第49話 魔公爵のなでなで
オラは、まだ夢見心地だぁ。
体さ綺麗に洗ってよぉ。飯は腹一杯食えたしよぉ。ほんで、これからは1日3食が与えられるって話しでねぇか。敵陣の魔公爵城でよぉ。まぁだ、信じらんねぇランド。
「ふふふ。驚いたゴブ?」
「オラ、まだ夢を見てるみてぇランド」
「ははは。ザウスさまは最高の支配者ゴブ。みんな大好きなんだゴブ」
ザ、ザウス……さま。
すんごい魔族ランド。
「ふふふ。
「な、なにがランド?」
ゴブ太郎さんは得意げな笑顔を見せたランド。
「なでなで。ゴブ」
聞けば、ザウスさまが頭を撫でてくれることらしいランド。
「へへへ。こんな名誉なことはないゴブ。オイラたちは『なでなで』のために働いてるゴブ」
「ふはぁああああああああ!! あ、あの方が頭を『なでなで』してくれるんランドォオ?」
「ああ」
さ、されてぇランド…………。
ザウスさまに、なでなでをされてぇランドォオオオオ!!
「オイラはさ……。ふふふ。さ、3回もあるんだゴブ」
「ええええええええええええええええ!? さ、3回もぉおおおおおおおお!? 羨ましいランドォオオオ!!」
「へへへ。まぁ、おまえも頑張ればさ。なでなでしてもらえるかもなゴブ」
「ふぉおおおおおおおおおおお!! ゴブ太郎の兄貴と呼ばせて欲しいランドォオオオオ!!」
ここは夢のように快適な場所だったランド。
1週間に1日は必ず休暇があって、戦闘訓練は1時間に10分の休憩がもらえるんランド。他にも有給休暇ってのがあって、1年に3日間は自由に休みが取れるランド。給金なんて出たことはなかったけんど、ここじゃあ働いたら働いただけお金がもらえるんだぁ。
休みの日や休憩時間はもちろんのこと、お金なんて、魔王領ではもらったことがねぇでよぉ。
ここと比べれば魔王領は地獄だったんだべなぁ……。
オラたちはゴブ太郎の兄貴に連れられて、立派な山の傾斜を見せられたんランド。
「ランドソルジャーは洞穴に住むんだゴブ?」
「ええ。こげな立派な山に住めれば夢みてぇランド。だけんど、ここはザウスさまの山だしねぇ。オラたちは羨ましい限りランド」
「住んでいいって」
「へ?」
「ああ、この山に穴を掘って住居にしろって命令されたゴブ」
「えええええええええええええええええええ!? こ、こげな立派な山にぃいいいいいいいいいいいいいい!?」
「住むところは清潔にしてないと病気になるだろうからって。ザウスさまは、全てのモンスターに分け隔てなく底なしにお優しいゴブ。衣食住には気を遣ってくれるんゴブ」
「ザウスさまぁああああああああああああああああああああ!!」
ああ、こげな立派な洞穴……。
家族と住めたらなぁ……。
ああ、魔王領に残してきた家族のことを想うとため息しか出ねぇだよ。
「はぁ〜〜」
と、そこにあの方が通りかかる。
「なんだ、
「ザ、ザウスさまあぁああ!?」
「別におまえのことなんかどうでもいいがな。もしも、病気なら休ませなければならん。城内に病気が蔓延しては戦力低下を招くからな」
お、お優しいぃ……。
ゴブ太郎の兄貴のいうとおりランド。
このお方は底なしに優しい魔族ランド。
うう……。これ以上は甘えちゃなんねぇだ。
「言えよ。俺に隠し事はするな」
「あ……。えーーと」
うう……。どうせ、一蹴されるに決まっているランド。
なんなら追放もあり得るかもしれねぇランド。
戦力にもならない家族のことなんて……。
「いいから、言え。これは命令だ」
「うう……」
この方には嫌われたくないランド。
だけんど、オラにはかけがえのない家族がいるだぁ。
「で、でんは……
「ふむ。……良かったじゃないか。衣食住が両立せんと仕事にやり甲斐が出んだろうしな」
「オ、オラァ……。実は……。家族がいるんだぁよ。5歳の息子と4歳の娘。ほんで、嫁がいるランド」
「へぇ。そうなのか」
「つ……。連れて……」
ああ……。
怒られるランド……。
でも、いわざるを得ないランド。
「家族を、この魔公爵領に連れて来てはダメでしょうかランド?」
ああ……。
言ってしまったランド。
戦力にもならないオラの家族。
そんな存在……。
「なんだそんなことか。いいに決まっているだろう」
「ええええ!?」
「嫁は働けるのか? 城内にはモンスターの託児所を設置しているからな。そこを利用すれば安心して働くことができるぞ。もちろん給金は出す」
「えええええええええええ!? だ、だども、子供は明らかな戦力外でランド!?」
「子供は育てばいい労働力になる。将来に向けての投資だな。そして、なにより、子供のためにおまえは必死に働くだろう? 働き甲斐を作ってやるのも支配者の勤めさ」
「ありがとうごぜぇますランドォオオオオオオオオオオオオ!!」
本当に、ザウスさまはすごい魔族ランドォオオオオ!!
「一生懸命、ザウスさまのために働くランド!!」
「うむ……。ああ、そうだ。家族が来るなら、給金を上げてやらんとな」
「へ?」
「扶養所得だよ。まぁ、詳しいことはメエエルにいえ。彼女が事務の担当をしてくれるからな」
そういって去って行ったランド……。
フホォオオオオ!
本当にすんごいお方ランドォオオオオオオ!!
心の底から尊敬できるお方ランドォオオオオオオ!!
大好きランドォオオオオオオオオオオオオオオオ!!
そんな時。
ゴブ太郎の兄貴はニンマリと笑って3本の指を立てた。
「3回……。なでなでされたゴブ!」
うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!
羨ましいランドォオオオオオオオオオオオオオオ!!
オラもなでなでされてぇえええええええええええええ!!
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いつも、コメント、ハート、☆の評価ありがとうございます。
この作品は、みなさんの応援のおかげで書き続けることができております。
当分は毎日更新が続きますので、ブクマをして楽しんでいただけたら幸いです。
何度もいって恐縮なのですが、この作品の1章はカクヨムコン用です。
よって、誤字修正等はコンテスト終了後に実施するつもりです(誤字報告とても助かっております。めちゃくちゃ修正したい! でも、コンテスト用なので。あえて触らないようにしてます)
なので、1章だけは、コメントへの返信も差し控えさせていただいております。
2章以降はコンテストの対象外。ここからは誤字修正が可能ですので、気軽に報告していただければと思います。また、コメントが多くて全員に返信が難しい状況でもあります。とはいえ、みなさんのコメントで笑わせてもらったり、元気をもらったりしています。全部、楽しく、喜んで読ませていただいておりますので、引き続き、気軽に感想を書いていただけると嬉しいです。実は読者さんのコメントを参考に作品を書いている場合があります。なので、コメントが今後の展開を左右する、なんてことも十分に考えられますよ。もちろん、全員の希望を叶えるのは難しいですけどね。あくまでも参考にさせていただく程度です。長々とあとがきをすいません。まだまだ2章は続きます。
今後ともザウスの活躍をよろしくお願いいたします。
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