第64話 リザ丸とスターサ

〜〜スターサ視点〜〜


 私の眼前にはリザードマンの親子がいた。

 子供は私の腰くらいまでしかなくて、2匹とも男の子みたい。多分、兄弟だと思う。

 その後ろに控えているのは、おそらく母親のリザードマンだろう。母親と言っても、顔がトカゲなので、女か男かよくわからないのはあるけどね。


 子供たちは私を見て笑っていた。


「へへへ。お姉ちゃん。父ちゃんを助けてくれありがとうリザ」


 父ちゃん?


「えーーと。君たちは、だれの子供かな??」


 すると、母親のリザードマンは深々と頭を下げた。


「リザ丸を助けてくれてありがとうリザ」


「え? あなたたちは誰でしょうか?」


「この子たちは、リザ丸の子供です。私は彼の妻リザ」


「ああ! リザ丸くんの奥さん!」


 へぇ……。

 リザ丸くんに家族がいたんだぁ。

 トカゲの顔だから性別すらわからないけど、話す素振りは女の人なのかもね。身につけている装飾品が煌びやかだな。なんだか色気があって美人な感じはするかもね。ふふふ。リザ丸くんやるなぁ。


「リザ丸の命が助かったのはスターサさん。あなたの活躍だと聞いていますリザ」


「あーー、いえいえ、そんな。私だって彼には助けてもらっているんですから」


 奥さんは再び深々と頭を下げた。


「本当に。本当にありがとうございますリザ」


「ははは……」


 彼は一族のために戦っているって言ってたけど……。

 こんな素敵な家族がいたなんてね。意外だったな。


「お姉ちゃん。これ……。もらって欲しいリザ」


「んーー? なにかな?」


 それは綺麗なネックレスだった。

 革紐に通されているのは白いシンボル。その横には煌びやかな石が通されている。


「ヤーマン鹿の角を加工して作ったんだリザ」


「へぇ」


「リザードマンの戦士はさ。槍の切っ先を加工したりするのが得意なんだリザ。これはさ。鹿の角と、川辺で拾った綺麗な魔力石を削って作ったんだリザ」


「私のために?」


「本当は父ちゃんのお守りで作っていたんだけどさ。姉ちゃんが父ちゃんを助けてくれたって聞いたから。もらって欲しいんだリザ!」


「こんな貴重な物を?」


 なんだか悪いな。


「もらってやって欲しいリザ」


 あ、リザ丸くんだ。


「そいつらはおまえに感謝しているんだ。リザードマンが他種族にネックレスをプレゼントするのは友好の証だリザ」


「そうなんだ……。ふふふ。じゃあ、もらっちゃおっかな」


 首にかけてみる。


 うん。気取らないオシャレな感じでいいかも。


「あは。素敵なネックレスをありがとうね」


「うは! やったリザ!」


 子供たちは喜んで飛び跳ねた。そして、リザ丸くんに抱きつく。

 彼はそんな子供を抱きしめた。


「こうやって子供に会えるのはおまえのおかげだリザ」


 え?


「あの時……。俺の指示した通りに、おまえがペガサスの翼で逃げていたら……。俺は二度と家族には会えなかったリザ」


 あれ?

 これってもしかして、遠巻きにお礼を言ってるのかな??


「んーー。まぁ、仲間を助けるのは当然だしね」


 彼は咳払いを一つして、


「……コホン。あーー。まぁ、なんだ……。俺の修行が足らないのは認めるリザ」


「え? リザ丸くんはがんばったじゃない」


「俺の任務はおまえのことを守ることリザ。あんなんじゃあ護衛失格リザ」


 まぁ、敵が予想外に強すぎだったからなぁ。


「これからはもっと強くなるリザ。今度はザウスさまにお手間を取らせないリザ」


「うん。ありがとうね」


は俺が守るリザ」


「え?」


 今、私のこと……。名前で呼んだ??

