第103話 ガオンガー VS ブラディアン
〜〜魔王視点〜〜
次鋒はヴァンパイア族のブラディアン。
こいつは魔王四天王に君臨する最強の魔族だ。
魔族には与えられた地域によって強さが格付けされている。
勇者の住む地域に近いのは魔公爵領だ。
これはもっともランクの低い低級魔族の領土。
雑魚ランクの魔族ならば、いつでも勇者に殺されてもいいからな。
そして、魔王城に近い領土を収めているのが、魔王四天王なのだ。
その1人がヴァンパイア族のブラディアン。
そのレベルは8万。
レベル4万だった先鋒のドラゴニアスより倍の強さがある。
こいつならば獅子人のガオンガーに勝てるだろう。
しかも、初手から全力でやるように釘を刺している。
負ける要素は皆無だ。
おそらく、ザウスチームは先鋒で、一番強いガオンガーを持ってきたのだろう。
このチーム戦は勝ち抜き制だからな。ガオンガーに1人勝ちさせれば
ふん。貴様の浅知恵なんぞお見通しよ。そうはいかんぞザウス。
貴様にその実力を見せつけてやる。
ククク。
なんなら、ブラディアンがザウスさえも倒してしまうかもな!
クハハハ!
「ブラァァアアアッハッハッハッハッ!!」
貴様の部下は皆殺しにしてくれるわぁあああああああああああ!!
『第二試合の開始やでぇええええええええええええええええええええええええええ!!』
ククク。
魔王四天王のブラディアンの実力をとくと見よ!
バキッ!!
『あああっとぉおおお! ブラディアン選手、吹っ飛ばされて場外やでぇえええええ!!」
え?
『ガオンガー選手の勝利ぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!』
なにぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!?
なにが起こったのだ!?
『さぁ、魔公爵チームは2連勝です!!』
なぜ負けたぁああ!?
「おいブラディアン! どういうつもりだ!? 初めから全力でやるように念を押しただろうが!」
「は、はい。もちろん、全力でやりました!!」
「ならば、どうして負けるのだ!?」
「あ、相手の攻撃が強烈だったのです!! とても耐えることができませんでした!!」
「なにぃいいいいいいいいいいい!?」
そんなバカな!
「おまえのレベルは8万だろうが!! 負ける要素がどこにあるというのだ!?」
「負ける要素など存在しません! 下等な獅子人族に誇り高きヴァンパイア族が負けるわけはないのです!!」
そうなのだ。
獅子人族は上位種の魔族ではない。
イケメンダール様の悪魔覚醒でも、せいぜいレベルは400程度。
レベル8万のブラディアンに勝てる要素などあるわけがないのだ。
ならば、なぜ負けた!?
「わかりました! ザウスが隠れて補助魔法の
そんな素振りは見えなかった。
いくら隠蔽の魔法が付与されているとはいえ、補助魔法のオーラまで見えなくすることはできん。
「ザウスのことです! 強力なレアアイテムを持たせていたのかもしれません!」
……そんなアイテムを装備したところで、劇的にレベルを向上させるものはないだろう。
せいぜい、倍程度……。レベル400の倍ならば800だ。
やはり計算が合わない。
「ザウスのことです! 卑怯な手を使ったに決まっています!! それしか考えられません!!」
「うーーむ」
「卑怯な手です!! 我々の想像を凌駕するような!! 卑怯者の使う手口で戦っているのです!!」
「うーーむ……」
「雑魚魔族のザウスの考えそうなことです!! コソコソと裏で何かをやっているのです!!」
「うーーむ。たしかに。なにか、レベルを大幅に強化する術を身につけていたのかもしれん」
「そうです!! 卑怯な術を身につけているのですよ!! 所詮は雑魚魔族!! 卑怯な手段でしか勝てない下級魔族なのです!!」
「おまえ、ちょっと黙ってろ」
「いいえ! これが黙らずにいられましょうか! 私は雑魚魔族の罠にハマってしまったのです!! ザウスの卑怯な手口に騙されてしまったのですぅううううう!!」
やれやれ。
すると、ブラディアンの頭は膨張し──。
「アピャッ!」
ボンッ!
木っ端微塵に吹っ飛んだ。
順当に考えるのならば、ガオンガーのレベルが8万より上ということになるな。
うーーむ。にわかには信じがたいが……。
『さぁ、盛り上がってきたでぇえええ!! このチーム戦は勝ち抜き制となっとるんや! せやさかい、二回も勝っとるガオンガー選手が三回戦も戦うことになるやで。ちょっと、今の心境をインタビューしてみましょか。ガオンガー選手。勝利の感想を聞かせてぇな』
『フン! 手応えがないガオ!! 俺様が魔王までやっつけてしまうガオ!!』
『おお、これはすごい自信でんなぁ……って、ちょ、ちょっと! 物を投げんといてぇえなぁああ!! 暴力反対やでぇええええ!!』
「ふざけんな裏切り者がぁあああ!!」
「地獄に堕ちろ猫野郎があぁあああああ!!」
「死ねドラぁあああああ!!」
「獅子人の分際でいい気になるなよ、クソがぁあああ!!」
「黙れブゥ! 勝ったのはガオンガーの実力ブゥ!!」
「魔王軍が弱いだけブゥ!!」
「悔しかったら実力で勝利を勝ち取るんだブゥ!!」
「物投げんなブゥ!!」
『ははは……。まぁまぁ、両者ともに落ち着いてぇな。エールはまだまだあるさかいな。干し肉とクッキーもあるでぇ。ジャンジャン呑んで、自軍を応援したってなぁああ!』
ゲームは第三試合へと進んだ。
『さぁ、次の試合やでぇ。魔公爵チームは2戦とも勝ち抜いた先鋒、獅子人のガオンガー選手。対する魔王軍は中堅、参謀のフグタール選手や!! 魔王軍の紅一点の登場やでぇえええええええ!!』
────
チーム戦の状況です。
⚪︎=勝利 ×=敗北
魔王チーム。
×先鋒 竜人族ドラゴニアス。
×次鋒 ヴァンパイア族ブラディアン。
中堅 参謀フグタール。
副将 邪神龍 ジャルメ・ゲバザバハマール。
大将 魔王ヘブラァ。
魔公爵チーム。
⚪︎先鋒 獅子人族ガオンガー。
次鋒 ゴブリン族のゴブ太郎。
中堅 魔神殺しのアルジェナ。
副将 大賢者カフロディーテ。
大将 魔公爵ザウス。
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