある。
本当にこの山を越えられるのだろうかという不安がよぎる。
多分無理だろう。
だが、越えないと助けられない。
私達は覚悟を決める。
すると、背後から馬がパカラッ、パカラッ゙と土を蹴る音が聞こえた。
その音は、明らかに私達に向かっていた。
私達はふりかえった。
私達は敵襲を疑った。
そして、身構えた。
しかし、違った。
その白馬の主は味方だった。
その白馬の上にはにわかには信じられない人物が乗っていた。
私達を追放したはずの魔法学校の学長である。
身構えた私達に、学長は依然として年上らしい風格を漂わせながら言う。
『まあ、詳しい説明は後だ。二人共急ぎの用だろう?乗ってけ。俺が関所を通らせてやる』
後々分かったことだが、この学長も希望のエデンシティーを終わらせたかったらしい。
目的が一致したわけだ。
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