第99話 魔王様はカンストレベルを99万と見間誤っているうようです
〜〜魔王ヘブラァ視点〜〜
「さぁ、燃やせドラゴンどもよ。竜火球の炎でオークどもを焼き尽くすのだ」
それは飛空するエンプティドラゴンを筆頭に、地上にいるアースドラゴンたちも同じように口の中から火の玉を出す。
1万匹もいる竜の攻撃。それはなかなかに絶景である。
応戦しているのはザウス重騎士団。その数、5千はいるだろうか。豚の顔をしたオークの軍勢は、防御スキルにて応戦した。
「スキル
生意気にも、オークのスキルはなかなかに硬い。
竜火球の連打は爆発を起こしているが、
ふん。くだらん。
防御一辺倒の作戦か。
しかし、ここまで防御に自信があるのならば、その自信を打ち砕いてやりたくなるな。ククク。
「ドラゴンどもよ。よぉく見るがいい。これが魔王の力だ」
その指をピンと離す。
すると、一瞬にして、オークたちの防御壁は粉砕した。
「なにぃいいいいい!?
「ブラァアアハッハッハッハッ!! 豚のスキルが
豚どものレベルは隠蔽の魔法によって見ることはできない。
しかし、所詮はオーク種。魔王である
この世界に
「ブラァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
さて、無防備になった豚をどうやって処理してやろうか?
5千匹の豚の丸焼きなんてのも乙かもしれんな。
ザウスが到着すれば少しは悔しがるだろう。
「さぁ、やれドラゴンよ。オークどもを燃やし尽くせ」
竜火球がオークを襲う。
ククク。終わりだ。
火球はオークに命中して大爆発を起こした。
ククク。さて、豚の死体を眺めてやろうか──。
「ブラァアッ!?」
そこには大きな壁があった。
それは淡い光を発し、5千匹のオークたちの前に存在する。
どうやら魔法壁らしい。
オークとは違う力だ。
壁には傷一つない。竜火球の攻撃を防いだというのか。
その中心には黒マントの男がいた。
額には一本の角。青い肌をした魔族。
ふん。
「ザウスか」
貴様の魔法壁だろうと、
しかし、その衝撃はザウスの作った魔法壁が跳ね返した。
……簡単には壊れないようだ。オークのスキルとは違うか。
「ブラァアアアアアアアアアアア!! 遅かったなザーーーーウス!!」
ふん。
生意気なやつだ。やつもオークたちと同じように隠蔽の魔法で自分のステータスを隠しているようだな。
ザウス軍は隠蔽の魔法でステータスを隠すのが流行っているのか?
まぁいい。
隠したところで
偵察役のマジメットの話では、やつの最高レベルは12万とのこと。ククク。
そこから多少レベルが上がっていると考えたとしても、我のレベル66万には遠くおよぶまい。
加えて、
ククク。さぁ、お互い隠したレベルがどれほどのものか、戦いで証明しようじゃないか。ククククク。ブラァアアハッハッハァアアアアア!!
☆
〜〜ザウス視点〜〜
魔王も隠蔽の魔法を使っているのか。
これでは、お互いどれほどのレベルかはわからないな。
とにかく、慎重にことを進めるのがいいだろう。
「裏切り者ザウス。よくも抜け抜けと顔を出したものだなぁ」
「黙れ。おまえの領土はすべて俺がもらってやる」
「んぐぅう! き、貴様ぁ。誰に口を利いているのだぁああ!? 魔公爵の分際でぇええええええ!!」
「俺は魔王の上に立つ、魔公爵なのさ」
「なにぃいいい!?」
「魔公爵の物は俺の物。魔王の物も俺の物だ」
「ぬぐっぅううううううううううう!! ブラァアアアアアアアアアアアア!! 大口を叩くなよ小物がぁああああああああああ!!」
「その小物に領土を奪われているのはどこのどいつだ? 貴様の領土は順当に俺の支配下になっているぞ?」
「ふん! 泳がせてやったのよ。弱すぎる貴様を倒しても面白くないからなぁ」
「その割には尖兵だったカクガリィダンは、俺の部下モンスターに最速で倒されていたがな」
「う、うるさい!!」
「そのカクガリィダンも、先日、晴れて俺の支配下になった」
「ふん。あんなやつは所詮は雑魚だ。雑魚を倒して粋がるんじゃあない」
「別に粋がってはいないさ。事実を提示したまでだ」
……時間が欲しいな。
ドラゴンの軍勢は数が多い。
竜火球をそこら中に発射されたら俺の領土が破壊されるだろう。
主要都市部はオークの
都市部から離れている領民に竜火球が当たれば大惨事。民の避難にはハーピーを使っているが、まだまだ時間がかかりそうだ。なんとしても領民たちに竜火球の攻撃が当たらないようにしなければならない。
別に領民の命を心配しているわけではないがな。領民は俺の支配下における大切な労働力なのだ。そんな貴重な存在を1人足りとも無くすわけにはいかないんだよ。
できる限り、時間を稼ぐ。
「ザウスよ。貴様の軍勢は隠蔽の魔法でレベルを隠しているようだな。よほど、本当のレベルを見せるのが恥ずかしいと見える。ククク」
「お互いさまだ。おまえのところも隠蔽の魔法を使っているだろう」
「ククク。お互い実力がわからないということだな」
妙な自信だな。
やつの実力がわかるまでは迂闊に動けない。
できる限りの強化はやってきたつもりだ。
しかし、たかだか3960万だからな。魔王のレベルがそれ以上ならばまったく意味をなさないだろう。
それに、結局メタルパイナプールはゲットできなかった。
ぬぐ……。悔やまれるな。
これは最大の弱点だ。
まさか、この俺が敵に弱点を作ってしまうとはな……。情けない。
絶対に悟らせてはいけないな。
俺の弱点は隠し通す。
そして、ザウス領の防御を完璧にして、この戦いを乗り切るんだ。
「よしザウス。ゲームをしようじゃないか」
「ゲームだと?」
「ククク。代表を出して5対5の団体戦をするのだ。貴様の部下と
なるほど。
時間稼ぎにはちょうどいい。
それに相手の実力もわかるだろうしな。
「いいだろう。まずは条件を聞いてからだ」
慎重にことを進めよう。
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