第77話 カクガリィダン VS ゴブ太郎
〜〜ザウス視点〜〜
ゴブ太郎の体は稲妻を纏う。
修行の成果が出たな。
こいつは必死に努力をして
カクガリィダンのレベルは2400。
対するゴブ太郎はレベル8000。
勝負あったな。
「さぁ、勝負だカクガリィダン。行くゴブ!」
「ま、待てぇええええええええええええ!!」
「え? もう勝負は始まってるゴブよ? 待たないんじゃなかったゴブ??」
「な、な、なんだそのレベルはぁああああ!?」
「オイラはステータスを見れないからわからないゴブ」
「レベル8000だと!? どうして、レベル800だったおまえが10倍のレベルになってるんだよぉおお!?」
「ああ。これは
「な、なんだそれは……!?」
「大賢者カフロディーテ様の発明した魔研究ゴブ。でも、熟練度を上げないと使えないゴブよ。オイラは必死に修行をして、熟練度のレベルを10にして、やっと1段階目のチャクラを解放できたんだゴブ」
「そ、それでレベルを10倍にしたのか?」
「そういうことゴブ」
「ひ、卑怯だぞ! そんな能力があってたまるか!」
「卑怯じゃないゴブ。正々堂々と必死に修行をして身につけた技ゴブよ。熟練度を上げないと使えない技なんだゴブ」
「ふ、ふざけるなぁああ!! ゴブリンの分際でぇえええ!! どうしてエリート魔族の私より強いんだぁああッ!! こんなことはあり得ない!! 絶対にあり得ないんだぁぁあ!! うぉおおッ!! ハァアアアアアアアアアア……!! 大地の竜よ、我は求め賜う大地竜の牙……」
ほぉ。槍の切先にパワーを溜めているのか。槍術のスキルだな。
「喰らえぇえええ!! 「
ふむ。攻撃力が上がっている。
「グハハハ! ノーマルの大地竜牙突をイケメンダール様のお力によってパワーアップさせた私の必殺技だぁああああああ!! その威力は通常レベルの3倍ぃいいいいい!! つまりぃいい──」
2400の3倍だからレベル7200の攻撃力か!
ゴブ太郎のレベルに近づいた!
「規律正しく死ねぇええええええええええええええええええ!!」
「だったらオイラも必殺技だゴブゥウウ!! ゴブゴブパンチィイイイイイイイ!!」
「なにぃいいいいいいいいい!? ゴブ太郎のレベルが1万を超えただとぉおおおおおおおお!?」
ふむ。
ゴブ太郎が編み出したゴブゴブパンチ。
内在するパワーを爆発させて攻撃する。一時的にレベルを2倍にする必殺技だ。
つまり、レベル8000の2倍。ゴブ太郎の攻撃レベルは実質1万6000まで上昇したんだ。
「ゴブゴブゴブゴブゴブゥウウウウウウウウ!!」
それはゴブ太郎の連打攻撃。
いくつもの拳がカクガリィダンの体にヒットする。
「アガガガガガガガガァアアアアアアアア!!」
そして、大きな一撃がやつの顎を捉えた。
「ゴブゥウウウウウッ!!」
「グベェエエエエエエエッ!!」
カクガリィダンは吹っ飛んだ。
うむ。
勝負あったな。
ん?
「ま、ま、ま、まだぁあああ……」
やれやれ。
全身血だけら。複雑骨折は確定だな。
それじゃあ勝ち目はないだろう。
突然。
後ろで控えていたサイ戦士の1人がアイテムを投げた。
「カクガリィダン様! これを!!」
「う、うむ。た、助かった……」
どうやらエリクサーみたいだな。
飲むだけで受けたダメージを全て回復する。
「は、ははははーーーー! 回復したぞぉおおお!! エリクサーの効果で体力全快だぁあああああああ!!」
やれやれ。
「おい。これは援護ありの戦いだったのか?」
「はははーーーー!! 言わなかったか? 規律正しく考えてそういうことなのさぁああああ!!」
なんだか、後出しじゃんけんみたいな都合のいいルールだなぁ。
「ククク。ついでだから教えといてやろうか。サイ戦士は戦いに特化したモンスターなのだ。だから、回復魔法は使えない。しかし、戦いに特化した補助系の魔法は使えるんだよぉお!!」
ああ、知ってる。
サイ戦士にはゲームで苦しめられたからな。
あの魔法は厄介なんだ。こちらの体力をゴリゴリ削る。よく全滅させられたもんだよ。
「
「は!
「グハハハハ! これで私の攻撃レベルは2倍になったぁあああ!! 攻撃力は実質4800ぅうううううう!!」
ふむ。
しかし、レベル1万6000のゴブ太郎には遠く及ばないぞ。
「ヌフフフ……。そして、最終奥義さ」
「ほぉ」
最終奥義か。
もう漫画じゃないか。
まさか、この世界でその言葉を聞くとは思わなかったよ。
「イケメンダール様に与えられた最終奥義。超悪魔覚醒」
やれやれ。
ブレクエ3に登場した敵モンスターの強化特権じゃないか。
「この技は寿命を半分にする代わりに、自分の攻撃力を5倍にすることができる技なのだぁあああああ!!」
へぇ。5倍だったのか。
ゲーム上の数値は初めて知ったな。
あれ面倒なんだ。倒せそうになったら発動するからさ。チートじゃんってさ。
ネットでも苦情の嵐だったな。
「ほぉああああああああああ!! 超悪魔覚醒ぃいいいいいいいいいいいいい!! 発動ぉおおおおおおお!!」
カクガリィダンは漆黒の炎に包まれる。
「ははははーー!! 見ろぉおおおおおおお!! これで私の攻撃力レベルは実質2万4000だぁあああああああ!!」
ふむ。
これでゴブ太郎のレベルを超えたな。
「ぐははは! ボコボコのメッタ打ちにしてやるぞぉおお。待てと言っても絶対に待たないからな。クハハ! 私に最終奥義を使わせた時点でおまえの命運はつきたのだぁああああああああああああああああああッ!」
はぁ〜〜。
やれやれ。
「おまえさ。全部、誰かに与えてもらってんだな」
「なにぃいいいい!?」
「部下にヘイストの魔法かけてもらってさ。その他の能力向上は全部、イケメンダールからだろ?」
「そ、そんなことはゴブ太郎も同じことだろうが! 大賢者の魔研究で強くなったんだ!!」
「勘違いするな。強化の幅をもらっただけで、強くなったのはゴブ太郎の努力だ」
「なにぃいい!?」
「こいつは毎日、必死になって努力したんだ。時には寝る間を忘れるくらいなぁ。それくらい必死になって修行したんだよ。そして、
「ははは! だからなんだというのだ!! 雑魚の努力はゴミなんだ!! 才能という名の壁には絶対に越えられない!! ゴブリンは所詮雑魚モンスターなのさぁあああああ!!」
「努力舐めんなよ」
「ギャハハハ! なんだそれはぁああ!? ギャハハハハハ!! ハハハ……ハ?」
どうやら異変に気がついたようだな。
「な、なんだ!? その拳はぁあああああ!?」
ゴブ太郎の拳には炎が宿っていた。
まるで、内在する闘志が炎になって具現化したように、メラメラと燃える。
「オイラは強くなりたかったゴブ。だから、毎日、毎日……。ちょっとずつ、強くなるように修行を重ねたゴブ」
「そ、その拳はなんだというのだぁああああああ!?」
「これがオイラのとっておきゴブ。名付けて、ゴブゴブパンチバースト!」
「なにぃいいいいいいいいいいいいいいいいい!?」
「オイラはさ。ゴブゴブパンチをもっと強力にしたかったゴブ。だから、毎日、必死に修行してたら炎の属性がついたゴブ」
「……な、なんだとぉ? ま、まさか……。貴様のステータスはどうなっているんだぁああ!?」
ふふふ。
これがゴブ太郎の真価だ。
「なにぃいいいい!? バカなぁああ!? レ、レベル4万だとぉおおおおお!?」
そう、これが努力の成果だ。
ゴブゴブパンチバーストの効果はレベルを5倍にして攻撃する。
レベル8千の5倍でレベル4万。
カクガリィダンのレベルが2万4千だからな。
これで勝敗は自明だろう。
「ま、待てぇえええええええええええええ!!」
「ゴブゴブゴブゥウウ!! バーーーーストォォオオオオオオオオオ!!」
「アガガガガガガガガガガガガガガガ……!!」
ああ、これは完全に再起不能になるやつだな。意識もぶっ飛ぶだろう。
「ゲハァアアッ………!!」
と、案の定、白目を剥いてまま気絶した。
ふむ。
当然の結果だよ。
こうなることはわかっていた。
それを見ていたサイ戦士たちは動揺する。
さてと。
「おまえたち。勘違いしてるだろうからさ。教えといてやるよ」
これだけはハッキリとさせておきたいんだ。
「ゴブ太郎。ちょっとこい」
「なんでしょうゴブ?」
「
「うわ! ビックリしたゴブ!!」
うむ。
これでこいつの攻撃力レベルは2倍になった。
つまり、実質レベル8万。
「俺は補助魔法が使える。でも、今回は使わなかったからな。俺の援護は一切ない。この勝利は完全にゴブ太郎だけの実力だ。それだけは記憶にとどめておくようにな」
サイ戦士たちは青ざめた。
狼狽する騒つきと、奥歯がガチガチと当たる音が響く。
さてと、この気を失ったカクガリィダンの処分だがな。
これだけでは終わらせないぞ。
俺の部下を侮辱した罪は大きいんだ。それ相応の償いはしてもらうよ。
────
次回、カクガリィダンに更なるざまぁが……。
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