152.軽々と狩りをするニワトリスたちとフラグ回収をしてしまう俺

 二組に分かれたけど、先行組とその後から付いていく組にである。

 俺と一緒にいるのはリフさん、ピーちゃん、クロちゃんだ。ピーちゃんは主に連絡用だと自分で言っていた。クロちゃんの頭の上にポスンと留まっている。クロちゃんは気にしないらしく俺の横でぽてぽてと歩いている。

 先行組はヒャッハー! というかんじでドドドドドと攻めていってしまった。セマカさんがどうにか付いて行った。

 なんだかんだ言って、シュワイさんも狩りをするのは好きらしい。気が付くとシロちゃん、羅羅と一緒に狩りに行ってしまう。Sランクとシロちゃんたちがはっちゃけたら無敵な気がする。なんだか混ぜるな危険を一緒にしてしまった気分だ。


「……あんなに生き生きとしたオカイイを見ることになるなんて、思ってもみなかったわぁ」


 リフさんがポツリと呟いた。


「ははは……」

「オカイイは二年前に学校から出て行ったの。それからは冒険者をしてるとか、キタキタ町の家で引きこもってるとかそういう噂は流れてきたわ」

「そうなんですか」


 索敵はクロちゃんがしてくれているから問題ない。俺の隣で機嫌よさそうに身体を揺らしているし。


「でもまさか十歳の男の子とパーティを組むなんて思わなかったけどぉ」

「ですよね……」


 俺もそう思う。でもきっとシュワイさんも表に出たいと思ってたんじゃないかな。そこに俺、というかシュワイさんと同じ青い毛をした羅羅が現れたからそれがきっかけにはなったんじゃないかと思う。


「ウシロー」


 クロちゃんが一瞬足を止め、バッと振り返った。

 神経を研ぎ澄ませた時、ト、トと微かに足音が聞こえた。そしてダカッダカッダカッと駆けてくる音が……。


「えええー……」


 クァアアアアーーーーーーーーッッ!!

 クロちゃんが後ろに向かってありったけの声量で威嚇する。するとダカッダカッ、ドーンッ、ザザーッ!! という音がした。おそらく俺たちを襲おうとした魔物が倒れたんだろう。でも威嚇が通じるのは30秒だ。

 ピーちゃんが飛び、「コッチー!」と俺とリフさんを促した。そちらへ向かってリフさんと逃げる。

 キャーーーーーーッッ!!

 という悲鳴のような鳴き声と共に、またダカッダカッダカッと駆けてきた魔物を見て、なんでだよと思った。


「レインボーディアー?」


 クロちゃんはバッと飛び上がるとディアー目がけて飛び蹴りを食らわせた。それでディアーの走る方向がずれる。それにクロちゃんは飛んで追いつくと、また横腹に蹴りを入れた。

 キャーーーーーーッッ!!

 ディアーがズダーンと倒れる。そこへすかさずクロちゃん飛びつきつんつんつんつんとつっついた。ディアーは少しの間ジタバタして起きようとしていたが、やがて動かなくなった。麻痺したのだろう。

 うん、うちの子たちはかわいいけどとっても恐ろしいです。

 そしてクロちゃんは鋭い鉤爪でディアーの喉笛を掻き切った。ディアーの身体がビクッと動いたがその後はもう全く動かなくなった。

 パない。


「オトカー」


 身体を揺らしながら近づいてきたクロちゃんの嘴を布で拭き、なでなでしながら浄化魔法をかける。


「クロちゃんはやっぱすごいなー。しまっちゃおうかー」

「ハーイ」


 クロちゃんはアイテムボックスにレインボーディアーをしまった。


「ねえ、オトカ君。さっき生け捕りにしてほしいようなこと言われてたけど、いいのかしらぁ?」

「あ」

「イケドリー? ニワトリスー、デキルー」


 ピーちゃんにも言われて、それもそうだったなと思った。ようは麻痺した状態のレインボーディアーを引き渡せばよかったのかもしれない。

 でもなー。

 得意げにクンッと頭を上げているクロちゃんを見る。

 別に依頼されたわけじゃないし、うちのニワトリスの獲物はニワトリスのものだろ?


「でも、依頼じゃないから無視してもいいわよね。アイテムボックスにしまっちゃったし」

「ってことにしときましょう」

「ミテナイー、オモウー」


 ピーちゃんは周りに人がいないことを確認してくれたみたいだ。ならいいんじゃないかな?


「でもなんでわざわざ僕たちのいる方に来るかなー……」


 別にこっちに来いって呼んでたわけでもあるまいし、ちょっといろいろ遭遇しすぎじゃありませんかねえ?


「そういうこともあるんじゃない? もしかしたら、オカイイたちも狩ってるかもしれないわよぉ?」

「今日だけ大盤振る舞いされてるとかですかね。それならいいんですけど……」


 そのまま一時間ほど進んで、ワイルドボアを二頭狩った。もちろんクロちゃんとリフさんが。


「思ったより出るわねえ……」


 リフさんが呟く。やっぱり獲物は多いみたいだ。


「ピーちゃん、そろそろ帰るからシュワイさんたち呼んできてー」

「ワカッター」


 ピーちゃんがバサバサと飛んでいった。そういえばここって、空を飛ぶ魔物っていないのかな?


「リフさん、ここって空を飛ぶ魔物って……」

「跳びはねる魔物はいるわよぉ」

「えっ?」


 ピーちゃんが飛んで行くのが見える。ピーちゃんは一定の高さを飛んでいたが、ある場所で高度を上げたのが見えた。


「池の周りとかではグリーンフロッグとか、ワイルドスネークが出るし」

「……空を飛んでもそれほど安全てわけじゃないんですね……」


 三十分とかからずにシュワイさんたちと合流することができた。みんななんかほどよく汚れていたので浄化魔法をかけてから町へ帰ることにしたのだった。


次の更新は、19日(木)です。よろしくー

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