第2話
新学期が始まり落ち着いてきた頃、隈が酷く手入れのされていないのがわかる不審なおじさんが家に訪ねてきた。
「ここは赤色の紫陽花が咲くお家で会っていますか」
私は何を当たり前のことをと思った。なぜならこの国でここだけが土を入れ替えたりせずに赤の紫陽花が咲くところとして有名だから。
「はい、外からも見えるようになっているので梅雨の時期に来ていただけたら見れますよ。」と
不審なおじさんは
「親御さんはいらっしゃいますか」
私は怖くなり扉を閉めて鍵をかけ叔母を呼んだ。
「吏滝 《りる》さん! なんか変なおじさん来てるよ!」
「あらら、紫陽花を見に来るには早すぎるわね、お話してくるから朱雨さんに話してきてちょうだい」と
言って玄関に向かってしまった。
私は急いで叔父の元に向かい伝えた。
叔父も心配し、私には部屋にいなさいと言い叔母の元へ向かっていった。
しばらくして叔母が迎えに来てリビングで話を聞いた。
「彼女さんが行方不明で一緒に旅行に行った場所を尋ねてるみたい」
「彼女さんがここを気に入っていたみたいで、来てませんか?ってもし見掛けたら教えてくださいって」
私は手渡された写真を見て
「わかった」と答えるしかなかった。
この家に来る人なんて家族以外みんな梅雨時期しか来ないから。
この彼女さんが行方不明なのは本当なのか、写真の中で笑顔の彼女の彼氏だと言う不審なおじさんから逃げているからなのかは分からないから安易に見つけても教えてもいいものか不安でもあった。
叔父は「彼に教えなくてもこの子がいたら声をかけてあげなさい。貴方の彼氏が探しに来てましたよって」
「それで逃げてるかどうかはわかるからね」
私は確かにそうだなと思い頷いて了承した。
片方だけの話じゃなくて両方聞かないと2人の間のとこだし、解決できないよねと1人で考えていた。
2人に確認して、その写真と話をクラスの子に話した。
警察には当事者じゃないのが、もしかしたら痴話喧嘩かもしれないのを第三者が言うのはちょっとはばかられるとの事で、軽くしか伝えないことになった。
伝えた次の日に、クラスの子から「この女の人来てたよ。『紫陽花のお家はどこですか』って案内したから親が覚えてたみたい。季節外れだしね」と
思わぬ収穫でその日は急いで帰ってしまった。
2人は、「本当に来てたのね、まだ近くにいるのかしら?」「なんにせよ話し合いするなりしてまた紫陽花見に来て欲しいね」
私もここの紫陽花は綺麗で自慢だからまた見に来てくれたら嬉しいなと思った。
テレビで不審なおじさん改め自称彼氏さんが逮捕されたのが流れた。
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