 今までは『人間の女』だったのにさ。


「じゃ、じゃあなリザ」


「え? 今、名前で呼ばなかった?」


「な、な、なんのことリザ?」


「だって、スターサってさ」


「はぁ?? ス、ス、スターサはスターサリザ!! なにもおかしくはないリザ!!」


「スターサを認めているなら、認めているって言った方がわかりやすいゴブ」


「ゴブ子! いつの間にリザ!?」


「私もいるハピ」


「う! ハピ江までリザ」


「リザ丸は素直じゃないハピ」


「う、うるさい! 女は黙っていろリザ!!」


「だからぁ、そういうの差別ハピ」


 ははは。

 外務チームの勢揃いだ。


「まぁまぁ、みんな仲良くしましょうよ! 私たちは仲間なんだからさ」


 私たちはザウスさまに外交を任せられたチームだ。

 いわば運命共同体なのよ。


「それじゃあ、外務チームが揃ったところで、ヨルノ村制圧の乾杯といきましょうよ」


「わは! 賛成ゴブ!」

「素敵な考えハピ!」

「し、しかたねぇリザ」


 私たちはグラスを持った。


「ヨルノ村の制圧は犠牲者がゼロ人だよ! 村人も獅子人も、誰一人として負傷者は出なかったわ。私たちもこうして無事! これは大成功といっても過言ではないのよ!!」


 ちょっとだけ、ザウスさまには手伝ってもらっちゃったけどね。

 でも、これからはリザ丸くんが頼りになりそうだし、少しづつ強くなっていけばいいわ。

 まずは、この成功をみんなで喜ばなくっちゃ。


「ヨルノ村の制圧はみんなのおかげです! これからもチームで協力しあってがんばろうね! それじゃあ、乾杯!!」


「乾杯ゴブ!」

「乾杯ハピ!」

「乾杯リザ」


 私たちが重ねたグラスの音は高々と響いた。

 

カチィーーーーーーーーーーーーーン!!


 うん。

 いい音色だ。

 これからもずっと聞き続けないとね。


 さぁ、ヨルノ村のスーブッタ。

 食べまくるぞぉ〜〜。


「甘酸っぱくて美味しいハピ!」

「甘さと辛さのバランスが絶妙ゴブ!」


 うんうん。最高だよね。

 特にこの果物が入っている所なんか最高に上品って感じ! 誰が食べたって美味しいって言うわよ!


「う……。パイナプールが入っているリザ。なんで肉料理に果物を入れるんリザ??」


 ははは。

 まぁ、好みは人それぞれか。



────

作者から読者の皆様へ。

今作はもうすぐ、2万ブックマークに到達します。

本当に嬉しいです。いつも、応援してくれている読者さんのおかげですよ!

まさか、こんなに伸びるとは思いもしませんでしたw

そんな感謝とともに、お礼の意味を込めまして番外編を執筆しました。

ハーレム編アルジェナの前編と後編です。

近況ノートから読めるようにいたしますので、興味のある方はぜひ読んでみてくださいね。なお、従来はサポーター限定作品となるため無料一般公開は1週間程度といたします。私の作者フォローをするだけで、お得な番外編が無料で読める情報が届くのでこの機会にぜひ、作者フォローもしていただけたらと思います。


コメントが多くてなかなか全員には返信できませんが、全部読ませていただいております。笑わせてもらったり元気をもらったり、作品を書く参考になったりしてますよ! 本当に嬉しいです。読者さんにとっても他の読者さんのコメントを読むのが楽しみになれば素敵ですよね。共感できると嬉しくなりますよ。なので、コメントは気軽にしてくださいね。カクヨムさんにはコメントに「いいね」機能を追加してもらいたいです。秀逸なコメントはいいねで賞賛してもらいたい……。


あと、今作が面白いと思った方は↓の☆マークの評価をしていただけると助かります。レビューも書いてくれると嬉しいです。

人気が出る作品は番外編、などの作品執筆という形でお礼を返すつもりです。

作品の評価が高ければ、作家にも読者にもメリットがあると思います。まさに一石二鳥。こういうのってザウスが好きですよねw

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