第10話
都では、連日ある話題でもちきりだ。
"入学したばかりの魔法使いが2名行方をくらませた。名前はシャーナとメアリーというらしい"
私とメアリーが都を出て10日が経ってもこの有り様だとは…
こんなことは今までなかったんだろう。
実際、この情報は情報屋で裏をとった情報だから、推測ではなく事実だろう。
そして、確かに私達は入ったばかりの魔法学校に戻れることはないだろう。
それは悲しいことだ。
特に私にとっては。
親の期待を裏切ってしまったのだから。
でも。
それで良い。
世界が滅びるよりはマシだ。
…
……それでもやっぱり辛いな。
こんな親不孝者で本当にごめんなさい。
お父さん。お母さん。
(……………)
雨があまりにも凄いので、情報屋の用意してくれた空き家で少しの間休憩することになった。
これは少し痛手だな…
というのも、私達は急いで希望のエデンシティーを目指している。
早く行かないと、魔女を救うことができなくなるからだ。
その人はメアリーの親友だ。
…
そう。私達には旅の目的がある。
メアリーはたった一人の親友を救うため。
私は…この国の人々の安寧を揺るがす悪党を退治するため。
結局、私のすることは全て国民のためだ。
それはきっと"罪滅ぼし"のためだろう。
私の前世の過ちをただすために。
私は生きている。
私にだって大切な人はいる。
でも、それよりも今の私は国民を救いたいんだ。
そう。
国ではなく……国民を。
こんな私を許してくれ。
お母さん。お父さん。エリュガード。
…?
情報屋の人とメアリーが何か話している。
なんだろう?
雨の音であまり聞こえなかったけど…
メアリーは動揺している。
何があったんだ?
結局分からずじまいだ。
でも。
最後にメアリーが言った言葉だけははっきりと聞こえた。
その言葉は…
『シャーナさんには"そのこと"を話しちゃ駄目ですよ。情報屋の人。絶対に…絶対に』
私はそのことを聞いちゃ駄目だと思い、聞くのをやめた。
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