第3話

この前日譚は私、魔女の娘シャーナの家族との日常の一欠片だ。


(…………)


『シャーナはどうして私を守れるような魔法使いになりたいの?』


私のお母さんはこの世界で圧倒的な力を持ち、戦争を止められるような魔女だ。


そして、私のお母さんは私の大切な人だ。


だから、お母さんを守ることは、大切な人とこの国を守ることに繋がると思うからって、私は答えた。




『じゃあ。シャーナ。どうして貴女は国を守りたいの?』


確かに。


確かに、私はかつて滅んだ祖国を愛していた。


だから、今の侵略者共の国を愛せていないのかもしれない。


でも、この国に住まう人達は、私の愛した祖国の民と同じ人達だ。


だから、私はこの国を愛していないけど、国民のことは愛している。




…なんてこと言ったら、転生したことを暗示してるみたいで嫌だから、代わりに、私は5歳児らしくにこう言った。


『お母さん!私!人間が好きだから!私はこの国に住む人も守ってみたい!』




すると、お母さんは私を抱きしめて言った。


『貴女はいい子ね。シャーナ。私はそんな貴女のこと大好きよ』




やはり、この家にいると、前世に感じられなかったお母さんの温もりが感じられた。


この家は温かい。


温かいなあ。


涙が出てきそうなぐらい。




でも私は泣かない。


もう、エリュガードの前でたくさん泣いてるから。


だから、もう泣かないって決めた。




すると、お父さんが大きな、出来立ての、パイを持ってやって来た。


『シャーナ!エリー!美味しい豚肉のパイが出来たよ!熱々だよ!』


すると、お母さんは私の目を見て、ウインクした。


『食べよ!シャーナ!』


私もお母さんとお父さんにウインクした。


『うん!食べよ!お父さん!お母さん!』




本当に幸せな家庭だ。


私にはもったいないぐらいに。


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