月を飛ぶ蝶のように / 十六夜 水明 様

 作品名:月を飛ぶ蝶のように

 作者名:十六夜 水明

 URL:https://kakuyomu.jp/works/16817330663088119246

 ジャンル:歴史・時代・伝奇

 コメント記入年月日:2023年10月2日


 以下、コメント全文。


 初めまして。

 この度は『自作品への意見や提案がほしい方へ』企画にご参加いただき、ありがとうございました。主催者の島流しにされた男爵イモです。


 原稿は一通り拝読致しました。

 短編ということもあり、内容は綺麗に収まっていた印象です。構成としても起承転結が順序立てて展開されていて、作者様の意図や本作に込めたメッセージなどは的確に伝わってきました。父との邂逅や場面選びには児童文学のような趣があり、要所のアクセントとして映えていたかと思います。本作のテーマとなった希望や人生の転機など。それらを読み解くのはさほど困難なことではなかったので、普段あまり読書をしない人にも易しい作品に見受けられました。そうした読者への配慮がみられたのは評価できる部分です。


 気になった点は二つほど。

 一つ目は少女の心情について。作品の方向性が明確だったので心理描写がなくとも本筋は追えましたが、全体的に動機づけや心境の変化の描写が疎かになっていたように思います。母を亡くした絶望や、少女の最後の決断(地上(現世)を愛した理由)が描き切れておらず、話運びの強引さが否めません。まずは物語の「起」の段階で、少女を絶望の底に落とすことを意識してみてください。そうすれば最後にもたらされる希望がより輝かしく見えますし、神であった父との問答の末に「救われた」という過程を演出することができます。そして、肝心の地上に残るという選択の根拠について。これは現状では説得力に乏しいので、さらに小話を追加することをオススメします。かつての母の選択の解釈にしても「天界にいかなかった→現世が好き」で済ませるのではなく、「現世に残る意味があった」という方向で話を盛るのが適当かと。それを倣って少女も現世に残る、あるいは母の生きた足跡を自分が継ぐなど。結婚して子を儲けたり、土地を守っていったりという具体的な未来への希望が描かれても良い気はします。


 二つ目は文章について。

 まだ、あまり書き慣れていないといった風に見受けられます。指示語や主語の重複、単語を修飾しようとするあまり冗長な文章になる、語の裏付けや動機づけが端折られているなど。これらは指摘されたからといってすぐに上達するものではないので、まずは多くの小説に触れて洗練された文章を身に付けてみてください。その過程で自然と文章力は上がっていくでしょうし、話の練り方や運び方への理解を深めることにもつながります。現状の自分の強みと弱みを理解して、さらに技術を研鑽していっていただければ幸いです。


 最後に、小説の基本ルールについて軽く触れます。

 ・改行後は段落はじめを一字下げる。

 ・三点リーダー(…)は偶数個で使用。

 ・感嘆符(!)や疑問符(?)のあとは一字空ける。

 とりあえずは上記三点を覚えていただければ。Web小説では重要視されませんが、小説の体裁を整えるための基本的な事柄になります。取り入れて損はしません。


 以上になります。

 創作活動のヒントにつながったのならなによりです。

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