7.“生きてる”




───…結局、その日は彼の家に泊まった。


 朝まで一晩中抱き合って、何度も身体を重ねた。


 私にとって3年ぶりのセックスはあまりにも気持ちが良くて、躊躇いも恥じらいも捨てて、彼に全てを開放していた。


 それに、若い男の子の身体というのは、目には見えないエネルギーが溢れているようで。


 触れ合っているだけで、私自身の細胞もみるみる若返っていくようだった。



「………旦那、平気なの?」


 明け方、薄い布団一枚の上に裸で身を寄せ合っていると、彼は聞いてきた。


「平気。というか、絶対気付かない」


 夫が3年間も不倫してること、セックスレスで子供を諦めたこと。……全部、彼に話した。


「ふぅん」


 彼はまた、意味深な相槌を打つと、


「……だから俺にかまってくれたんだ?」


 いたずらにそう言いながら、腰のあたりをやさしく撫でてくる。



「ちがうよ?」


 至近距離で、潤んだ大きな瞳を見つめて、答える。



「きみに一目ぼれしたの。私」


 ほんの一瞬、目を見開いてから、彼は嬉しそうに頬を緩めて。



「………顔かよ。しょーもな。笑」


 そう言って、愛おしいものに触れるように……

 手で、唇で、全身を愛でてくれた───




───その日以来、私は彼の家に通った。


 夫に不倫されている専業主婦の私と、無職の彼。

 二人は可能な限りの全ての時間を一緒に過ごした。



「んっ……あ、……ちょっと……やっ…、」

「……声おさえて。昨日ばあちゃんから苦情きた。笑」

「え……やだ、うそでしょ……///」


 毎日毎日、馬鹿みたいにセックスばかりしていた。


「俺らさ……」

「……ん?」

「ヤってばっかで猿みたいだよな?」

「ふふ、」



 彼の言う通り、理性の欠片もないくらい、本能剥き出しで過ごしていた。



 でも全然、嫌じゃなかった。

 むしろ、“生きてる”という感じがして、嬉しかった。


 彼と一緒にいるだけで心が満たされる。


 私の毎日は、完全に、彼中心に回っていた───


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