第105話 フグタール VS ゴブ太郎
〜〜フグタール視点〜〜
だ、大魔力破壊砲……。
魔力の塊を光線にして発射する技のようだけど、な、なんて威力なの?
たまたま、当たらなかったから良かったものの、モロに喰らっていたら体が消滅していましたわね。
「次は当てるゴブよぉおおお……!! はぁああああ……!!」
ふん!
凄まじい魔力ね。
どうやら、レベルは相当に高そうですわ。
でも、残念ね。
ゴブ太郎は、私の
当てる対象が見えないんじゃあ、どうしようもありませんわね。ククク。
「さぁ、ゴブリンさん。私はこっちですわよ?」
ふふふ。私の後ろは魔公爵軍の観戦場。大勢のオークがあなたを応援していますわよ?
『ああっとぉおお! フグタール選手、場所を移動したぁああああ!! 公平なジャッジのため、移動場所のヒントは出せまへんでぇえええええ!!』
しかし、自軍からはクレームの嵐。
「ちょ! ま、待つブゥウウ!!」
「おいゴブ太郎! こっち向けるなブゥ!!」
「それ撃ったらザウス軍にダメージ出るブゥ!!」
「撃つなよ! 撃つなよ! ってこれ振りじゃないブゥウウウウ!!」
ホホホホ!
所詮はゴブリン。雑魚モンスターですわ。
「えーーと、フグタールはあの辺だから、こっちから撃ったら大丈夫ゴブね」
ふぅうん……。的確な位置に移動している。
私の声で居場所を把握したのか。
だったら……。
☆
〜〜ゴブ太郎視点〜〜
まいったゴブね。
まさか視界を殺して戦うことになるとは思わなかったゴブ。
とはいえ、匂いを辿れば正確な位置がわかるんだよな。
あの姉ちゃんは、香水をたっぷりつけているゴブ。
だから、その匂いを辿れば、戦うことは可能なんだゴブ。
あの辺にいるからぁ……。
この角度から撃てば後ろは魔王軍ゴブ!
よぉーーし、大魔力破壊砲を撃つゴブ!!
「待て、ゴブ太郎! そっちは危険だ!!」
え? ザ、ザウス様の声!?
「どういうことゴブ?」
「俺が的確に誘導してやる! 後ろに向いて技を放て!」
え!? え!?
「そんなことしたらオークたちに当たっちゃうゴブよ!」
「大丈夫だ! 俺を信じろ!!」
信じろって……。
匂いは前なんだから、後ろに撃つなんて絶対に間違っているゴブよ。
で、でも……。ザウス様の声なら……。
「騙されるな! その声は偽物だ!」
「え!? またザウス様の声ゴブ!! 今度は正反対のところから聞こえるゴブよ!?」
すると、今度は右から、
「違う! あいつこそ偽物だ!」
「え? こっちもザウス様の声だゴブ??」
はたまた左からも、
「違う! 偽物はあいつだ!!」
「どっちが本物ゴブ!?」
「俺だ!」「こっちだ!」「騙されるな!!」
ええええええええええ!?
一体、何人のザウス様がいるゴブぅう??
6方向くらいから聞こえてくるゴブよ!?
「雑魚ゴブリン! 俺が本物だよ!」
「いや、お前は偽物ってわかるゴブ。ザウス様は部下モンスターのことをそんな風にいわないゴブ」
でも、声の数が多すぎて、どれが本物かわからないゴブ!
瞬間。
冷たい冷気が体を包む。
「ゴブ太郎! とりあえず目隠しを取れ!! 作戦が裏目に出ている!!」
うう!
このアドバイスは本物っぽいゴブ!
オイラは顔に巻いた布を取った。
すると、眼前には6人のザウス様が立っていた。
「え!? ザウス様がいっぱいいるゴブ!?」
しかし、その体は透けており、ところどころノイズが走っている。
「ふふふ。
ええい!
本体を叩けば、こんな幻影!!
「一手遅かったわね」
オイラの頭上には巨大な氷柱が生成されていた。
さっき感じた冷気はこれだったのか!
