俺だけ裏ダンジョンに潜っていた件~表ダンジョンをクリアした美少女有名配信者が1Fのゴブリンにボコられてたのを助けたら彼女に粘着されてそれ以来なんかバズってる~
7:配信を切り忘れたためにリア凸された話
7:配信を切り忘れたためにリア凸された話
「と、いうわけで! 今日はカズキくんに裏ゴブリンの倒し方を教えてもらいましたー! みんなも裏ダンジョンを攻略する際には、ゴブリンの初見殺しには気をつけて、毒漬けにしちゃおう! それじゃあ今日はここまでとしまーす! みんなもお疲れ様ー! まったねー!」
───
【コメント】
『おつおつ』
『お疲れ様でした』
『888888』
『ノシ』
『カズキくんに美味しいポーションを買ってあげてください』(ミラクルチャット:2000円)
『あの男偉そうでウザい。もうコラボすんな』
『カズキ早速ファンとアンチできてて草生える』
───
「おつかれーカズキくん! 今日はありがとう! すっごく勉強になったよ!」
───
【コメント】
『あれ?』
『まだやってる』
『切り忘れてるぞー』
『背筋切り忘れてる?』
『おーい! こっこおーい!』
『気付いてねーじゃん』
『こっこ切り忘れてるぞ』
───
「うえ!? これってまさか……! EXポーション!? なんじゃこりゃ、すげぇ効き目だ!」
───
【コメント】
『くさ』
『草』
『ワロタwww』
『反応がカワイイ』
『あーなんかポーション飲みたくなってきた』
『これはいい宣伝』
『これ配信切り忘れを装ったEXポーションのステマだろ』
───
「さすがに悪いって。こんな高価なものを気軽に貰えない。そのうち、何かお返しするよ」
───
【コメント】
『いいやつ』
『これはマナー講師もニッコリ』
『若いのに礼儀正しいのお前らも見習え』
『いやちゃっかりこっことまた会う約束取り付けたいだけだろ』
───
「あはは。気にしなくていいよー! それ、スポンサーさんから提供してもらってるやつだからね! むしろもっと貰って貰って!」
───
【コメント】
『ダメでしょこっこ』
『スポンサーさんに怒られる未来のこっこ』
『カズキの飲みっぷり、あんないい絵取れたんだからむしろ感謝してるだろ』
『そろそろ気づけこっこー!』(ミラクルチャット:300円)
『もうやめろ頼むマジで男がこっこと仲良くするな』
───
「あ、これからどうする? カズキくん、このまま探索続ける?」
「いや……今日はやめとく。実はアイテムが切れかけててさ。買い出しに行く予定だったんだ。まあそのあとに、軽く潜るかもしれないけど」
「あ、じゃあさ……よ、よかったら、一緒にお買いもの、いかない……?」
───
【コメント】
『は?』
『は?』
『ん?』
『こっこ?』
『おいふざけんなマジでおいこっこ何言ってんだどっきりだろリスナー騙して楽しいかクソ女!!!』
『あかん。メスの顔しとるわ』
『こっこ逆ナンしてて草』
『ダンジョンで発情すんな』
『嘘だろこっこ?』
『はい未成年淫行罪』
『リスナーの目の前で男作るとか配信者のクズ』
───
「……え、嫌ですけど」
───
【コメント】
『草www』
『草ァwwwwww』
『【悲報】芒野こっこ、フラれるwww』
『盛 り 上 が っ て ま い り ま し た』
『こっこフラレたあああああああ!!!!!!』
『カズキお前まじお前身の程わきまえてて偉い』
『こっこフるとか何様だよ殺すぞ』
『こっこの魅力画わからんアンチが二度とコラボすんなよ』
『よくやった』
『どしたん?話きこか?』
『俺の胸で泣けこっこコケコッコ』
『こっこ涙目www』
────
☆
「……え、嫌ですけど」
こっこの提案を秒で断ってしまった。
やべ。思ったことが反射的に口から出た。
嫌じゃない。嫌なわけないだろう。ファンとして、芒野こっことリアルでも一緒にいれるなんて、夢みたいなもんだ。
だけどな……ダメなんだ……。
ないんだよ……俺には……!
