薄い少女は、夢=妄想なんだろう。廃棄品ギルド員は、そう思っていた。/ 品画十帆 様

 作品名:薄い少女は、夢=妄想なんだろう。廃棄品ギルド員は、そう思っていた。

 作者名:品画十帆

 URL:https://kakuyomu.jp/works/16817330666675559374

 ジャンル:SF

 コメント記入年月日:2023年11月11日


 以下、コメント全文。


 初めまして。

 この度は『熟読&批評します』企画にご参加いただき、ありがとうございました。

 主催者の島流しにされた男爵イモです。作品の方を拝読致しました。


 少ない文字の中で日常の一コマが切り取られており、それが多面的に表現されていた作品という風に思います。いい意味で、タイトルに騙されたといいますか。ラノベ調のタイトルからは想像がつかない、文学的な一面が綴られていた印象です。細かな「気になった点」は後述しますので、まずは良かった点から。やはり少女の書き方と、鼻血との結び付けは秀逸でした。鼻血は暗喩だと認識しましたが、その解釈は合っていますでしょうか。


 最初のうちは、鼻血は終末世界での流行り病か有害物質の影響かと思いましたが、どうにも違う様子。少女との戯れから目覚めるトリガーは鼻血。しかも、主人公はそれを望んでいる。死への羨望か、単なる興奮したことの表現か。読み進めていくうちに、「もしかして」と思い始めた次第です。ただの深読みのしすぎであれば恥ずかしい話ですが、作者様が意図してのことならば、素晴らしいギミックだと感心しました。


 また討伐対象の電気製品や、チームを組むことになった面子の話は短いながらも個性的に描かれていた印象です。尺の都合上、おまけ的な立ち位置でしたが、掘り下げられればそれはそれで面白くなりそうですね。どうして、こんな世界になったのか。終末世界に生きる人たちには、どんな言動が目立つのかなど。中編や長編への作り替えもできそうな気がします。


 では続いて、気になった点を述べていきます。大きく分けて二点です。

 まず一点目、主人公の性欲についてです。あらすじで断りが入れられているので、指摘するのは野暮かとも考えましたが、やはり気持ち悪さが強いです。思春期や夢の世界だからこその思考ともいえますが、官能的な雰囲気よりも異常さが勝りました。その大きな要因としては、主人公の少女に対する見方が性欲の対象でしかないことが挙げられます。作中ではそのことに終始しているので、どちらかといえば少女の方に感情移入することになりました。


 ただし、少年が全面的に悪いというわけではありません。そうした念を抱くことは当然です。なので、そこにほんの少しの情愛を足されてはどうかと思うのです。窮地を助けてもらったことにだけでなく、自身の前にたびたび姿を現してくれることに対して。そうすれば独善的な妄想を続ける主人公ではなく、多少は親近感の湧く主人公として読者の目には映ることでしょう。人物の掘り下げという点について、ご一考いただければと思います。


 二点目は、文中の読点の多さについて。

 これは作者によって振れ幅が大きく、最適解もないわけですが、客観的にみて作中での文章には読点が多すぎます。コメントへの返信、プロフィールにおいても同様の特徴が認められました。ですので、これは作者様の癖なのでしょう。しかしながら、読点の多さはときには読書のストレスや、単純な読みにくさにもつながります。作中から一文引用して、改善案を述べさせていただきます。


 第2話より引用

 我を忘れて、皆、一目散に、出口を目指して、駆出した。

→我を忘れて皆、一目散に出口を目指して駆けだした。


 さすがに読点ゼロでは読みにくいですが、これくらいの文字数であれば一つで事足ります。読点を多用する人の特徴として、「文章表現で個性を出したい」や「一つ一つの単語を読者に伝えないと不安になる」というのが有名です。もちろん、作者様はこのどちらにも該当しない方かもしれません。それでも、ときには読点の多用が悪手になることを覚えておいていただければ幸いです。修正するのかどうかは、作者様の判断に委ねます。


 最後に、目についた範囲で誤字脱字などの報告を。

 第1話:じり貧なって行くだけだ。→じり貧に

    :襟(りと袖(そで》と裾に→ルビ振り時の操作ミス?

 第2話:今日は憤怒の炊飯器を討伐した。→ルビは「ふんぬ」が正しいかと。

    :珍しく話かけてくるな、と思ったら、→話しかけてくるな、

 第3話:少女は、俺の鼻に触りながた、文句を呟いている。→触りながら


 以上になります。

 もし批評に関してご不明な点や不備があれば、私の近況ノート『11/3開催 自主企画専用ページ』にて対応致します。ご要望に応じて批評内容の解説も致しますので、気軽にお申し付けください。ここで述べたことが、作者様の創作活動の一助となれば幸いです。

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