その大きさは100トン以上はありそうゴブ!
「プラネットアイスニードル。ぺちゃんこになりなさいな」
「うぉおおおおおおおおおおおおお!!
んで、炎の拳ぃいいいいいいいいいいい!!
「ゴブゴブパンチバーストォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!! ゴブゴブゴブゴブゥウウウウウウウウウウ!!」
拳の連打攻撃で巨大な氷柱を破壊する。
『おおっとぉ! ゴブ太郎選手、超巨大な氷魔法を破壊したぁあああ!! ピンチを乗り切ったかぁあああああ!?』
粉砕された氷の隙間からフグタールが見える。
「はい。おしまい。
その瞳はピンク色に輝き、オイラの体を動かなくした。
「うぐぅううう!!」
「ほほほ。さぁ、いうとおりにしてもらいましょうか」
か、体が勝手に動く……!!
ぬぐぐぐ……!!
こんな魅了の魔法くらい、自力でぇええええええええ!!
「ゴブゥウウウウウウウウウウウウウウウッ!!」
それはなにかが弾ける音だったゴブ。
バリバリと、稲光を発して、魅了の魔法のオーラを破壊する。
「やったゴブ!! 魅了の魔法を解いてやったゴブッ!!」
『ゴブ太郎選手、場外やでぇええええええええええええええええええええええええ!!』
え?
気がつくと、オイラは舞台の外にいた。
「なんでええええええええええええええええええええ!?」
「ほほほ。1秒遅かったですわね。あなたは自分の足で舞台を降りたのよ」
「そ、そんなぁあああ〜〜」
「オーーホッホッホッ! これが実力の差ですわ。所詮はゴブリン。雑魚は雑魚ですわね。ふふふ」
ああああ……。
まさか、場外のルールがここまで有効に機能するとは思ってなかったゴブ。
『勝者、フグタール選手ぅううううううううううううううううう!!』
がっくりと落ち込むオイラに、声をかけてきたのはアルジェナさんだったゴブ。
「そんなに落ちこまないでよ。修行では場外なんて想定外だったろうしさ」
「面目ないゴブ」
「チーム戦だから気にしないで! 次は
「ほほほ! 貧弱な人間が上級魔族の私に勝てるはずがありませんわ」
「やってみなくちゃわからないでしょ!」
「ほほほ。やる前からわかりますわよ。そもそも見た目で勝敗は決まってるんですものね」
「見た目ですってぇ? どういう意味よ?」
「ブスは美人に勝てませんのよ」
「はぁああああ!?」
「ほほほほ。もう勝負あったでしょう。おブスさん」
「このぉおおおおお〜〜。ブスって言ったもんがブスなのよぉおおおおお!!」
「おほほほほほ!」
「ぐぬぬぬ……!!」
ア、アルジェナさん、落ち着いて欲しいゴブ。
「貧相な体つきねぇ……。そんな体でザウスが満足するのかしら〜〜?」
「な、な、なんてこというのよぉお! バッカじゃないの!!」
「あら、お子ちゃまでしたの? まぁ、そんな体つきじゃねぇ。男は振り向きませんか。プププ」
そんな中、大賢者カフロディーテさんが加勢したゴブ。
「アルジェナよ! あの女、自分の巨大な胸を自慢しておるぞ! 性格が悪すぎる! ぶちのめすのじゃ!!」
「オーケー! 性格ブスに天誅を下してやるわ!」
『さぁ、次は第四試合。両チームともに中堅対決になるんやでぇええええ!!』
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チーム戦の状況です。
⚪︎=勝利 ×=敗北
魔王チーム。
×先鋒 竜人族ドラゴニアス。
×次鋒 ヴァンパイア族ブラディアン。
⚪︎中堅 参謀フグタール。
副将 邪神龍 ジャルメ・ゲバザバハマール。
大将 魔王ヘブラァ。
魔公爵チーム。
×先鋒 獅子人族ガオンガー。
×次鋒 ゴブリン族のゴブ太郎。
中堅 魔神殺しのアルジェナ。
副将 大賢者カフロディーテ。
大将 魔公爵ザウス。
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