識域のホロウライト / 伊草いずく 様
作品名:識域のホロウライト
作者名:伊草いずく
URL:https://kakuyomu.jp/works/16817330664680366899
ジャンル:現代ファンタジー
コメント記入年月日:2023年11月1日
以下、コメント全文。
初めまして。
この度は『自作品への意見や提案がほしい方へ』企画にご参加いただき、ありがとうございました。主催者の島流しにされた男爵イモです。
キリのいいところまで拝読致しました。
オリジナリティ及び文章表現を模索している、ということが感じ取れる作品でした。物語の内容に関しては既存の要素を踏襲しつつ、そこに新規要素を加えて、自分だけの作品として昇華させようとしている作者様の姿勢が伝わりました。特にSF味のある固有名詞や助っ人の存在、パルクールが上手く機能していた印象です。これらが形だけでなく、物語や展開に組み込まれていたのも良かった点だと思います。文章表現もラノベとしては硬質なもので、内容が類似する他作品との差別化を図っているように見受けられました。
そうした一方で、気になった点もいくつかありました。
まず、近況ノートにいただいたコメントへの返信ですが、本作は現状では一次選考を越えるのは難しいというのが正直なところです。その原因は文章表現にあります。前述したように評価できる反面、物語の足を引っ張っているのも事実です。具体的な課題点は二つです。
一つ目は、文章の装飾過多。熟語や隠喩、独特な言い回しを多用するあまり、文章が全体的に太っている印象です。これは純文学を書こうとする人や、自分の感性を頼りに文章を書く人によくみられる悪癖です。かく言う私も、同じ悪癖を持っています。こうしたことは文章を抽象化させ、かえって意味の通らないものにしてしまいます。これでは「内容以前の問題」として公募では通じません。逆に「飾り気はないけど、意味は通る」という文章の方が一次を通過する場合もあります。なので、個性的な文章はアクセントとして局所的に使うことをオススメします。平易な表現があるからこそ、対極にある華美な表現が映えるのです。読者に伝えたい基礎情報、重要でない描写は丁寧かつ端的に。見せ場は様々な表現技法を用いて華美に。そうした緩急を意識しながら、余分な文章や単語を削ってもらえればと思います。
二つ目は、視点の混在。作中では一人称と三人称による視点が混在しています。これは公募では一発アウトになる事柄です。どちらかで統一するのが無難です。とはいえ本作は主人公以外にもスポットが当たるので「三人称一元視点」が適しているといえます。これは三人称視点をベースに、部分的に一人称視点を混ぜたもので両者の良いところ取りをしています。そのため物語と人物の心情を満遍なく表現することができ、初心者から上級者まで誰でも扱うことができます。一応、細かな運用ルールはありますが、比較的自由度の高い書き方といえるでしょう。この視点のメソッドはネットでも公開されているので、もし興味があれば調べてみてください。きっと作品作りに役立つはずです。
以上になります。
作者様の創作活動の一助となれば幸いです。
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