こっことお出かけできるような、きとんとした私服がねえんだよっ!!!
こっこと買い物? いきてえよ! でもそれ以上に、私服がダサいって思われたくない!
「そ、そっか! ごめん、こ……友達でもないのに、馴れ馴れしかったよね……」
「いや! 違う違う! ほんと、大したもの買うわけじゃないし、近場でさっさと済ませようと思ってたから……こっこを付き合わせるのは申し訳なくてさ!」
見るからに落ち込む彼女にあわてて取り繕う。そうだよな、せっかくの好意を無下にしてしまったのだ。マジでごめん!
……クラスの陽キャに服選び教わってから、今度こそ行きましょう!
「うーん、はぐらかされたなあ。ま、いいけどっ。ところで、普段はどこでダンジョンアイテム揃えてるの? 私はほとんどネット通販なんだけど、穴場とかある?」
「穴場ってか、いつもは学校帰りにホームセンターで仕入れてるよ。売れ残りの値引き品はついつい見ちゃうよなー」
「へー。私も行ってみたいなー! それじゃあもっと仲良くなったら、一緒にお買い物行こうねっ!」
「ま、そのうちね……はは……」
──なんて、やり取りを終えて、自室に帰還して、宣言通りにホームセンターへとチャリで来たわけだが……。
「山本カズキ……待っていたぞぉ……! ひひひっ! 芒野こっこをたぶらかすクソゴミ男めぇ……!」
なんか、入口付近に居た小太りの男にそんなことを言われたので、気持ち悪いので距離を取ったとこらである……。
そしてそんなタイミングで、こっこから電話がかかってきた。
『カ、カ、カ、カズキくんー! どうしよ、さっきの配信、切り忘れてたみたいで、ななな、なんか私がカズキくんにフラれたってことになってるんですけどー!? え!? 違うよね!? フってないよね!? また今度行くって約束したもんね!?』
「あー……うん。なるほど。全て理解した」
『ふえ? なに? なんのはなし?』
「いや、こっちの話。ま、リスナーが茶化してるだけだから、気にしない気にしない。それじゃ、今ちょっと忙しいから。ばいばーい」
他にも何か言いたげなこっこだったが、目の前の不審者をどうするかが最優先事項である今、ちょっと蔑ろにすることを許してほしい。
さて……。こっこの話からすれば、こいつはおそらく、配信終了後の話を聞いていて、俺が近くのホームセンターに買い物に行くって言うから、待ち伏せしていたのだ……。
てことは、一人じゃないな。
ここは俺の通う高校近くのホームセンターだが、それでも近場にホームセンターはまだ数カ所はある。電車で一駅二駅くらい行けばもっと大型のホームセンターもある。
そこまで範囲を広げてたとしたら……そしてこの無駄な行動力……! こいつら、まさか!
「お前、さては、【芒野こっこファンクラブ】だな……?」
俺の問に、高らかに笑い出したのが、もう答えだった。
「ふはははは! その通り! われわれ【芒野こっこファンクラブ】は、山本カズキ! 貴様が気に食わん! よって、徹底的に叩きのめすことに決めたのだァ!」
くっ! なんて理不尽な! 【芒野こっこファンクラブ】は、非公式会員制サークルなのだが、ちょっとヤバい奴らが集まったいるともっぱらの噂もなのだ!
俺は、最悪なことに、そいつらに目をつけられたってことか!
「われわれは、山本カズキに決闘を申し込むッ! 負ければ今後一切、芒野こっこと関わることをやめろ! わかったかァ!?」
「決闘……だと……!?」
なんだよ、それ……!
──普通に面白そうな提案なんだが!?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます