第76話 カクガリィダンのリベンジ
「ハハハ! デカい口を叩くのもそこまでだぞ。弱虫ゴブ太郎よ。ククク。私のグランドメテオを消滅したことでいい気になっているんじゃない。あんな魔法は大したことがないのだからなぁ」
「ふーーん。なんか随分と強くなったみたいゴブね」
「クハハハハ! 私は進化したのだよ。ククク。弱虫ゴブリンのおまえとは格が違うのだよぉ。格がなぁあああああ」
「格ね……。オイラはステータスを見れないゴブ。サーチメガネは置いてきたしな。おまえのレベルがどれほどのものかはわからないゴブよ。たださ。監視クリスタルの映像を見てザウスさまが言っていたゴブ。カクガリィダンのレベルは1200だって」
カクガリィダンは、別次元の魔王イケメンダールの力によってレベルをグーーンと上げていた。
「ハハハハハ! よくそれでやって来れたなぁ!? おまえのレベルはたった400じゃないか! あれから少しは強くなったようだがなぁ。規律正しく考えるのならば、私の圧勝だろうがぁ? んん?? バカなのかなぁ? それとも算数ができないかなぁ? クハハハハ! バカなおまえに教えてやろう。規律正しく考えて、レベル400より、レベル1200の方が圧倒的に強いのだよぉおおおお!! これがエリート魔族と雑魚モンスターの違いさぁあああああ!!」
「やってみなくちゃわからないゴブ」
「プハハハハ!! バカがぁ!! あの時の私とは違うんだぞ? また、圧勝できると思っているのか?? プハハハハ!!」
「オイラは修行をしたんだゴブ。おまえの尖兵と戦った時からな。毎日、毎日。ずぅううと、強くなるためにトレーニングを積み重ねたゴブ」
「ハハハハ! 努力は裏切らないとでもいいたいのか? それでレベル400ぅう? しょっぼッ! しょぼしょぼレベルじゃないかゴブ太郎くぅううううん!! 規律正しく言ってしょぼすぎだぞぉおおおおおお?」
と、そこに黒マントの男がやって来た。
彼は青い肌に額に立派な角の生やしている。
「ゲェッ!! ザ、ザウスゥウウウ!!」
ザウスは隠蔽の魔法によってステータスが見えなくなっていた。
しかし、カクガリィダンは彼の脅威を知っている。
勇者セアから事前情報を仕入れているのだ。ザウスの設置スキルやレベル限界突破、諸々の強化効果を加味すると実質レベル24万である。
まぁ、あれから修行を積み重ねているので、本来はそれ以上の強さなのだが、今はそんなことはどうでもいい。
カクガリィダンにしてみれば、レベル24万の脅威にはどうやったって勝てないのである。
さて、そんな彼が綿密な計画を立てていたのはいうまでもない。
先に挙げたゴブ太郎を煽る幟もその一つだ。彼は、どうにかしてザウスの脅威を排除したかったのである。
よって、ザウスを煽るように声を張り上げた。
「おい弱虫ゴブ太郎ぉおおおおおおおおおお!! ザウスの助けがないとなにもできんのかぁああああああ!! このクズのゴミゴブリンがぁああああああ!!」
酷い言われようである。
しかし、これは計算だった。
ゴブ太郎を焚き付けて、ザウスの介入を阻む作戦なのである。
「卑怯者ザウスがぁああ!! ゴブ太郎と協力して私を倒すつもりだな? そうだろう!? 部下が雑魚なら主人も雑魚だなぁああ!?」
「勘違いするな。俺は見届け役として来たんだ」
「み、見届け役ぅうう?」
「ゴブ太郎とおまえの戦いを見届ける役は必要だろう?」
「ほぉ……。それはどういうことなのだ?」
(ククク。よくわからんがいい流れだぞ。やつが参戦しなければ私の勝利は揺るがない!)
「その幟……。ゴブ太郎に恨みがあるようだな? リベンジしたいのか?」
「リベンジだとぉ? ふん! この前は油断しただけにすぎん! 弱虫ゴブ太郎が、卑怯にも私の油断している隙に攻撃してきたのだ。流石の私も油断をつかれては手も足も出なかったよ。規律正しく考えれば私が負ける要素はないのさ」
「なるほど。じゃあ、今回は本気でやると?」
「ギャハハハ! まぁそういうことさ。弱虫ゴブ太郎は逃げそうだがなぁあ。ククク」
「逃げはしないさ。強くなるための努力は十分にしてきたんだからな」
「ハハハハ! たしかになぁあ。レベル400といえば、この前よりは少しだけ強くなっているよ。努力は認めてやる。だがなぁ。ククク。規律ただしく考えて私のレベルの前では微々たるものなのだよぉおおお!」
「ほぉ。すごい自信だな。では今回は本気でゴブ太郎との一騎打ちをしたいというわけだな?」
「ククク。そういうことだな。ゴブ太郎の実力を白日の下に晒すのが目的さぁあ。規律正しく考えて、私の方が上なのだからなぁああ!!」
「ふむ。では、おまえの後ろに控えているサイ戦士たちは加勢しないんだな?」
「あはははは! そんなことをするわけがないだろうがぁ! いわば、こいつらは観戦者よぉお!!」
「ふむ。悪くない考えだな。では、こちらも静観に徹しよう」
「ククク」
(バーーカ、バーーカ! まんまと私の作戦に乗りよってぇええ! ククク。頭脳戦では私の方が上なのだぁ!!)
「では、ザウスよ。勝利者にはそれ相応のメリットを提示しようではないか」
「ほぉ。メリットだと?」
カクガリィダンは勝ち誇ったようにニヤリと笑った。
「ゴブ太郎が負ければ、私の奴隷にしてやろう。その上で、おまえが占領をした魔王領を返還してもらうのだ。もちろん、その後は撤退してやるからな、安心しろ。ザウスと戦ったりはしないさ。なにせ、私は平和主義者だからな。ククク。無用な戦闘は好まないのさ」
ゴブ太郎に衝撃が走る。
「なにぃいいい!? そ、そんなの横暴ゴブ!! 都合が良過ぎるゴブ!! オイラがおまえの奴隷になるだけでいいだろうがゴブゥ!!」
「ハハハ! 必ず負けるからって逃げ道を塞いでんじゃねぇよ、クソゴブリンが! 卑怯者のおまえの考えなんて聞いてないのだよ!!」
ザウスは平然とした顔で答えた。
「うむ。いいだろう」
「ええええええええ!? ちょ、ザ、ザウスさまぁああ!! 負けた時の条件が厳しすぎるゴブゥ!! ザウスさまが今までやってきた苦労が水の泡になってしまうゴブゥ!!」
「勝てばいいじゃないか。それとも自信がないのか?」
「か、勝つゴブ……。絶対に負けないゴブ」
「だったら大丈夫だ。俺はおまえを信じている」
「うううう……。これは負けられないゴブ」
(やったーー! やったぞぉおおおお!! 交渉で最良の条件を約束させてやったぞぉおおおおおお!! ここで私が勝てれば、魔王領は取り返せる。そうなれば、魔王様は確実に私を評価してくれるだろう! 親衛隊長からの出世だってあり得る!! そして、奴隷にしたゴブ太郎は虐めに虐めてこき使ってやるのだ。ククク。私が受けた屈辱を10倍にして返してくれるわ! 生き地獄にしてくれる)
「じゃあ、カクガリィダン。おまえが負けた時の条件はなんだ?」
(ふん。私が負けることなんてあり得ないからな。適当に答えといてやるか)
「そうだな……。ふむ。私がおまえの部下になってやろう。ここにいる2400匹いるサイ戦士の軍団もくれてやるよ」
「ふむ。悪くない。決まりだな」
「ハハハーーーー!! じゃあ始めようかぁああああ!! どっちが本当に強いかをなぁあああああ!! 弱虫ゴブ太郎さんよぉおおおおおおおおお!!」
ゴブ太郎は筋肉を肥大させた。
「フン!!
これで彼のレベルは2倍になった。
「ギャハハハハ!! レベル400の2倍でレベル800か! それならば、規律正しく考えてもレベル1200の私ともいい勝負をするかもしれないもんなぁああああああ!?」
カクガリィダンの笑いは止まることがなかった。
それは、確実に勝利を確信しているからである。
「クハハハハーーーー!! レベル800がレベル1200に喰らいつく。努力でなんとかなる可能性があるってか? そう思ったのかぁあああ? ギャハハハハハーーーー!! 絶望させてやるぅぅううう!! 一生消えないトラウマを植え付けてやるよぉおおおおおおおおおおおお!! 見ろぉおおおおおおおおお!! これが本当の強さだぁああああああ!!
カクガリィダンの筋肉も肥大した。
ザウスの目には、2倍に強化された彼のレベルが映し出される。
「ギャハハハハーーーー!! 私も使えるのだよぉおおおお!! 自分だけ使えると思ったぁああああああ? バカ丸出しだなぁあああああ!? ギャハハハハ! 計算狂っちゃったねぇ。私のレベルは2400ぅうううううううう!! これが私の真の実力だぁああああああああ!! 終わったなぁああああああ!! ザウスの領土を奪い獲りぃいいいいい!! 貴様を奴隷にしてこき使ってやるぞゴブ太郎ぉおおおおおおおおおおお!! ボコボコの半殺しにしてなぁあああああ!! 貴様が毎日、夢でうなされるくらいに殴りに殴って殴りまくってやるわぁああああああああああああ!! もう待てと言っても絶対に待たないからなぁああああ!! ギャハハハハハハハァアアア! もう遅いのだよぉおおおお!! 残念ながら戦いは始まってしまったのだからなぁああああ!!」
そんな時。
ゴブ太郎は震えていた。
彼は内在する力を爆発させるように……ブルブルと震える。
「な、なんだ? ゴブ太郎のやつ……? な、なにかあるのか?? 絶望してるにしてはなにか妙だが……?」
すると、ゴブ太郎の眼前に光の玉が出現した。
それは縦に7つ並んで浮かんでおり、上から2番目以降は鎖に巻かれている。
汗だくの彼は、その光の玉が出現したことに安堵した。
「な、なんだ……。あの光の玉は?」
「ま、まだ……。はぁ……はぁ……。い、1段階目までしか解放できてないゴブ。でも、おまえレベルならこれだけでも十分ゴブ」
彼が、その光をタッチすると、全身からすさまじい力が発生した。
「
「なにぃいいいいいいいいいいいいいいいいい!?」
カクガリィダンの目には、とんでもないレベルが飛び込んでくる。
「レ、レベ……レベル……。レベル8000だとぉおおおおおおおおおおおおお!?」
「じゃあ、行くゴブ」
「ま、ま、待てぇええええええええええええ!?」
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