第4話

ある日のこと。


私の家にエトワシアの兵士がやって来た。


私を魔法使いとしてスカウトしに来たのだ。




兵士曰く…


『貴女の娘さんは優秀な魔法使いとしての素質を秘めています。まるでダイヤモンドの原石のようだ。だから、どうか、娘さんを魔法使い養成学校に入れさせて欲しいのです』


だそうだ。




確かに、私はこの国は嫌いだ。


でも。


この人生ではそれは捨てることにした。


いや。違うな。


できるだけ捨てれるように努力してみることにしたのだ。


何故なら、もうあの祖国は…アルデシアは…もう無いのだから。




だから、私はその申し出を受けようとした。




しかし、予想外のことが起こった。


お母さんはそれを拒んだのだ。




もちろん、兵士の人は驚いていた。


でも、その兵士の人は引かなかった。


何度も、何度も、お母さんを説得しようとした。


でも、駄目だった。


私も、お母さんをその兵士の人と共に、お母さんを何度も、何度も、説得しようとした。


でも、駄目だった。




どうやら、お母さんは娘である私を危険なところへ行かせたくないようだ。




そうして、説得しているうちに日は暮れ、兵士の人は『明日また来る』と言って、帰っていった。


(……………)


その日の夜のこと。


私はエリュガードに話した。


魔法使いとしてエトワシアの兵団にスカウトを受けたこと。


そして、それをお母さんが拒んだこと。




すると、エリュガードは私に想定外の一言を告げた。


『そうなのか。じゃあ同じだな』


『え?』


『実は俺も今日兵団にスカウト受けたんだ。まあ、俺の場合は剣士としてだけどな』




そう。


エリュガードも兵団からスカウトを受けたのだ。




それに驚いていた私に、彼は問う。


『お前はどうしたい?お前は、お前のやりたい方向へ進んで欲しい。俺からの願いだ』




その言葉に私は言葉をつまらせることはなかった。


何故なら。


やりたいことはもう決まっているから。




明日、お母さんに話そう。


きっと分かってくれる。


そう思った。


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