第48話 あるランドソルジャーの証言
〜〜ランドソルジャー
いんやぁ……。
おんどろいたランドぉ。
こげな強ええゴブリンがおるとは世界は広え。
たしか、ゴブ太郎と、いったかやぁ。
我々の隊長、カクガリィダンさまをボコボコにやっちまいやがったランド。
オラたちは魔王軍 親衛隊 土組の尖兵だぁ。
だから、本隊より少ない100体ぽっちの小さな隊なんだや。
ほんでも、全員レベル100は超えってかんなぁ。
ランドソルジャーのエリート部隊なんだランド。
そげなエリートがよぉ。
まさか、たった1匹のゴブリンに全滅とはなぁ。
ほんで、オラも脇腹をズドンとよぉ。
こりゃ、もう完全に内臓がいっちまってるランド。
カクガリィダンさまはペガサスの翼を使って逃げちまったでよぉ。
こりゃ、完全にオラん隊の敗北だ〜〜……。
「おまえら、降参ゴブか?」
いや、降参もなにも、体がいうことを効かねぇべさ。
おまさんの攻撃が強すぎんランド。
レベル560のゴブリンとか最強すぎだってばよぉ。
完全にオワタ〜〜。詰みだぁ。
ランドソルジャー終了のお知らせ〜〜。
オラがランドソルジャーに生まれて45年。
まさか、こげな悲しい最期になるとは思わなかったランド。
家の洞穴に帰ればよぉ。5歳になる息子と、4歳のめんこい娘っこ、ほんで美人な
ああ、それがまさか、ゴブリンに倒されっとはなぁ。
ああ、必死に特訓して強くなって、ランドソルジャーとしてはエリート街道をひた走っとったんだがなぁ……。
まさか、ゴブリンに殺されっとは思いもせんかったランド。
「じゃあ、みんな降参でいいゴブな?」
ははは。
もう、なにもできねぇランド。
殺るなら一思いに、一撃で葬ってくんろ。
「じゃあ、ゴブ子ぉ〜〜。頼むーー!」
「はーーいゴブゥ」
なんだやぁ?
フードを被ったゴブリンのメスが木の影からこっちさ来るランド?
ありゃ、ゴブリンメイジか?
ゴブリンメイジといえば補助魔法が得意な種族だぁ。
攻撃力が低いから、レベルを上げるのが難しいんランド。
そうか! わかっただぁ!
瀕死のオラたちにとどめを刺して経験値を稼ぐ算段ランド!!
まさか、メスのゴブリンメイジにとどめを刺されるとは思いもせんかったランド!!
「
え?
「あーー。ゴブ子の回復は順番ゴブ。酷く痛むやつは手ぇ挙げるゴブ。そいつを優先して回復するゴブ」
な、なんだやぁあああああ!?
オ、オラたちを回復してるランドォオオオオ!?
どういうこったなやぁああああああ??
数分後。
ゴブ太郎は満面の笑みを見せたランド。
「よし。んじゃあ、全員、回復したなゴブ。死人はゼロゴブ!」
はぁ〜〜〜〜〜〜。
ま、まさか助かるとは思わなかったランド。
「よし。んじゃあ、ついて来い」
え?
ど、どこさ行くんだべさ?
「あ、あのぉ。ゴブ太郎さん……。オラたちは殺されるランド?」
「ははは。そんなことしたら、オイラがザウスさまに怒られるゴブよ」
「え?」
どういう意味だぁ?
数時間歩くランド。
「よし。着いたゴブ」
「はぁーー。立派な城だランドォオオオ」
「ふふふ。魔公爵城ゴブ」
「え!? こ、ここが??」
て、敵の本拠地……。
は! そうか!
オラたちは生贄だぁああ!!
魔術に使われる生贄になるだぁあああああ!! そのために回復して歩かせたランドォオオオオ!
それしか考えられねぇでよぉおおおおッ!!
オラたちの前に、1人の立派な服を着た貴族が立ったランド。
「魔公爵城にようこそ。俺が魔公爵ザウスだ」
ふほぉおおおおおおおおおおおおおおおお!!
こ、こいつがザウス……。
青い肌。額に見える1本角。生地の高そうなマント……。
ゆ、勇者を倒した魔族の英雄。
そ、そして……魔王さまに逆らった愚か者。オラたちの敵。
「おまえらは今日から、俺の配下だ」
え?
「い、生贄になるんじゃないんランド?」
「そんなもったいないことをするか」
オラたちはザウスと奴隷契約を結んだランド。
オラの右手の甲には奴隷紋が浮かぶランド。
「ククク。これで俺がおまえたちの支配者だ。反抗するなら前に出ろ。いつでもブチ殺してやる」
ひぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!
お、恐ろしいランドォオオ!!
凄まじい気迫ランドォオオオオ!!
魔王さまより怖いランドォオオオオオオオ!!
「ククク。おまえたちは俺にとっての労働力だ。俺のために生きろ。そして、死ぬまで働くんだ」
ひぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!
と、と、と、とんでもねぇ契約をしちまったランドォオオ。
オ、オラたちは騙されてしまったランドォオオオ!!
死ぬことよりも恐ろしい選択をしてしまったランドォオオオオオオオ!!
「まずは、体を綺麗にしろ」
「へ?」
「戦闘で汚れてるだろ。そんな体で城内をうろつかれたら不衛生だ」
オラたちは綺麗な井戸水で体を拭いたランド。
な、なんか久しぶりに体を綺麗にできてすっきりしちまったでよぉ。
まさか、敵陣でこげな気分になっとは思いもせんかった……。
「よし。次は食事だな」
え!?
「しょ、食事が出るんランド!?」
「支配者としては当然の采配だろう。部下に食事を与えるのは支配者の義務だ。戦ったあとは腹が減る。食べて回復。そして、レベルアップにつなげるんだ」
「へ、へぇ……」
そ、そんなこといってくれるとは思わなかったランド……。
魔王領では汚い泥を食べてただよぉ。それが3日に1回食べれればいいランド。
そんなもんだからよぉ。オラんとこの子供は、いつも腹を空かせてよ。2匹ともガリガリなんだランド。
「不安そうな顔をするな。食事は3食出してやる」
「え!? さ、さ、3食!?」
「ああ」
「い、1ヶ月で、ランド?」
「はぁ? 1日に決まっているだろう」
「ええええええええええええええええええええええええ!?」
い、い、い、1日3食ぅううううううううううう!?
そげなこと、信じられねぇぇええええええええええ!!
「ったく。足りないのか?」
「え? いや、あの、違……」
「デザートは要相談だ。世話係のメエエルに相談してくれ。俺は食糧事情の細かいことはわからんのだ」
「えええええええええええええええええええええええええええええ!?」
「できる限り、出すように言っておいてやるよ」
い、1日3食……。デザートは要相談……。
し、信じられねぇランド……。
「なんだよ。不満そうな顔しやがって……。3時のオヤツも欲しいのか? メエエルに言っといてやるから。それで納得しろ」
なんだやぁ……。
この魔族。本当に裏切り者の悪者なんだべか?
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