第83話 イケメンダールの実力

〜〜ザウス視点〜〜


 魔王の力がわからない。

 カクガリィダンのパワーアップは悪魔覚醒によってグゥーーンと上昇していた。


 魔王ヘブラァ。

 その力は、ゲーム内ではレベル666だった。

 しかし、これは初代ブレクエの話。

 ブレクエ3のボス、イケメンダールの介入により、強化されているのは必須だ。


 つまり……。レベルの限界突破を受けて更なる成長をしている可能性が高いんだ。


 俺の素のレベルは12万だ。

 レベルカンストの99万には遠く及ばない。

 しかし、 レベル10倍強化ファーストバーストを使えば簡単にレベル99万に到達してしまう。

 

 一応、カンストレベルは99万なので、表示はそこで止まるみたいだな。 

 とはいえ、それ以上のレベル上昇でもカウントはしてくれるらしい。その証拠に、 レベル20倍強化セカンドバーストをすれば、 レベル10倍強化ファーストバーストよりステータスが上がっているんだ。

 要するに修行で伸ばせるレベルが99万まで。そして、能力で伸ばせるレベルはそれ以上。と、そういうことらしい。

 

 それにしても、レベル12万を20倍させたところで、敵のレベルがわからなければ意味がないな。

 勇者セアの事例があるからな。敵はなにをしてくるかわかない……。

 気を許しては殺られる。そこに待っているのは確実な死だ。


 油断大敵だな。


 現在、 七輪強化チャクラ イヴォークは2段階まで解放されているが、たったの20倍の強化では安心できない。

 石橋を叩くように。

 確実に、着実に強くなるんだ。

 どれだけ優位に立とうとも、決して相手を侮ってはいけない。

 負ける可能性が1パーセントでも存在するのならば確実に潰す。

 確実な勝利を確信するまでは、絶対に油断してはならないのだ。


 俺が今やることは2つ。

 素のレベルをカンストに近づけること。そして、 七輪強化チャクラ イヴォークを解放することだ。


 魔王領の侵略は部下たち滞りなくやってくれているしな。

 俺は自分の強化に専念できるよ。

 



〜〜イケメンダール視点〜〜


 退屈な毎日を美しく。

 それが僕の考えさ。

 魔王ヘブラァに呼ばれてこの世界に来たけど、魔族たちを強化させるのは本当に楽しいねぇ。まぁ、もっとも、僕が最強なのは揺るがない事実だけどね。


 レベル88万。


 これが僕の実力さ。

 

 ふふふ。

 僕は最強の魔王。誰にも負けない。


 この世界は面白いね。勇者セアは 筋肉覚醒マッスルウェイクという筋肉を強化する技を習得していた。

 筋肉を肥大させてレベルを2倍に強化する。

 コツは簡単だったからね。僕は、さらっと習得しちゃって部下モンスターたちに教授したけどさ。この技は見た目がスマートじゃないんだよねぇ。肥大した筋肉で、お気に入りの服を破いちゃうしね。だから、効果はそのままに見た目だけを変えてやったよ。


 


筋肉の体美しく変換マッスルボディビューティーメイクアップ



 

 ふふふ。

 内在する筋肉の肥大を凝縮して体の大きさを変えることなく効果だけを同等にする。

 つまり、これで僕のレベルは88万の2倍になったということさ。

 しかし、


「ブラァアアッ!! 流石はイケメンダール様ですぅううう!! レベル99万んんん!! ブラァアアアアアアア!!」


 どうやら、表示はカンスト値に到達したようだね。

 要するに100万越えか。ステータスがどのように影響しているのかわからないけど限界だろう。結局、僕は最強すぎるんだ。やれやれ、


「ふっ。強くなり過ぎちゃったね」


「ブラァアアアアア!! これぞ、魔王種でございますですぅうう!!」


「まぁ、僕の出番なんてないだろうからさ。もう適当にやればいいんじゃない? そのレベルならザウスにだって余裕だろうしさ」


「グハハハハ! まさにそのとおりでございますです、はいぃいいい!! ブラァアアアッ!!」 


 魔王ヘブラァのレベルは66万だ。

 これに勝てる魔族はいないだろう。

 あーーあ、余裕になっちゃうと退屈かもねぇ。


「んじゃ、僕はベッドの中で君を応援しているよ」


「ブラァ……。え? べ、ベッド??」


「フグタール」


「はい。お呼びでしょうか。イケメンダール様」


 彼女は魔王ヘブラァの参謀だ。

 ナイスバディの美しい見た目をしている。


 ふふふ。やっぱり、どの異世界に行っても女だけは味見しとかないとね。

 

「ベッドの中でダンスを踊ろう」


「まぁ」


 フフフ。

 僕が天国にエスコートしてあげるよ。


「フグタァアアアアアアアアアアル!! ブラァアアアア!? これはどういうことだぁああああああ!?」


「そ、それは……」


 と、顔を赤らめる。

 うんうん。女の子の恥じらいっていいよね。

 こういうの好きなんだ。


「ヘブラァ王。僕とフグタールはそういう仲なんだよ」


「ブラァアアアアアアアアアアアアアアア! そういう仲ぁあああああああああああ!?」


「今日は、趣向を変えてさ……。ヘブラァ王、君の寝室の隣りで寝ることにするよ。それなら僕たちがナニをしているのか、壁越しの声でわかるだろうからさ。ねぇ、フグタール?」

「し、しかし声が……」

「ふふふ。聞こえないように努力しないとね。そうだ。ベッドはよくきしむタイプの物を用意させよう。ギシギシという音が、さながらダンスミュージックというわけさ」

「んもう。イケメンダールさまったら」

「ふふふ。じゃあ、決まりだね。さぁ、行こう。今夜は寝かさないよ」

「あん。強引すぎますわ。でも……好き」


「ブラァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!! フグタァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアル!!」


 ああ、今夜は燃えそうだ。




〜〜ザウス視点〜〜


 サイ忍者のサイ蔵が俺の前に現れた。


「ザウス様。これを」


「おおおお! イノシシキングの牙だ!」


 見つけるのに10年はかかるといわれている超激レアアイテムだ。

 そんな貴重なアイテムを、たった4日で見つけちゃうんだからな。本当にすごいやつだよ。サイ蔵を仲間にして良かった。


 これで レベル30倍強化サードバーストの解放条件が2つ揃ったな。

 コウモリネクタイ、イノシシキングの牙。

 残るはメタルパイナプールだけだ。


「ザウス様。最後のアイテムの場所なのですが……。レアモンスターが強敵すぎて、拙者では太刀打ちができないでござる」


「だったら俺が倒してやるよ。案内してくれ」


「かたじけない」


「まぁ、そう畏るなって。すごく助かってる。ありがとな」


「あ、ありがたきお言葉! うう」


 ははは。泣くなよ。


 さて、メタルパイナプールはどんなモンスターが落とすんだろうな?

 ゲームの攻略本にも載ってない未知のアイテムだぞ。

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